ボカロP・Shu&音無あふの“ボカ学対談”!ボカロPとしてのルーツや人気曲の秘密に迫る!【はじめて聴く人のためのインタビュー】
様々なボカロPの人気曲プレイリストを作り、それを元にいろんな裏話を聞く本企画。
今回はシリーズ初の対談インタビューが実現!お話を聞かせてくれたのは、新進気鋭のボカロPも大勢所属するグループ「ボカ学」のShuさんと音無あふさんだ。
ボカ学を牽引する存在として、2024年9月開催された「既存楽曲復活祭2024」では見事ワンツーフィニッシュを成し遂げた二人。
今回はそんな二人の人気曲をプレイリストで押さえつつ、ボカロPとしてのルーツや制作スタンス、そしてイベント時の心境やお互いへの印象など、様々なエピソードを語ってもらった。
現在シーンでも、徐々に大きな台風の目へと成長しつつあるボカ学。
彼らの魅力やその勢いの秘密を、この対談から知ることができるかも。
取材・文/曽我美なつめ
■音楽とボカロ、二人それぞれ大きく異なるルーツとは
──まずはお二人の音楽・ボカロのルーツからうかがえればと思います。
Shu:
僕は音楽のルーツ自体がそもそもニコニコ動画でした。元々家がすごく厳しくて、ポップソングもアニメマンガゲームも禁止、OKなのはクラシックだけ、みたいな。その中で中学の反抗期を迎えて、「もう親に従わねえ!」ってスマホの制限を突破して見てたのがニコニコ動画だったんです。ニコニコを知ったのも学校の友達がきっかけかな。「みっくみくにしてあげる」とか「ナイト・オブ・ナイツ」を「これ面白いよ」って勧められたんです。その中でも「ルカルカ☆ナイトフィーバー」が個人的に特に大きな衝撃で。この曲が今の作風にも繋がる、一番大きな自分の原点です。
あとは当時、ニコニコで神聖かまってちゃんの動画も見てました。の子さんがかなり尖ったニコ生をよくやってた頃ですね。その影響でバンドを始めたり、高校時代は簡単な録音機材揃えて作曲したりもして。その後、大学入る頃に友達からアヴィーチーやスクリレックスを教えてもらって、EDMと出会ったんです。それがきっかけで毎週クラブに通うようになったり、既存曲のリミックスやマッシュアップでDTMも覚え始めて。そんな下地があるので、将来海外でDJや作曲をやりたい、ともずっと思ってますね。
──その中で、ボカロPをやろうと思い始めたのはいつ頃だったんでしょう。
Shu:
大学でDTMを覚えて、しばらくEDMの自主制作をした後に歌詞を書きたくなってボカロに戻りました。当時学生起業をしてたんですが業績がかなり厳しくて、うつ病になっちゃって結局仕事が出来なくなって。でもこの経験を何かしら音楽で表現したいとは思っていたんです。その時「そういえば自分が音楽を好きになったきっかけってニコニコやボカロだったな」と思い出して、ボカロで表現してみよう、と。2020年頃にルカさんを買って、初投稿の「拝啓、私の神様。」が2021年ですね。
──ありがとうございます。続いてあふさんにもお話を聞ければ。
音無あふ:
元々私は母がピアノやバイオリン、父も昔からピアノや吹奏楽をやってるような家で育ったので、私も幼稚園の頃からピアノ教室に通ってたんです。その中である時、父の実家がある北海道に行く日の朝、ニュース番組でたまたま初音ミク特集を見たんです。そこで初音ミクの聖地が北海道だと知ったり、親戚に同じ名前のミクさんって方がいたのもあって、当時の私にとって初音ミクがすごく覚えやすい存在で。そのまま千歳空港にあるミクのショップにも足を運んだり、そういう形でボカロとは出会いました。
加えて当時私のやってたピアノとボカロを結び付けてくれたのは、やっぱりまらしぃさんです。親もオタク文化に全然理解はなかったんですけど、まらしぃさんだったら聴いてくれたり、ピアノのCD買ってくれたりして。そのおかげで、今もこうしてインターネットに居る人間になってしまいました(笑)。
──“歌ってみた”からボカロへ入るように、あふさんはピアノやまらしぃさんがボカロの入口だったんですね。
音無あふ:
その後大きく生活環境が変わって、実は小5の時にインドネシアへ移住したんです。当時、向こうではずっとゲームセンターにある日本の音ゲーに夢中でした。ただ、機種はかなり昔のmaimaiやGROOVE COASTERだったんですけど。基本的に、インドネシアでは危ないから出歩くのはダメって言われてたので、ゲーセン行くか家でプロジェクトミライ(『初音ミク and Future Stars Project mirai』)するか、VPN使ってニコニコ動画やYouTubeを見るか、みたいな生活でした。そんな中で東方のZUNさんへの憧れから最初は東方アレンジをしたいって思い始めて。それが0から1を生み出すってかっこいいな、にシフトした感じですね。
──それが中学の頃ぐらいですか?
