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JASRAC理事長、音楽教室からの徴収を語る「仲間内にやさしいっていうのはまずいですよね」

「音楽教育を守る会」の言い分とは!?

中村:
 続いての質問に行きます。

質問内容および番組中で紹介した回答の概要

Question:
 「音楽著作物の『実演』(演奏?)をビジネスの重要な素材として使用し、利益を得ているのに、その使用の対価を権利者に支払わないのはおかしい」との意見に対して、どのようにお考えですか?

Answer:
・「テキスト(楽譜)における複製権」および「発表会での演奏権」の申請はしており、管理事業者に著作物使用料の支払いを行っている。

・第一回口頭弁論で浅石理事長が述べた「受講料収入から1円たりとも創作者に還元しない(と守る会側が主張している)」という意見が、どのような意図なのか伺いたい。

・テキストでは使用楽曲リストを添付、発表会では演奏楽曲を記載したプログラム(出演者と演奏楽曲が記された冊子)を送付しており、権利者に分配がなされているはずである。

・ファンキー末吉さん事件やネットでも指摘があるように、 分配の透明性について、権利者や利用者に十分に納得できる 説明をしていただきたいし、それができないのであれば、創作のサイクルも叶わないのではないか。

※質問と回答の全文はこちら→「音楽教育を守る会」への質問事項および受け取った回答全文

中村:
 支払ったとしても分配の不透明性がある以上、なぜ支払う義務があるのか? という回答ですね。

 質問と回答の紹介を続けます。

質問内容および番組中で紹介した回答の概要

Question:
ピアノ以外の楽器教室、カラオケ教室、その他専門学校での楽器教育等、公的な教育以外の私的な音楽教育ビジネスは多岐に渡ると考えられますが、どこまでが支払い対象と考えていますか。また、その基準はどのように考えていますか?

Answer:
質問1の回答と重複するが、演奏権(第22条)がおよぶ範囲であるかどうかで考えている。

※質問と回答の全文はこちら→「音楽教育を守る会」への質問事項および受け取った回答全文

中村:
 1つめの質問と重複しますという回答ですね。

質問内容および番組中で紹介した回答の概要

Question:
アメリカではすでに「音楽教室」での音楽著作物の使用に関して演奏権の対象として、使用料が徴収されていますが、このことをどのように考えますか?

Answer:
・米国その他の諸外国と日本では、著作権法・司法制度・国策としての文化振興のあり方・市場の理解等々、多くの点で違いがある。

・音楽教室での著作物の利用を徴収対象とする国も、そうでない国もあると考える。

・特に米国はフェアユースの規定もあり、どういった事由で 制度化されているのか、慎重に検討する必要があると考えている。

・なお、司法の判断がなされたあと、「演奏権のおよぶ範囲であり、徴収対象である」となった場合には、その料率については協議の場面や文化審議会等で参考になるかもしれない。

※質問と回答の全文はこちら→「音楽教育を守る会」への質問事項および受け取った回答全文

中村:
 海外では法律や仕組みが違うために一概に言えない、という回答ですね。

 そして、最後にniconicoユーザーの方にメッセージをいただきました。

質問内容および番組中で紹介した回答の概要

Question:
「niconico」の利用者に対してメッセージをお願いします。

Answer:
・大きな注目を集めているので、著作権や音楽教育、それにJASRACという機関を考えるきっかけとして捉えていただきたい。

・多くの方が音楽を愛し、音楽に囲まれて暮らしてほしい。街に音楽がいつも流れていてほしい。そこに無理なく権利者への創作の対価が還元されることが望ましい。

・JASRACの徴収方針や徴収方法が、窮屈な制度やシメツケとなって街から音楽が消えてしまったらとても残念なことである。

・この問題を契機に、JASRACが単なる著作権徴収機能から 信託された楽曲をより多くの音楽ファンに活用してもらえる 音楽マーケット拡大に向けた施策を併せて行える組織・機能に生まれ変わり、より多くの資金が権利者に還流する事を望みたい。

※質問と回答の全文はこちら→「音楽教育を守る会」への質問事項および受け取った回答全文

ひろゆき:
 コメントにもあったんだけど、これって音楽教室側がJASRACが管理している楽曲を使わなければいいだけの話じゃないの?(笑) なんで、質問事項に「JASRAC管理以外の楽曲を使わないという選択肢はないんですか?」「なぜそこまでしてJASRACが管理している楽曲を使うんですか?」みたいな質問が入ってないの!? だって、使わなければJASRACは何も言えませんよね?

