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ヘイトスピーチは巨大メディアの意図しない刷り込みで助長された? “ネットが是正する可能性”にジャーナリストが言及

言論の自由を盾にすることの代償

松嶋:
 では、続いてのメールにまいりたいと思います。

 (メールを読む)「憎悪表現は相手が即座に(言葉によってはもちろん、ときには暴力によってさえも)反撃できないような、いわば先制攻撃を仕かけることによって相手を黙らせる力を持つものである」と、私の読んだ本では、このようにヘイトスピーチの持つ働きについて説明がされていました。

 このようなヘイトスピーチがあふれると、自由に物事を議論できるという風潮も失われていくと思います。ヘイトスピーチを使う人たちが言論の自由があるからという言葉を盾にしているのを見ると、口惜しい気持ちになります。

角谷:
 つまり、やっぱり言葉足らずのこと、情報不足が誤解の連鎖を生んでいるっていうのは、間違いないと思うんですよ。

 ただ、僕はある意味では、巨大メディアが意図していないかもしれないけど刷り込んできたものを、少しでも是正させる役割がネットは持てると思っているから、「何でこんな番組をやるんだ」とか思っている人もいるんですよ。でも、僕は意味があると思ってやっている。

江川:
 それはすごくある。

角谷:
 いろんな多様性を知ってもらってから考えをまとめていかなきゃいけない。江川さん、どうぞ。

江川:
 人間っていうのは、大体見たいものしか見ないんですよ。だから、「こういうものは見ない」っていう人が多い中で、しかし一方でニコニコ動画がやるとたくさん見ているわけですよね(笑)。だから、そういう意味ではすごく意味があると私は思います。

 だからこの中で何か知らなかったことがあって、知る喜びをもう少しみんな味わった方がいいと思う。思い込んだことばっかりに固執するよりも、自分が知らなかったことがいろいろ出るわけじゃないですか。

 「このおばさん、こんなことを言っているの」みたいなのも含めてね。だから、そういうような知る喜びみたいなものをもうちょっと味わってほしいし、もうちょっと柔軟になってほしい。

松嶋:
 ちなみにですが、2万2400名が今ご覧になっていて。

中沢:
 すごい!

松嶋:
 異例ですけれども、6万のコメントが来ています。なので、一人が3回以上書き込んでいるような状態。

一同:
 (笑)

鵜飼:
 すごいですね。

角谷:
 まさにネットの役割をやっぱりこういうところで生かしたいと思っているんですよ。だから、きょう例えばたくさんのみなさんに声をかけていただいて本当にありがたいと思うんですけど、「一方的だ」とかたくさんご指摘もいただいた。

 そうじゃないんですよ。いつもの話はいつもみなさん知っているでしょう。みなさんの「気持ちのいい話以外の話を聞いてみようっていうのはダメなのか」ということですよ。僕だって初めて中沢さんの話を聞いて、ちょっとびっくりしたこともたくさんありました。

中沢:
 すいません、ちょっと暴走しすぎました。お詫びします。

角谷:
 でも、考えてください。テレビ局だったら、「中沢さん、もうやめてください。もうCMです」とやめられちゃったり、いつの間にか中沢さんの机がなくなっているかもしれないときもある(笑)。そんなことじゃないことをやろうっていうのが、やっぱりこの番組の覚悟と心意気なんだと思います。

 だからどういう立場の人でも出てきてもらって、ここで声をかけてもらって、ユーザーの人たちもいろんな声を言ってください。それでつくられていく文化があるはずだと思っているんです。

弱い者いじめをするのは恥ずかしい

松嶋:
 鵜飼さん、いかがですか。

鵜飼:
 中沢さんのお話、それから江川さんのお話を伺う中で、やっぱりどういう圧力の中でこのヘイトスピーチに反対する運動がなされているのか、それからメディアにかかわっていらっしゃる方たちが、どういうことをこの局面で注意深くなっていらっしゃるのかということは非常によく分かりました。

 私は、やっぱり何らかの法律ができるということは、近代の法律は「教育刑」ということなので、トータルで社会を変えていくための法律ということで、その理念がとりわけこのテーマでは重要になってくるんじゃないかなと思っています。

 メディアも含めていろいろなところで、どう我々自身が「自己教育」とか「総合教育」ということも含めて変わっていけるのかということ抜きには、人ごとで言うことはできないテーマだろうと思います。

角谷:
 ありがとうございました。

松嶋:
 江川さんはいかがですか。

江川:
 これは文化の問題でもあると思うんです。「弱い者いじめをするのは恥ずかしい」っていうのは、やっぱり日本の伝統文化の一部だった、少なくともそれを建前として日本の文化はつくられてきたと思うんですよね。

 特に保守を自認する人たちは、そういう文化をもう一度見直してほしいなって思うんですよね。マイノリティをこうやっていじめるっていうことは、弱い者いじめですよ。そこのところをもう一度考えてほしいなと思います。

角谷:
 ありがとうございました。松嶋さんは、きょうはどうでしたか。

松嶋:
 コメントも見ながら、いろいろな意見があるっていうのは、もちろん最初から分かっていたところではあったんですけれども、韓国とかに対していわゆるネガティブな発言をしている人たちの意見もちゃんとくみ取りつつ、やめなきゃいけないっていう意見も聞きつつ、私自身も両方ちゃんと聞いていきたいな、と。

 思考停止しないように頑張りたいな、と思いながら見ることができて、とても勉強になりました。

角谷:
 ただ、媒介しているのがネットだっていうことがあるとするならば、ネットは自分たちで何もできないんじゃないってことをたくさんの人にぜひ知ってもらいたいと思うし、ネットの努力というのを絶えずしていくことの先頭にニコニコ動画は立っていこうということも、改めて感じますね。


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