プログラマー小飼弾氏が選ぶ、2017年を総括する3つのキーワード「前原」「凍結」「ビットコイン」
ニュース2017第ニのキーワード『ビットコイン』
山路:
そしてふたつ目の注目キーワードというのが、これは外せないでしょう『ビットコイン』。弾さんも選んだ通り、今年が仮想通貨元年だということは間違いない。
小飼:
普通の人も売り買いするようになり、あと日本国政府がちゃんと仮想通貨とはなんぞやというものを定義し始めて、「じゃあ、仮想通貨の売買はちゃんと税金とるけども、税金を払う時はこういうふうにしてね」というのを曲がりなりにも出したという意味では、間違いなく元年です。
どんどん分岐するビットコイン、残るものはどれ?
山路:
2017年はハードフォークといって、新しい通貨がどんどん生まれていったじゃないですか? ビットコインキャッシュ、ビットコインゴールド、ビットコインダイヤモンド、最近だと、スーパービットコインやライトニングビットコイン。このまま分岐し続けていくんでしょうか?
小飼:
いっぱい出てきてはいますが、ほとんどのものは、鳴かず飛ばずになるでしょう。だけど、ビットコインキャッシュは根付くと思います。
山路:
これだけ同じビットコインというチェーンが連続して、ビットコインとして続いてきて、そこで仕様を変えるときに分岐するわけですよね? ビットコインは分岐して、本家争いみたいなものは起こらないんですか? あっちが元祖ビットコイン、こっちが本家ビットコイン。ビットコインキャッシュという名前を新しくつけて生まれていますけど、その本家ビットコインというものを使う権利みたいなものはだれが持っているんですか?
小飼:
いや、権利なんてないですよ。ルールに則ってここまで続いてきたブロックチェーンのことをビットコインと言っているだけで、ルールを変えたものというのは、別の名前を名乗っているというだけです。
山路:
でも、ビットコインの今の仕様は、いろいろ欠点も指摘されていて、それこそハードフォークの原因のひとつでもあるわけですけど。
小飼:
まさにビットコインキャッシュの場合はそうで、今はビットコインキャッシュのほうが、正直使いやすい通貨になっています。
大きな改良が加わったビットコインはビットコインと言えるのか?
山路:
コメントにも出た、セグウィット2x。本家のビットコインに大きな改良が加えられたら、それはビットコインと言えるんですか?
小飼:
ちゃんとビットコインのプロトコルの中で出来るようになっています。だからルールを変えるときは、こういう手はずを踏んで、ブロック番号いくつからというのは、ちゃんとやっているので、どれがビットコインのチェーンなのかというのは、迷いが生じないようにちゃんとなっています。ビットコインという名前は、そもそも実装が出る前から、ナカモトの論文のタイトルがまさにビットコインだったので。
山路:
そこのところで本家争いは、基本的に起こらないようにはなっていると。
小飼:
ビットコインに関しては、本家争いが起きようがない。
ビットコインは商標ではなく論文のタイトルだった
山路:
商標というよりは、そういう論文の名前にもついていた存在ということなんですね。
小飼:
タイトルからいって、もう完璧ですよ。『Bitcoin : A Peer-to-Peer Electronic Cash System』と書いてあるわけですから。必要にして十分で、なにもかもが含まれているタイトルですし、論文はたった9ページなんですけれども、必要な要件というのが全部書いてあるわけです。
山路:
登録商標を取られたというのは違うわけなんですね。
小飼:
そんなものはいらないんですよ。そこがすごいところなんです。
山路:
匿名の人が書いたその論文に名前がついていて、それがそういうものだと定義されていると。
ニュース2017第三のキーワード『前原』
山路:
弾さんが選んだ今年のニュースの3番目のキーワード『前原』。これが今年の注目ニュースの3番目ですか。なんですかこれは(笑)。
小飼:
注目せざるを得ないでしょう。これだけ人を見る目がないというのは、2連チャンですよ。
山路:
まず1件目というのは、希望の党の、結局民進党を事実上解党することになったというところの。
小飼:
おかげであの立憲民主党ができたという。あれ、略して「りゅうみんとう」と読むのかな(笑)。
山路:
2件目がバノン氏と笑顔のツーショット。
小飼:
いや、政治家としては致命的ですよね。
山路:
あえて前原さんの擁護をするならば、トランプ政権の一員であるバノン氏とパイプを作ろうと。
小飼:
いや、トランプ政権すら捨てた人なのよ。曹操が言ったとも言われる鶏肋というセリフがありますよね。
山路:
鶏の肋骨。
小飼:
そうそう、おいしいんだけれどもろくに肉が付いてないし、だから食えなかったところで惜しむまいと言ったのではなく、もうゴミだから。
山路:
(笑)
「あのトランプ政権さえ捨てた人材」のスティーブン・バノン
小飼:
バノンって、もうゴミだから。なんでしたっけ、齋藤ウィリアム浩幸。
山路:
最近話題になっていますよね。
小飼:
あれ以下であるということが全世界に知れ渡っている人なわけだから。そういう人がわざわざ日本に押しかけて来た、あるいは呼んだ人がいるのか?
