元受刑者が語る女子刑務所のリアル ――「全裸四つん這いで身体検査」「夜中は大便以外は流せない」
ミュージシャンの西川貴教さんらが「学ぶ」をコンセプトに「身近で当たり前の事だけど詳しく知らないモノ、事」をテーマに深掘りしていく番組「西川学園高等学校、略してN高!」。
今回のテーマは「刑務所~犯罪を犯すとどうなる?~」。講師を務めるのは、薬物取締法違反で逮捕歴があり、都合12年刑務所に服役した経験を持ち、現在は差し入れ代行会社の代表を務める中野瑠美さん。
本記事では「服役生活編」として、中野さんが土屋礼央さん、星田英利さん、ミクロマンサンライズ!!!さん、板野友美さんに知られざる刑務所内でのルール、陰湿ないじめの実態を明かしました。
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家族の写真はいとこまでOK――刑務所内に持ち込めるもの
土屋:
(服役が決まった中野さんには)女性としての屈辱的なことが待っています。それがこちらです。なんでこれをやるんですか。
中野:
服を脱いだら全体的に見えますけれど、お尻に何か挟んでいたりとか、手紙や危険物を挟んでいたりするので、一応確認します。入れ墨がどこに入っているかとか、傷がどこにあるかとか、最初に全部検診して帰るときと同じ状況にして帰らせる。一つでも入れ墨が増えていたらミスだしね。
星田:
みんな並んでやるんですか。
中野:
1人です。
星田:
過去に何か入っていたみたいな、伝説の人みたいな人はいらっしゃるんですか。
中野:
手紙が入っていたとはよく聞きます。
星田:
お尻の穴に?
中野:
もう一つのほうに。電話番号を書いて入れていたけれど、出ちゃって見えたとかは聞いたことがあるけれど、私の周りには誰もいたことがないです。
星田:
男性もやるんですか。
中野:
男の人は性器を右、左、上というふうにやると言っていましたね。
板野:
いろいろすごすぎて……びっくりしています。
土屋:
やっぱり刑務所内は私物を持ち込んだらだめなんですよね。でも何個か持ち込んでOKなものがあります。それがこちらです。
土屋:
彼氏はだめ?
中野:
彼氏はだめですが、内部として許可が下りている彼氏はOK。
星田:
ペットとかはどうですか。
中野:
ギリギリOK。
土屋:
持ち込みがだめな理由は何ですか。
中野:
やっぱり私らは悪いことをして中に入っているから、外の楽しいことは見なくてもいいだろうと。家族のことを考えろということでしょう。
土屋:
こちらも持ち込みがいいらしいですね。
土屋:
宗教上の理由ですか。
中野:
今はどうなっているかわからないですが、手に巻いている数珠も許可が下りていたので、私らのときはそれが一つのファッションになっていて、私らのときは、すごく流行っていました。
土屋:
女性ですからオシャレをしたいということで。
ミクロマンサンライズ!!!:
パワーストーンみたいなものは?
中野:
私らのときは全然OKでした。
土屋:
もう一つあります。こちらです。
中野:
拘置所に持ち込んでも全然OKで、医務のほうで薬代がかかってしまうので、自分で買えるものは自分で買って使ったらどうですかと。
星田:
病気のある方は常備薬とかは?
