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「覚せい剤は中学時代に」「23歳から計12年獄中」元薬物中毒の女性が“薬物の危険性”を壮絶な半生と共に語る

 ミュージシャンの西川貴教さんらが「学ぶ」をコンセプトに「身近で当たり前の事だけど詳しく知らないモノ、事」をテーマに深掘りしていく番組「西川学園高等学校、略してN高!」

 今回のテーマは「刑務所~犯罪を犯すとどうなる?~」。講師を務めるのは、薬物取締法違反で逮捕歴があり、都合12年刑務所に服役した経験を持つ中野瑠美さん

 本記事では「経歴紹介編」として、事業家の娘で将来有望な器械体操の選手だった中野さんが、覚せい剤に手を染め、今まで3回逮捕されるに至るまでの経緯を土屋礼央さん星田英利さんミクロマンサンライズ!!!さん板野友美さんに紹介しました。

中野瑠美さん。

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覚せい剤に手を出したきっかけは中学の転校

左手前から時計回り順に西川貴教さん、ミクロマンサンライズ!!!さん、星田英利さん、板野友美さん。

土屋:
 中野先生がどうして犯罪に手を染めたのかを知っていきたいと思います。ではまず、先生の生い立ちからいきましょう。器械体操の有望選手で将来の夢は学校の先生って、素晴らしい!

西川:
 この写真の年齢で小型犬を飼えているって、まぁまぁのご家庭な感じがしますよね。

土屋:
 そこから転落してしまうわけですけれども、そのきっかけになったのがこちらです。環境の変化ということが……。

中野:
 結構大きかったですね。中学校2年生になったばかりでした。すごい真面目な中学校だったので、全然そういうこともなかったし、私自身が器械体操一本できていたので、その世界を見たことがなかったんです。

土屋:
 そこで遊びだしちゃうんですよね。どういうことをやっていたんですか。

中野:
 転校した先の中学校が廊下に単車が入ってきたりとか、運動場に車が入ってきたりとかすごい学校だったので、「すごいな~」と思って。転校生だったので、周りに面白い目で見られたりとか、いろいろなことがあって、誘われて、でも今まで真面目にずっと体操をしてきて他所を見ていなかったので、いろいろなことに好奇心が湧いてきて、全部楽しくなって。

 器械体操を辞めちゃって友達とずっと遊ぶようになりました。

土屋:
 楽しくなっちゃって、こちらに手を出すんです。

一同:
 えぇ!?

土屋:
 でも中学生で覚せい剤って手に入るんですか。

中野:
 先輩たちがやっている人が多かったりとか、地域的に西成区が近かったりするので、手に入りやすかったのかなと。

土屋:
 中毒にはならなかったんですか。

中野:
 自分がお金がなかったので遊ぶ程度でしかできなかったから、何回も買うことはできなくて……。

星田:
 小遣い程度でできるくらいのお値段だったんですか。

中野:
 先輩たちがやっていたので金額的にはわからないですけれど、「ちょっとやってみる?」みたいな感じで。

西川:
 軽っ!

板野:
 最初に怖いというのはなかったんですか。

中野:
 怖いと思うより興味のほうが大きくて、それをやって死んでしまうんじゃないかとかそういう心配の前に、「それ、何やろ?」っていう気持ちしかなかったですね。

西川:
 友達もやってるから、「私やりません」って言うと仲間はずれみたいな。

中野:
 自分だけ遅れちゃったりする、しょうもないプライドとか意地があって……。

不倫破局の末、覚せい剤の使用を再開

土屋:
 でもまだここでは捕まっていません。次にいきましょう。

土屋:
 17歳で妊娠、出産。結婚生活の末、離婚。なんだかんだ21歳までに3人の息子さんを出産。21歳のときにはラウンジを2軒やっていたという、ビジネスの才能もあったんですね。まだまっとうな、法には触れていないところなのですが、ただ、犯罪に手を染めてしまう出来事があるんです。こちらです。

中野:
 簡単に言うと、私が大好きな人にフラれただけ。それが今となって考えたら、普通の失恋だったんだけど、経験が少なくていろいろなことを考える頭がなくて、フラれたことにすごく落ち込んでしまって、「どうでもいいわ」と思ってしまった。

星田:
 相手には奥さんがいらっしゃったんですか。

中野:
 逆です。

星田:
 あ! そっか! 自分、旦那がおりながら不倫して薬って……。

中野:
 別れそうになっていたときに出会った感じです。

土屋:
 そういうことで覚せい剤を手にすることによって同類の友達が増えていったということなのですが、覚せい剤仲間の中に、車の販売をやっている人がいたんですよね。

中野:
 知り合ったときに、すごい景気のいい車屋さんがいると思って。結局フタを空けてみれば全然違っていて、窃盗団のボスだったみたいで。

板野:
 何ですか、自動販売機荒らしって……。

土屋:
 アンダーグラウンドの総合商社と言われているところですね。でも一緒につるんでいて、この仕事をやっているのはわかっていたわけですよね。

中野:
 最初、全然わからなくて。毎回会うたびに車が違うとか、すごいお金を持っているんですよ。車屋さんをやっているからお金を持っているんだなと思っていたんですけれど、ナンバープレートを貼り付けたりしているのを見ていて、車屋さんってナンバープレートも作るんやなって思って。