浅石:
 そうですね。まったく揉めることはなかったですね(笑)。

ひろゆき:
 ボカロPの初音ミクの曲などで練習するという選択肢はないのかな? 

池村:
 やっぱり認知度のある曲を演奏したほうが、教室としてはいいのでは?(笑)

ひろゆき:
 う~ん……運営さんにはそういう質問をしてほしかったなぁ!(笑)

法律の視点から見るJASRAC VS 「音楽教育を守る会」

中村:
 池村さんは、弁護士としてこの問題をどうお考えですか?

池村:
 論点がいくつかありますよね。「ビジネスか教育か?」という点については感情的になってしまう部分もあると思うのですが、法律的に言うと、公衆に対して聴かせることを目的として演奏することが“権利”の対象となります。ピアノ教室は先生と生徒がごく少数で行っているため、そういった小規模な範囲での楽器演奏が、果たして演奏著作権料の対象となるのか?

 一方で、ライブハウスではないですが、教室が演奏の主体であることがこれまでの裁判例として明らかになっているので、判例に倣うとするとJASRACさんが有利なのかなぁと。

ひろゆき:
 でも、今回って「音楽教育を守る会」側が、JASRACを訴えているんですよね?

池村:
 挑んでいるのだと思います。これまでは、ダンス教室のCD再生問題や、カラオケボックスの問題などで裁判に発展することが多かったのですが、音楽教室というのは初めてのケースです。特に、生徒の演奏が対象になるのか……というのは論点になると思います。

中村:
 たしかに演奏すると言っても、先生の場合と、それほど上手くない生徒の場合がある……。

池村:
 それを分けて考える必要性もあるでしょうね。

中村:
 公衆というのは、不特定多数とは違うのでしょうか?

池村:
 著作権の場合は、「不特定または多数」という解釈です。不特定であればいい。

中村:
 教室の中にそれほど多くの生徒がいなくても?

池村:
 これまでの裁判所の考え方とすれば、特定の教室だけ見れば少数かもしれないけども、誰でも申し込めば加入できるんだから、そういう意味では“不特定”だろうと。その流れがあるので、JASRACさんからすれば、100%勝てると考えているのではないでしょうか。

中村:
 裁判の場に、理事長は出られたんですか?

浅石:
 第一回目のときに。これまでJASRACは(訴える側である)原告の立場だったのですが、今回、被告の立場だったので、いつもと違う景色というか(苦笑)。

ひろゆき:
 なるほど(笑)。

浅石:
 向かい側にヤマハさんたちがいるのですが、よく知っている方々なんですね。「なんでこんなことになっているのかな」という思いもあって、残念な気持ちがありました。私としては、裁判まで持ち込まずとも、話せばわかると思っているだけに……。

ひろゆき:
 でも、世間は話し合いにしないで、裁判として結果を出してもらったほうが分かりやすいと思いますよ。

浅石:
 かもしれないですね。

ひろゆき:
 世間一般からすると、JASRACが大きな組織として認識され、さらには強権的なイメージがあることは否めない。ですから、そこを話し合いにしてしまうと、かえってそのイメージがより強固になってしまうと思うけどなぁ。

浅石:
 音楽産業の中で、ヤマハさんや河合さんと比べたら、JASRACなんて小さいものです。JASRACが巨大組織で、そういった企業をいじめているようなイメージを持たれがちですが、決してそんなことはありません。昔は、我々がものを言うこと自体厳しいものがあったくらいです。

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