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子どもの未来を決めるのは75歳以上!?――小飼弾が衝撃的な国勢調査結果から分析する民主主義のパラドックス

 10月26日に総務省が公表した2015年国勢調査の確定値。外国人を含んだ総人口が初めて減少に転じ1億2709万4745人となり、75歳以上の人口が総人口の8人に1人となり、14歳以下の子どもを上回ったという。ますます進んだ少子高齢化が高齢者と子どもの人口の逆転というハッキリと数値に現れる形となった。

 11月7日の『ニコ論壇時評』では小飼弾氏山路達也氏がこの話題を受けて、老人優遇の方向に行きがちな現在のいわゆる「シルバー民主主義」から、民主主義そのものの怖さを語り、そうした民主主義を支えている存在とは何なのかを明らかにした。


高齢者優遇になっていく民主主義のパラドックスはどうしたら良いのか?

山路:
 外国人を含む総人口が2015年10月時点で約1億2700万人となり、2010年の前回調査から減った。でも75歳以上の人口は、総人口の8人に1人。14歳以下の子どもを上回ったという。

小飼:
 いやあ、文字通り重たいねえ。

山路:
 これは今後、社会保障とかも「どっちを優先するか?」みたいな選択になってくるということですよね?

小飼:
 いや、どっちを優先するべきかというのは、それは若い方、未来の方を優先すべきですよ。それはもう決まりきったことです。でも、それを決める権利があるのは75歳以上の人たちなんです。実はこれも民主主義のパラドックスの1つです。

山路:
 これを解決できた国はないというか、こういう問題に直面しているのは実は日本が初めてなわけですよね。

小飼:
 全世界がこういう状態になります。全世界がこの問題に関しては日本を追っかけて来ます。

山路:
 だから、日本が今一番最前線にいるわけですね。

小飼:
 だから、ここで日本が上手いコトをやったら、世界に対して「エッヘン」とできるんですけれども。どっちかと言うとやっぱり、「やっぱりこうなっちゃったね……」という方向に進んじゃっていますね。

山路:
 よく「シルバー民主主義」というか、老人優遇の方向に行きがちなトコロが指摘されていますよね。年金の給付みたいなものは経済の状況に合わせて下げるというけれど、殆ど下がらない。

小飼:
 実はそれをやろうとする度に、なんらかの形で底上げされたりしてきたんですね。例えば一番良い例というのは消費税で、導入された年には必ずそれを補填するくらい年金が継ぎ足されていたんです。だから実は年金を貰っていた人達は全然損してなかったのだと。

山路:
 じゃあ、消費税上げても実はあまり意味がなかったという。これって高齢者が過剰に貪欲だとかそういうワケでもなく、高齢者が有利になって行くのは結局、単純に数の論理みたいなトコロがあるわけですよね。こういう民主主義のパラドックスみたいなものはどうやっていけば解決するんですかね?

民主主義が上手く行くためには、有権者に自重する能力がなければいけない

小飼:
 それは民主主義の枠内で解決するのか、あるいは民主主義を「えいやー」ってひっくり返しちゃうのか……。実はそれで民主主義が民主主義をひっくり返した例というのは幾つかありますよね。例えばナチスというのは正に。

山路:
 民主的に誕生して、という……。

小飼:
 はい。だから結構、民主政って怖いんですよ。もうそれこそ、怖さで言ったら火遊びの比ではないくらい怖いんですよ。

山路:
 一回、民主政から独裁制に移ったら、そこからまた民主政に戻るということはなかなか難しいですもんね。

小飼:
 いや、それは難しくはない。
 そのあとに誕生した民主主義が国民に優しいという保証は全然無いんですよ。フランス革命でも、元々の革命の同士たちを殺しまくったじゃないですか。

山路:
 ギロチンもありましたね。投票の仕組みとか、選挙の仕組みとかを変えて高齢者優遇の仕組みっていう、「シルバー民主主義」みたいなのを是正していくのは出来ないものなんですかね?

小飼:
 結局、自分の権益というのを最大限に発揮させようとしたら、やはり民主主義というのは一番多数派の人達だけが笑って、他は泣かせるというふうになっちゃうんです。だから実は民主主義が上手く行くためには、有権者が自重する能力がなければいけないんですよね。

山路:
 めっちゃ難しそうな話……。

小飼:
 だからめっちゃ難しいんですよ。

実は、奴隷に相当する存在無しに民主主義が続いたことがない。

小飼:
 逆に、全世界が民主主義を導入し始めたというのは、わりと最近の現象なんですよね。

山路:
 それは言い換えると、「民度の高さ」みたいなことになってくるというのか……。

小飼:
 「民度の高さ」というよりも、本当にぶっちゃけて言うと、「奴隷」ができたからなんですよ。

山路:
 それは機械文明が発達して、自動化ができるようになった。

小飼:
 うん。だから今のところ僕が知る限りにおいて、奴隷に相当する存在が不在で持続した民主主義っていうのは無いんですよね。

山路:
 古代ギリシャの民主政も奴隷が前提だったわけですよね。

小飼:
 はい。ヘイロタイが一杯居たおかげで出来たわけです。何で全世界で民主主義が上手く回りだしたかって言ったら、機械のおかげです。断言します、そこは。



次回の「小飼弾ニコ論壇時評」はコチラ

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