中野:
常備薬は医務でもらえるし、外の病院からもらった書類と同じ薬を飲ませます。
西川:
処方箋みたいなものですね。
中野:
でも最低限のものしかもらえないので、風邪を引いても熱が38度くらいにならないと薬をもらえないし、薬をもらったら一週間、お風呂に入れないんです。そうすると同じ部屋の人に「あんた汚れやな」って言われるから、飲むに飲めない。
西川:
なんで薬をもらったら、お風呂に入れないんですか。
中野:
薬をもらった代わりに、「あんたは病気だからお風呂に入らなくてよろしい」と。だからお風呂を取るか、薬を取るか。雑居部屋ならお風呂を取らないと臭いって言われる。
土屋:
お金はどうなんですか。
中野:
お金は大丈夫です。大丈夫だけど、自分の手元には持てなくて、刑務所の会計さんが全部預かってくれるんです。
星田:
ピアスはどうなんですか。
中野:
ピアスは全部取らないとだめです。
初日は仕事を選ぶための適性テストを受験
土屋:
初日にまだやらないといけないことがあります。それがこちらです。これは何ですか。
中野:
刑務所に入って、私もはじめて先生に会うし、先生もはじめて私に会います。すると、どういう性格かもわからないし、知識もどれくらい持っているかわからないから、とりあえず刑務所に入ったらテストをします。漢字の書き方、読み方、英語のローマ字を書けますか、読めますか、数字の足し算、引き算、掛け算、割り算。方程式はないけれど、ある程度の問題が出てきたりとか、簡単な適性検査があります。
運転免許証の試験のときにやるような、感情的な適性検査があって、「あなたはこういう人ですよ」みたいなものが出てきます。
土屋:
それで刑務所内の仕事が選ばれると。人気の仕事は何ですか。
中野:
炊場ですね。ご飯を作るところ。
星田:
楽なんですか。
中野:
1日中体を動かしているので、時間が経つのが早いし、パンが大きいんですよ。A食、B食、C食とあって、動き回る仕事はA食、座席に座って作業するのがB食、独居房の人はC食と決まっていて、動き回る炊場さんは月に6回ほど出るパンがすごく大きいんですよ。
刑務所の中は甘いのが食べられないので、パンに付属するジャムが甘いので、それをどうにか、ゆっくり美味しく食べたいと。
西川:
ちなみに他の仕事ってどんなのがあるのですか。
中野:
ミシン作業があったり、プレス作業があったり、お面とかお守りとかも全部刑務所で作っています。有名な会社の紙袋も作っているし、結構刑務所で作っているものって、ダイソーとかでも見ます。結構多いです。
土屋:
先生は何の仕事をしていたんですか。
中野:
私はミシン作業をしていて、ミシンを教えたりしていました。
2日目に刑務所のイロハを学ぶ新入房へ
土屋:
仕事先が決まったところで、2日目に入るとこうなります。
中野:
拘置所とかは友達同士でワイワイしているんですが、刑務所に入ると新しい人として、今までいた人の中にポンと入るのですが、この新入房で刑務所のイロハを教えてもらえます。
土屋:
1人につき、7人が教えてくれるということで、その間取りがこちらです。ドラマとかで見たことありますね。プライバシーも全くないですね。
中野:
トイレくらいしかないですね。
土屋:
テレビがあるんですね。
中野:
ありますね。
星田:
力関係は新入房でもあるんですか。
中野:
多少あります。新入房には何回か捕まっている累犯と初犯が一緒に入るので、やっぱり累犯は風をきかせます。
西川:
「あんた、また帰ってきたん?」みたいな。
中野:
そういうのは結構あったみたいですね。
板野:
それって殺人をされた人とかも一緒の班になるんですか。
中野:
一緒です。
板野:
性格的にいきなりヒステリックになったりする方とかも……。
中野:
そうですね。殺人の方、放火の方は気が強いですね。
西川:
でも言わば、女の人だらけでAKB48みたいなものでしょう(笑)。
土屋:
テレビのチャンネルは誰が決めるんですか。
中野:
毎晩、新聞が回ってくるので、みんなで「どれ見る?」って選びます。
星田:
どんな番組が人気ありましたか。
中野:
「ミュージックステーション」とか、ダウンタウンさんの番組とか、旅の番組とか。
ミクロマンサンライズ!!!:
チャンネル争いとかあるんですか。
中野:
おばあちゃんもいるので、「今週は歌謡曲を見よう」とか「今週はチャンバラを見よう」って、仲良く決めます。でも、どうしても見たい番組があるときは、おばあちゃんに「この本面白いから、読んどき」って(笑)。
土屋:
見られる時間が決まっているので、相撲が多いらしいですよ。
星田:
「警察24時」とか、そっち系の番組は?
中野:
すごい人気ありますよ(笑)。
土屋:
それで共同生活をする中で、マナーがあるんですよね。気をつけなければいけないのがこちらです。
中野:
電気が消える前ではワイワイしてもOKなんですけれど、電気が消えた瞬間にトイレに行くときのドアをガチャってやる音でも「チッ」って舌打ちが聞こえるんですよ。夜中は大便以外は流してはいけない。
手を必ず洗わないといけないのですが、下にスポンジを置いているのですが、そのスポンジから水が流れる音が出ると、次の日に「昨日、うるさかったわ」って言われるし、手を拭くときにタオル掛けがあるんですが、人のタオルに触れると「触らんといて」って言われるし、すごいキツイです。
土屋:
これを2週間やるんですって。