音無あふ:
そうですね。中学では絶対パソコンを買ってもらって曲を作るんだ、と思ってたら学校の生徒会副会長になって。生徒会の資料作りでパソコンが欲しいな、ってパパにお願いして買ってもらいました(笑)。そこでStudio Oneの無料版と、当時から好きだったUTAUを入れて、やるぞ!となったんですが、UTAUの使い方があまりわからず…。なので当時好きでよく曲を聞いてて、UTAUを使っていたボカロP・nogiさんのSNS投稿に「UTAUの使い方教えてください」って思いきってリプライしたんです。それがきっかけで今ではnogiさんとも仲が良いんですけど、そこでいろいろ教わったおかげで2021年初旬、高1になった年の冬に初投稿できた形でした。
■実体験をアートに昇華、が共通する二人の制作意識
──そんなルーツをふまえて、お二人の制作のこだわりについてはいかがでしょう。
Shu:
自分の場合は「リアル」「キャッチー」「エレクトロ」の3軸を制作で大事にしてます。特にリアルであることは重視してますね。なので曲の原点は大体僕の体験なんですが、その中でも自分はモキュメンタリーを書いてる感覚で。実話をそのまま出すのではなく、それを元にリアリティある作詞をしてサウンドもそこに合わせる。ドキュメンタリーではなく、作品・アートとして昇華する、という。
──その際、例えばどんな点に気を付けてるんでしょう。
Shu:
ウィットに富んでてクールであるべき、というのはあります。例えば『ヰヱロウ』なんかは特にそれが顕著かな。自分は両親共に芸能関係に縁が深くて、僕自身もお腹の中にいる時から2ちゃんねるに悪口書かれたりして。常にメディアや大衆の目と一緒にある環境だったので、それについて考える機会も多かったんです。その中で就職っていう人生の大きな転機がメディアによって突き動かされて、この体験は絶対に歌にしたいと思ったのが始まりでした。
曲の主題のひとつが“大衆”だったので、その表現のために渋谷の雑踏を録音・加工して音に使ったり、MVにも渋谷を想起する要素を盛り込んでもらったり。歌詞も事実の羅列だけでなく、関連性のある言葉で韻を踏んだり、言い回し表現でリスナーの考察余地も作ってます。
──お話を聞くと、Shuさんの曲はすごく反骨心というか、HIPHOPの精神性に近いものを感じます。
Shu:
それはあるかもしれません。ニコニコ動画でも、Jinmenusagiさんやらっぷびとさんのニコラップ文化にかなり触れてましたし、実はMCバトルに出ていた時代もあるんです。メロディはロックで音はEDM、精神性はHIPHOP、みたいなハイブリッドです(笑)。
──神聖かまってちゃんやボカロ、ニコラップと多彩な音楽ジャンルを、ニコニコ動画を通して素養にしたんですね。
Shu:
でも僕だけじゃなく、ボカ学メンバーにも通ずる部分だと思います。なので結構怖いんですよ。曲の歌詞と普段の主張で整合性のない部分はキッチリ突かれるんで。「『ナ2モノ』で社会に頭下げないってあるけど就職してんじゃん、どういうこと?」とか、「その韻ほんとに必要?惰性で踏んでない?」とか。あふもめっちゃ言いますもんね。
──そんなあふさんは、制作の際どんなこだわりを持たれているんでしょう。
音無あふ:
あふたりふく時代【※】は物語ベースの曲が多くて。というのも、小学生の時は将来の夢が小説家で、当時は東方の世界観なんかも大好きだったんです。そこから大森靖子との出会いで、女性目線で曲を書くことに意味があるんじゃないかと思い始めて。女であることを前提に私にしか書けないものを、が最近の方針です。
※あふたりふく時代
投稿初期は「あふたりふく」という名前で活動していたが、『羊の夢と目覚め』から現名義である「音無あふ」になる。
これは私の「舐められたくない」スタンスもあると思います。私が女子高生ボカロPだった頃も、女の子で年下だからこれまで幾度となく「絶対私の事舐めてるでしょ」って発言をたくさんされてて。なのでそのぶん自分の意志の強さを見せたい。でも一方で女性特有の華やかさや良さを捨てる必要はなくて。最近はそのスタンスで歌詞を書いてますね。その元が大森靖子だったり、父親の影響でずっと好きなアイドルソングだったり、幼い頃好きだった「プリティーリズム」です。女の子は強いからキラキラしてるんだぞ、って。伝えたいメッセージは性別問わず届いて欲しいけど、私が書くから女性目線になる、っていう。
