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北朝鮮の平昌オリンピック参加表明は「非常にしたたかな外交攻勢」金正恩の思惑を政治学者が解説

五輪参加に向けて韓国と北朝鮮は水面下で話を進めていた?

山本:
 特に韓国というか、朝鮮半島の情勢、民族性をよく知っている先生の言葉なので余計に心配なのですが、日米韓が連携していく、そうすると今日本とアメリカが一番心配しているのは韓国が離脱していくことなんですよ。北とあまりにも融和姿勢をとることで、包囲網が狭まってしまって、せっかく最大の圧力をかけるという方針、昨年12月の国連安保理決議も結構中身が厳しい。

 核実験はもちろんだけどICBMの実験や開発に資することをやったらって解釈の余地があるにしても、「次やったら石油にも踏み込みます」って書いてあるわけでしょう。そこまでこうやってやってきているんだけど、今の説だとそういう戦略自体が無駄みたいなね。

 元々南北はこのままだと融合していく、意識的にそうなっていく流れとなったら、南北融和の流れ、むしろ韓国の文在寅政権、たとえば金剛山の炭鉱再開とか、開城(ケソン)工業団地の再開とか、「韓国だけでは決められません」とか言ってるのに、結局そっちの方にいっちゃうとなると、今の日米韓が連携して圧力をかけて譲歩を引き出そうという戦略自体が成り立たないという感じになってきますが、どうですか。

武貞:
 それは成り立たなくなりますが、しかしながら一つは、日本韓国アメリカが協力しあって北朝鮮の核問題を解決しないといけないということをずっと言ってきたこの1年を思い出しても、昨年の6月以降は水面下で北朝鮮にいろんな形で韓国は働きかけて、南北の対話の道を探ってきたんです。

 昨年の9月以降は人道的支援ということで、800万ドルの人道支援のお金をいつ払うかということを検討していると正式に発表しましたけれども、韓国は北朝鮮のオリンピック参加のためにIOCとも話し合って、締め切り期限を過ぎるんだけれどもフィギュアスケートのペアの北朝鮮の二人が参加できる道はあるだろうかと1月1日の金正恩委員長の演説の前に、IOCと韓国と北朝鮮が水面下でずっと話し合ってた。

 これは日本は全く知らなかったわけですよ。アメリカ政府も知らなかったかもしれない。だから1月1日に自信満々で金正恩委員長が「平昌オリンピックの成功を願っています」なんて言えんたんですよ。何も真っ白な状態で「希望しています」「願っています」と言うはずがないんですよ。

 それを言った限りは、南北が一緒に協議をしてオリンピック参加という流れにならなかったら、金正恩委員長は恥をかいちゃう。1月1日の時点でそう言ったということは、ほとんど水面下で決まっていた。これは核問題をめぐって北朝鮮と対話をそんな軽々しくやっちゃいけないよという雰囲気の中で、水面下でずっとやっていたんです。

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