元旦だし平成30年を未解決事件で振り返らないか? 「便槽内怪死事件」「東電OL殺人」「八王子スーパー強盗」…実話の方がホラー映画より怖い件
潜入ライターとして活躍するニポポ氏(@tongarikids)がMCを務めるniconico公式番組「ニポポのニコ論壇時評」。
昨年末、平成30年最後の生放送を記念して“未解決事件で振り返る平成30年”と題して、フリーライターの中田薫氏をゲストに迎え、世田谷一家殺害事件(平成12年)や、王将社長射殺事件(平成25年)など、“30の未解決事件”を一つひとつ振り返りました。
いまだ解決をみないままに時代にだけ幕が引かれようとしている未解決事件群。人々の記憶の風化とは裏腹に、MCの二人が語る事件のディティールには不気味さが色濃く浮かび上がります。
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平成元年「福島女性教員宅便槽内怪死事件」
ニポポ:
平成元年いってみましょう。まずは福島女性教員宅便槽内怪死事件。
中田:
のぞきで便槽内に潜り込んだ男がそのまま凍死して怪死してしまったっていう事件なんですけど、これはミステリーですね。
ニポポ:
ミステリーは、どうやって入ったかってことですよね。
中田:
大の男が便槽内に潜り込んで、女性の排尿姿を見ようとして、そのままメタンガス吸って凍死したといわれている事件なんだけども、実際入ることが不可能なんですよね。
ニポポ:
もちろん便器から入ろうとすると、20センチしかない。くみ取り孔も36センチしかないっていうこのサイズ感ですよね。
中田:
今、図が出てますけど、これはこうやって入ってたんじゃないかっていう図でしかなくて、実際にこうやって入ってたっていうわけではないんだけど。
警察が駆けつけたときには重機で掘り起こされて、こうやって入ってたんだっていう証言があっただけなんですよね。この死んだとされる男なんですけど、原発関係者だったりとか。ただ、殺された説もあるんですよね。
ニポポ:
そうなんですよね。僕もちょっと聞きかじり情報で恐縮なんですけれども、実はこの方が行方不明になるときっていうのが実は選挙期間中なんですよね。
中田:
村長選挙中でね。お金をばらまくいわゆる汚職選挙で、それを告発しようとしてたっていう。
ニポポ:
ちょっとついていけないっていうことで、それを告発しようとした矢先に行方がわからなくなったっていううわさもあるわけなんですよね。
中田:
実際のぞいてたとしても、この女性教員が不在だったんですよね。いなかったんで、実際にはのぞくこともできないっていうか、不在の便槽内に入ったっていう。
ニポポ:
待ち損ですからね(笑)。上半身裸になってなおかつその上着を抱えたまま入ったんですよね。
中田:
2月で上半身が裸だったんですけれども、片方の靴は便槽の外、もう片方の靴は頭の上にあったっていう。
ニポポ:
頭の上(笑)。
中田:
非常に不自然なんですよね。
ニポポ:
頭の上に靴があったら、のぞくときにじゃまになりますよね。
中田:
ですから靴は上から落としたんじゃないかっていう。だから他殺説も消えないんですよね。だけど、この事件関係者とか目撃者ですとか、当時の証言者はもうみんないなくなっちゃいました。これは単に怪死事件っていうことで、本当にミステリーのまま終わっちゃった事件なんですよね。
ニポポ:
片づけられちゃってるっていうことですよね。しかも、発見者と被害者が、知り合いだった。
中田:
知り合いだったね。
平成2年「足利事件」
ニポポ:
怪死事件を一つひとつ振り返りたいところなんですけど、平成2年にいきましょう。
中田:
足利事件ね。犯人捕まったんですけど、そのあとDNAの再鑑定で冤罪になったっていう事件ですね。
ニポポ:
これってはっきり言って、DNAでの逮捕っていうのが話題になった事件のひとつかと思うんですけれども。これがまたDNA鑑定で覆るっていうのは意味が難しい。
中田:
血液型鑑定もそうだったんですけど、DNA鑑定をしたら「あなたが犯人」。だけど再鑑定したら「違いました」と。じゃあDNA鑑定って何なのかっていう。あとで出てくる東電OL事件のゴビンダ・プラサド・マイナリ容疑者(以下、ゴビンダ)もそうだったんですけど、やっぱりDNA鑑定でアウトになり、DNA鑑定でまたセーフになったと。
ニポポ:
犯人像なんですけれども、女性説もあったりとかDNAで何もわかってねえじゃん! みたいなね(笑)。
中田:
ということなんですよね。
ニポポ:
DNAの基準っていうものを一回改めないと、まずいことになっちゃうのかななんて思いますけれどもね。
平成3年「悪魔の詩訳者殺人事件」
ニポポ:
平成3年にまいりましょうか。
中田:
ああ、筑波大学の五十嵐一先生ね。
ニポポ:
イスラムのムスリムの方たちの中で禁書扱いされている書籍の翻訳を手がけてらしたんですよね。
中田:
当時のイスラムの指導者はホメイニ氏ですけど、ホメイニ氏が『悪魔の詩』の著者のサルマン・ラシュディを暗殺せよという宗教令であるファトワーを発令して。
ニポポ:
懸賞金までかかりましたからね。
中田:
その日本語訳者がこの筑波大の先生だったわけですね。筑波大のエレベーターホール前の階段のところで首がちぎれかかるほど凄惨に切りつけられてたということで。これは『ゴルゴ13』にも影響しましてね。
今、連載50年で約670話ぐらいきてますけど、単行本未収録作品が5つあるんです。そのうちのひとつが、『幻(ダミー)の栽培』というタイトルで、これ、ホメイニ氏の影武者の話なんですけど。やっぱりイスラムのテーマはこの事件を受けて封印にするしかないと。
ニポポ:
さすが。しかし、デューク・東郷はどこにでも攻めますね。すごいな。
中田:
これも未解決ですね。時効になりました。
ニポポ:
犯人捕まらずということで。
平成4年「東村山警察署旭が丘派出所警察官殺害事件」
ニポポ:
じゃあ、平成4年にまいりましょうか。
中田:
旭が丘の派出所が襲われたんですね。警官が射殺されて拳銃が奪われたと。この拳銃には5発の弾丸が装填されたままになってて、拳銃も見つかってない。
ニポポ:
また使われた形跡もないんですよね?
中田:
そうなんですよね。その後、拳銃と弾丸が奪われてるわけですから、その後の連鎖、次の再犯が心配されたんですけど、その後何も起きてない。ただ単に拳銃マニアが奪ったのか。
ニポポ:
拳銃マニア説っていうのが結構濃厚に語られているポイントですよね。
中田:
だからこれも単独犯なのか、複数犯なのかも判然としないという事件なんですよね。
ニポポ:
(コメントを見て)「これ中村泰【※】じゃないの?」みたいなコメントがあったりね(笑)。國松長官のね。どこにでも出てきちゃう(笑)。
※中村泰
1995年に起きた國松孝次警察庁長官狙撃事件の真犯人に限りなく近いと言われている人物であり、その他数々の事件へも関与が疑われている。
平成5年「八戸市女子中学生刺殺事件」
中田:
平成5年ですね。
八戸女子中学生ね。これは自宅で殺された事件ですね。娘さんが学校から帰宅する、お母さんも帰宅してくる。その間、20分間の間に行われた犯行で、わずか20分でこの少女は帰らぬ人に。
近所の人が悲鳴も聞いてるし、玄関もガラスも割れてるんですけど、逃げようとして玄関のガラス戸を割って、部屋に引きずり戻されて殺されてるというような非常に、その間わずか20分っていう。そのわずか20分で人は殺され、未解決になってしまうという。
ニポポ:
これの不思議なところが、この時代にミニカトッポの黄色とかいうめちゃめちゃレアケースな車が目撃されていて。さらに喫煙をしていたっていう情報まであるというところがあるのに、犯人にいき当たってないんですよね。これがどういうあれなのかなというね。
中田:
これも見つかってないですね。
ニポポ:
これが確か、今年もう時効を迎えちゃったんですよね。残念なことなんですけれども、未解決事件入りしちゃったわけですね。
中田:
完全に迷宮入り事件ですね。