──重ねて最近は、UTAU・足立レイが題材の曲も多い印象です。
音無あふ:
そうですね、足立レイへのデカ重感情を…(笑)。レイに関する曲は毎回ラブレターだと思ってるので、絶対自分では歌いたくなくて。ただ、『零』まではそうだったんですが、『ぷんすこしちゃえ!』はボーカリスト・足立レイを大切にしようと思って作りました。ラブレターばかり書くのも重いなって…(笑)。自分のための曲ばかりだったから、もっと大勢に私の曲を知って貰おうと思ってアプローチを変えたりしてます。
──お話を聞いていると、かなり幅広い引き出しをお持ちですよね。
音無あふ:
すごく飽きっぽいので毎回違う事をしたくて。いろんな挑戦をしたいんですよ。こんなジャンル挑戦してみようとか、今回はかわいいよりダークなやつで、とか。一貫してる部分もあるんですけど。
──それは、例えばどういった部分が?
音無あふ:
端的に言うとずっと暗いんですよ。ボカロPって比較的、怒りや悲しみ、負の感情から曲を作る人が元々多いですけど。私の『超絶プリンセス』も一見すごくキラキラなんですが、これは怒りから作られた曲なんです。肩書きや見た目を理由に舐められるのが嫌って曲で、そういう意味ではShuの曲と性質は近いかな。見た目でレッテルを張られたり、「立ち振る舞いがこうだから性格こうだよね」って決めつけられたくないんです。特に私はボカロPの中でも珍しい顔出しで活動する女性だから、「女で売ってる」とか言われることもあって。それらに対する怒りも丸ごと全部かわいいキラキラにしちゃうぞ、って。怒りそのままじゃなく、それをかわいさやキラキラでデコレートしてこそ私の美しさだ、と思って作りました。
■ 既存楽曲復活祭2024ワンツーフィニッシュ!SNSの“煽り合い”の真相は?
──その中で先日の「既存楽曲復活祭2024」ですが。まずShuさんはついに『シルバーコレクター』を脱却し、『おくとばうんすっ!』で頂点を勝ち取りました。
Shu:
2023年のたこルカ【※】生誕祭で作った曲ですね。曲を作った当時は今ほど創作の軸が自分の中でまだ確立してなくて、少し迷走してた時期でもあったんです。なのでわりとそのまま「何やったらいいかわかんね~!」の気持ちで書いたというか、自分の作品でも最も勢いで書いた曲のひとつかもしれません。あとこれ、実は初めてお酒を飲みながら書いた曲なんですよ。僕自身はお酒自体そこまでで、酒の場でみんなで騒ぐ方が好きなんですけど。酔っ払って勢いで書いたらこうなるってのがわかって、ちょっと面白かったです。
※たこルカ
イラストレーター、三月八日さんが2009年1月8日にピアプロ・pixivで発表した作品。巡音ルカの頭部をデフォルメイラストで、髪の毛をたこの脚に見立てているキャラクター。
──この曲でイベントへ参加した決め手は何だったんでしょう。
Shu:
一番はたこルカを有名にしたかったんです。自分はやっぱ巡音ルカが原点ですけど、同じぐらい派生キャラにも愛があって。でもたこルカって今は知らない人もいる中で、俺ならたこルカを復権させられると思ったし、あとはたこルカでニコニコの投稿祭1位を取ったら前代未聞なんじゃないかって。
それと前回このイベントでappyが1位だった時に、もしかしたらボカ学が活躍できるかもしれないかも、と思って。というのも既存楽曲復活祭って他の投稿祭と違って、曲の初速じゃなく思い入れや浸透度が大事かもしれないと思ったんです。そうなった時、リアルイベントってめっちゃ大事で。ボカ学も自分も、ボカクラみたいなリアルイベントってすごく重視してるんです。DJのご依頼は内容や規模に関わらず積極的にお受けさせていただいているし、Shuは顔出しOKで積極的に顔も外に出しているし。それをSNSで見て興味持ってもらって、イベントにも来てもらう循環を大事にしてて。その中で前回優勝したappyは、いつも自分のDJラストで『Etoowc』を流して皆に聴いてもらってたんですよ。その上で自分の曲だと強いのは何か考えた時に、『おくとばうんすっ!』かな、と。