 子供だったので、陸運局がわからなくて。でも見ているうちに、違うなと思って。コイン洗車に行ったときにナンバープレートの数字が飛んでいったんです。

 いろいろ聞いていくうちに、「実はこうなんだよ」って言うから、すごいなと。

土屋:
 そういうことでいろいろな悪事に手を染めはじめて、ここで覚せい剤の所持で捕まってしまうんですよね。ただ初犯なので執行猶予が付くんですよ。

西川:
 最初のときはなんで捕まったんですか。

中野:
 男の人を待っていたんです。彼を待っている間に寝ちゃったんです。寝ているときにトラックの運転手の人が「車の中で女の子がずっと寝てるけれど、死んでるんじゃないか」と通報してくれて、救急車とパトカーが来て。実は体に覚せい剤が入っていたからっていうので、初めての逮捕になりました。

星田:
 覚せい剤が入っていたから眠たくなって寝ていたんですか。

中野:
 覚せい剤が終わっちゃって、眠たくなったんだと思う。

覚せい剤を打たないと生活ができないという状況へ

土屋:
 執行猶予が付いて出てきて、その男性とも関係が続いていたんですけれども、23歳になった中野さんは住んでいた大阪から200km離れたところで逮捕されます。

西川:
 鳥取に何をしに行くの?

中野:
 一緒にいた男性が覚せい剤を持って「鳥取に持って行くから、一緒に来い」ということで、一緒に行ったんです。大雪が降って通行止めになったので大山(だいせん)でスノーボードをしようとなった。

西川:
 その白い粉はどっち!?

星田:
 パウダースノーのパウダーはどっちのパウダーや(笑)?

中野:
 時間もあるし、雪もあるし、4人で行っていたのでスノーボードでもやろうって。相手からも連絡が来ないから。とりあえず皆生温泉に行ってお風呂に入って、ご飯を食べたんです。そのときにお会計をした男の人がクレジットカードで支払いをしたみたいで、そのカードが使えなかった。

 それで現金で払っておけば話は収まっていたんですけれど、そのままクレジットカードを切って、宿泊しているホテルに来たんです。そのときはお金を払っていないことを聞いていなかったので、何も知らないで寝ていた。

 なにわナンバーのベンツとなにわナンバーのBMWが仲良く並んでいるから、すごく目立つじゃないですか。飲食したお店の人が、「なにわナンバーのベンツとなにわナンバーのBMWが行きました」って通報して、ホテルの中に警察が8人くらい来て、逮捕されました。

土屋:
 逮捕されて初めて刑務所に入るのですが、それがこちらです。

西川:
 宿泊したところの管轄でというところですね。

板野:
 そのときはお子さんはどこにいたんですか。

中野:
 「ちょっと出かけてくる」と言って出てきたので、私のお母さんが見てくれている状態でした。そのまま何も言えず刑務所に行く形になっちゃったから、お母さんが育ててくれるという形になって。

西川:
 連絡はどうするんですか。

中野:
 警察に捕まって2日くらいは連絡できなかったと思うのですが、その2日くらいで、「どこの警察に捕まっていますよ」というのが裁判所から連絡が来るみたいです。

土屋:
 そこで4年を過ごします。出所するのですが、覚せい剤っていうと再犯率って高いんですかね。

板野:
 そのときは中毒になられていたんですか。

中野:
 そうです。しんどいから打つ。気持ちいいとかじゃなくて、体がしんどいから打って、それを繰り返す。気だるいし、寝てしまうし。イライラすることがあったら、覚せい剤を打つと、そのときは気が楽になる。でも何時間したら同じことを繰り返すので、気持ちいいとかじゃなくて、打ってなかったら起きていられない、生活ができないという状況でした。

西川:
 一度でどれくらいの量でどれくらい持ちますか。

中野:
 お酒が強い人とか弱い人とかの差があるみたいに、薬にも強い人と弱い人がいるので、強い人なら結構な量を打ってもいけるし、弱い人なら目盛1でもいい人もいる。

星田:
 仲間内では「全然けぇへんわ」みたいな人もいるんですか。

中野:
 頑張って「俺、こんなけいけるねん」って言うてるけど、見ていて心の中で「死んじゃうぜ」って。

土屋:
 出所したあとも、また11カ月で捕まってしまいます。再犯する理由はこういうことでございます。

西川:
 そうなっちゃうか……。

土屋:
 家族のところに戻るということはないんですか。

中野:
 母が子供を見ていたので、私が急に帰ったら子供のリズムも狂うし、こういうことになっているから家族からの信用もないので、子供を返すこともできない。「あんたが家におったらリズムが狂うから、自分で考えてほしい」って言われたんだけど、4年間も刑務所に入っていて、お金もないし、とりあえず泊まるところもないから、友達のところに行って……。

西川:
 そうすると当然覚せい剤の常習者の方がいらっしゃったり。

中野:
 そうですね。そういう人って、同じ気持ちになったことがあるから、優しいんですよ。

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