山路:
そういうイベントみたいなものに呼んだっていうことなんですけれども。
小飼:
生ゴミじゃん。
山路:
なんか一発逆転をかけたのかなという気もしなくもないんですけれどね。
小飼:
いや、逆転しようがある?
山路:
産経と幸福実現党。イベントを主催した人に関しては、いろいろ記事は出ているみたいですけれど。
小飼:
まだトランプ政権のアドバイザーだったころに呼ぶのであれば、ある程度の意味があったかもしれない。でも、あのトランプ政権さえ捨てた人材なのよ。
山路:
前原さんはどこに向かっているのかなという気は、個人的にはちょっとしています。
小飼:
例えば、ここにあるのが生ゴミだったら、やっぱりみなさん僕の人格を問うでしょ? そういったことを2連チャンでやったわけです。
山路:
でも、前原さんもなかなか政治家としてはしぶといですよね、いろいろ。
小飼:
選挙区、京都だっけ?
山路:
ちょっとすぐ思い出せないんですけど。なんかわりと希望の党のときのやつで、みんな「ミスったかな」ふうには思われたわけじゃないですか。
小飼:
なんでしたっけ、「このハゲー!」の人。
山路:
あれ、なんだっけ。ちょっと名前をど忘れしたんですけど、豊田。
小飼:
この人も選挙の洗礼を受けて落選しちゃったのに。
山路:
今度はさすがに危ういかもしれないなっていう気もしますもんね。
人を見る目がない日本政府
小飼:
人を見る目のなさというのは、キーワードとして『前原』を挙げましたけれども、齋藤ウィリアム某さんを入れちゃったわが国の政府というのは一体なんなんだと。でもそれを言い出せば、稲田防衛相だったわけですよ。だから本当にうちらの政府というのは、どこまで人を見る目がないんだ(笑)。
山路:
事前に調べないんですかというのは素直な疑問として、齋藤ウィリアム、なんか経歴詐称だったわけですよね。
小飼:
僕は、あのニュースが発覚するまでは、そもそもそんな人がいたのかっていうような意識だったんですけれども。
山路:
私も細かいところがわかってないから例えが適切かわからないですけど、ショーンKの事件を彷彿とさせるところが。でも、説得する口のうまさというのはある意味すごいものがあるんだろうなと感心するところではありますけれども。
小飼:
でも、それは採用する側がすごくまずいということですよ。
山路:
「ショーンKは復帰で」。たしかに番組復帰するみたいですよね。
経歴詐称は日本に限ったことではない?
小飼:
芸能人というのは資格が問われない世界なので、それはそれでいいと思うんですけども、でも経歴詐称というのは別に日本に限ったことではないです。なんで人は経歴を詐称したがるかと言えば、効果があるからです。
山路:
リスクを取るに値するだけの見返りがあると期待するから、みんな嘘をつくわけですもんね。
小飼:
実際に普通に本当に経歴を積み上げるのであれば、例えばどこどこ大学卒というのを出すだけでも4年制の大学であれば、飛び級があるところは2年で卒業できたりもするわけですが、普通は4年120単位、セメスター制で120単位分の苦労を積み重ねなければいけないわけですけれども、要約してしまえば、例えば東大卒なりUCLA卒なりになるわけですよね。
山路:
そんなに事前に調べるのが難しいのかなという気は、正直しなくもないんですけれどもね。
小飼:
それがあってもなお、バノンだけはまずいのをやらかしちゃうわけです。
山路:
政治家になる資質というのは、結局なんなんだろうなみたいなところは改めて思っちゃいますね。
小飼:
こういうのもなんですけれども、「1億総前原」ぐらいに思っていたほうがいいですよ。われわれも本当に人を見る目があるのかと。今の政権の中のみなさんを見て、人を見る目があるのかと。
山路:
結局、選んだのは私らですもんね。
小飼:
選ぶ人を選んだわけですが、日本の場合直接ではなくて間接なんですけれども。
山路:
ニュースのキーワードとしては前原だったけども、結局私らの見る目が大丈夫かと。
―関連記事―