──ありがとうございます。一方であふさんも、足立レイへの愛を詰めた『ワンルーム・ユニバース』で参加、2位を獲得されました。
音無あふ:
ありがとうございます。ただこの曲は、足立レイへの愛だけで終わらせたくなくて。曲名も音声合成界隈全体を含めた意味合いを持たせてるんです。DTMって最初は自分の部屋で一人で始めたはずが、知らない内にリスナーさんのためとか、自分の夢・目標へと広がってく。その様が宇宙全体に広がる感じがしたのと、インターネット自体の無限の広がりも宇宙みたいだな、と思って。私は足立レイを思いながらこの曲を書くけど、聴く人それぞれが自分の愛する合成音声を思ってくれたら嬉しいな、と。
──あふさんの個人的な思いであると同時に、大勢のボカロリスナーにとって普遍的な思いでもあるという。
音無あふ:
今回の参加テーマ(合成音声キャラクター)を聞いた時に、これしかないと思ったんです。ただ実は、イベントの開催が少し遅れたおかげでこの曲で参加できたという裏話もあって。開催が遅れたことでこの曲が投稿期間の規定範囲内に入ったんですよ。当初は『temp.』で参加しようと思ってたんですが、『temp.』だったら2位は獲れてなかった気がします。自分でもわかるぐらい、編曲やクオリティのレベルも上がったし。サイバー攻撃は本当に嫌でしたけど、その点のみ良い影響でしたね。
──イベント中はSNSでお二人が火花を散らす様子も散見されましたが、実際どのような気持ちでしたか?
Shu:
足立レイVSたこルカは面白いなって(笑)。曲に関しても二人共、いつもと傾向の違うイレギュラー同士で戦ってるというか。『おくとばうんすっ!』はさっき話した制作経緯もだし、そもそもたこルカにあるふわふわしたイメージを打破したい一面もあったんです。あふもあふで、ふだんワンユニみたいな素直な歌詞ってあんまり書かなくない?
音無あふ:
え、ひどい(笑)。
Shu:
この曲、よく考えたら俺スペシャルサンクスで関わってるんですよ(笑)。なので当時、歌詞読んでめっちゃ素直だな、いつもと違うなって思った記憶があって。
音無あふ:
Shuには楽曲内のエラーの箇所のドロップを相談したんです。そしたら「もっと派手にしていいんじゃない?」って送られてきたのが、いつものShuのドーングシャグシャグシャ!みたいな音で。でも当時は今ほど関係性ができてなかったからダメって言えなくて、「アイデアは参考にしようかな」って言いつつ、ちょっとだけ使わせてもらいました。たぶん今だったら「いや、これはShuすぎるわ」って跳ね返してるけど(笑)。
Shu:
でも、マジで負けたくなかったです。ボカ学だからと言って慣れ合う気は微塵もなく。
音無あふ:
私はShuがずっと圧倒的だと思ってたし、自分は今まで投稿祭でこんなに上位へ入れたこともなかったので。2位が1位が、というより「ずっと五本指の中にいる!嬉しい!」でしたね。だからShuの煽りを見て「そんなことしなくてもShuが1位だと思うんだけどな~」って思ってたんですけど。とはいえ今までそれが何度も覆された人なので、期間中は絶対言いませんでした(笑)。
Shu:
あふと戦えたのはすごく嬉しかったですね。2人共こんな形で活動してるんで「ボカロの村に陽キャが来た」「ほんとにボカロ好きなんか?」って言われることも多くて。それは別に自分で選択したスタンスなんですけど、今まで音楽以外でバカにされることも多かった中、今回音楽のフィールドで二人戦えたっていう。ボカ学も今まで「なんかよくわかんねー陽キャ集団がわちゃわちゃしてる」って感じだったのが、今年韓国でイベント出演したり音ゲーとコラボしたり、ようやく実績が付いてきて。地道に積み上げてきたものが実った実感も、今回の結果にはありましたね。
■正反対だけど似ているアクセル&ブレーキコンビ
──お話もそろそろ終盤ですが、今回のリストでもし、まだ語り足りない曲などあれば。
Shu:
どれも全然語りたいことはたくさんあるんですけど。あふ、どれがいいと思う?
音無あふ:
ええ~!知らないよ~(笑)。
──そしたらせっかくなので、お互いの好きな曲を1つ挙げるのはどうでしょう?
Shu:
いいですね、そうしましょう!はいあふ、どれ?
音無あふ:
えぇ~!?なんだろう…。私がずっと言ってるのは、一番嫌いなのは『総理!遅刻します!』です(笑)。今まで数々のイベントでShuは遅刻でご迷惑おかけしてるんですけど、その中でこんな曲出して、しかもそれがリスナーさんから面白がられて賞賛されてるの見て「こいつ開き直りやがった」って。「腹立つ~!」と思ってます(笑)。しかもこの人、LINE電話の呼出音が『現代病快速』なんですよ。普段遅刻の時とかどこにいるの?って時しかShuには電話しないので、この人が遅刻した時は毎回聴くことになるという。Shuの遅刻のテーマです。好きな曲の話じゃないね(笑)。
Shu:
「歌詞を読むと反省が見られない」と周りのボカロPによくいじられます(笑)。でも違うんですよ。失敗を誤魔化してるんじゃなくてあの歌詞はちゃんと意味があって…。
──お二人の関係性ならではのお話でした(笑)。Shuさんはいかがでしょう?
Shu:
この中だと『ぷんすこしちゃえ!』とか。自分とあふの考え方の違いに気づかされた曲ですね。これって怒りって感情を可愛くするというか、マイルドに気軽にやっていこう、みたいな。僕の怒りって「ばか〇ねくそやろー!!!」なんですよ。そういう世界観で生きてたから、怒りを“ぷんすこ”って表現できるのすご、と思って。
音無あふ:
でもその視点は、「ぷんすこ」って言葉のすごさに気づいた私と同じかも。怒りってこんな可愛い言葉で言っていいんだ!って。可愛い表現で怒りを発信しやすくしてると思ったんです。「バカ〇ねクソヤロウ!」を人に直接向けるのは良くないけど、怒りって別に抑えなくても良くて。日本人の美学は「怒らない、冷静に、感情は慎ましやかに」って感じですけど。でも喜怒哀楽って全部平等でいいな、と思ったのが曲を書いたきっかけでした。
Shu:
その考え方はすげえ同意なのよ。怒りのアプローチ、表現の違いに気づいた曲でしたね。なんか俺とあふって似た所と真反対な所が両方あるんですよ、水と油というか。
──ベクトルは逆だけど勢いは一緒、という感じでしょうか。その雰囲気がよく伝わる対談でした。最後に、お二人の今後の抱負も教えてください。
Shu:
自分は今、音源の自主制作を頑張ってます。市販の音源素材を使わず全部自作音源で曲を作ることが増えてて、それをもっと強化したいな、と。今後はそのサンプルパックも作って販売したいですね。ボカ学も少しずつグループの色が付き始めたので、自分達が大事にする部分はしっかり伸ばしたいな、と。軸にしてるDJ、クラブイベントもだし、あとは11か国語喋れる自分を始め海外生活経験のあるあふとか、海外へのアプローチ武器を持つメンバーも多くて。顔出ししてるのもそうだし、そういう強みをかけ合わせて、もっとデカい所を見たいです。最終目標は音楽で成功したいんですよ。それは自分にとって、吉田夜世が『オーバーライド』で見せてくれた夢でもあって。悔しさもありましたけど、近い人間が一夜にしてヒーローになったのを間近で見て、すごく刺激は受けました。なので今後も野望は持ち続けて、世界での活動目標も当然叶えるものとして追い続けたいです。
──ありがとうございました。あふさんはいかがでしょう?
音無あふ:
私はShuみたいな大きい野望より、日々小さなやりたいことが多くて。足立レイの良さをもっと界隈へアピールするコンピを作る、とか、今回はこんな曲を作りたい、とか。もちろん有名にもなりたいですけど、それに向かってがむしゃらな感じではなく…(笑)。あと自分は今大学の映像学部に通ってるんですが、その延長で自分が歌って作った曲で、自分が出る実写MVを作りたいですね。アーティストとして活動するボカロPさんもいて、かつアイドルのMVとかが好きな私ならではの目標かな、と。映像とのリンクを大事にした作品も、もっと作っていきたいです。
Shu:
ボカ学ってわりとこんな感じなんですよ。俺が収まらないでっかい絵を描いて、それをあふがならしていく、という(笑)。
音無あふ:
アクセルとブレーキってよく言われますね(笑)。
■Information
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■これまでに公開された「はじめて聴く人のためのインタビュー」