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新卒一括採用制度って意味あるの? 日本企業の人材育成力の低さに小飼弾が苦言

 裁量労働制に関する厚生労働省調査に不適切なデータ処理があった問題などで、安倍首相の手により削除が明言された裁量労働制の範囲を拡大する法案。「経営者優遇」「労働者働かせホーダイ」など各メディアで揶揄され、話題になりました。

 これを受けて、3月5日の『小飼弾のニコ論壇時評』で、プログラマーの小飼弾氏山路達也氏が、人材育成力が低い経済界に対し、経験者しか入れない企業があるのは不利なので「新卒一括採用はやめよう」と提案し、また、「優秀な人材」というものに対しても「人材が優秀かどうかは場所によって違う」と、適材適所であるべき日本企業に苦言を呈しました。

左から小飼弾氏、山路達也氏。

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新卒一括採用を見直す方が良い?

山路:
 経済界が裁量労働制の範囲を拡大する法案が取り下げられたことに対して「失望した」というコメントを出した、というニュースがありましたが。

小飼:
 はい。経済界に失望してます。

山路:
 こういう会社は、弾さんが言ったようにちゃんと個別に雇用契約とかの条件を結べばいいだけの話じゃないですか? でも、なぜここまで法的に裁量労働制の範囲を拡大させたがっているのか? なぜ、そんなまどろっこしいことをするのかと思うんですけれども。やっぱり、その法律が自分たちに都合がいいからですか?

小飼:
 自分たちに都合がいいからですよ。

山路:
 例えば、メルカリという会社は、今までの会社と雇用体系をかなり変えていて、独自の賃金体制を持っていたりしますよね。例えば新卒の段階から差をつけるだとか。

小飼:
 そもそも、新卒採用というのをやめようよ。

山路:
 弾さん的には新卒一括採用という仕組み自体にも反対なわけですよね? ただ、それに関して言うと、例えばある程度の経験者とか、これが出来るという人を採るべきとなると、圧倒的に新卒が不利になるみたいなことはないですか?

小飼:
 それは、ありえます。

山路:
 ヨーロッパなどで、起こっていることでもありますよね?

小飼:
 そうそう。だから経験者しか入れないとしたら、その経験を最初に、どうやって得たらいいのでしょう? というヤツですよね?

山路:
 知り合いの留学生に「日本で働くより、アメリカやヨーロッパで働く方がいいんじゃない?」と聞くと、向こうは向こうで相当大変みたいなんですよ。

小飼:
 実は初めから経験を積む場というのが、本来の大学のはずなんです。
 
山路:
 大学が?

小飼:
 ある大学のこの学部ならば、いきなり採用しても、こういった仕事は振れるだろうというものがあるわけですよね。

山路:
 そういう意味では、日本の大学卒業の資格は、あまり機能してない感じはありますね。

小飼:
 そう、まったくもって、その通り。

山路:
 じゃあもう問題は、採用からというより、大学入学からということになっちゃう。

小飼:
 メルカリは、採用もオークションでメルカリ的にやればいいのに。そうしたら、違法労働がいっぱい(笑)。

山路:
 なんか異常に安いヤツとかいますよね?

小飼:
 そうそう、時給300円でOKみたいな。

山路:
 でも、それが市場という考え方もあるなと。

小飼:
 そういう残酷さも市場にはあるわけでしょ? でも、なぜメルカリで物を安く売るのは許されても、人に対しては、そうなっていないのか? というのが、まさに労働法規、法律の基準なわけですよ。

山路:
 人権を守るためというところですよね。

小飼:
 だから、これを放棄しちゃったら労働放棄になっちゃいますからね。

小飼弾の考える人材採用の方法

山路:
 例えば、弾さんがもし今後、人を雇わなければならなかったとするじゃないですか? しかもそれが、プログラマーみたいにある程度出来る人同士が、お互いにパートナーになってという形ではなくです。

小飼:
 そういうのもありますよ。前にも言いましたけど、VALUでの僕の立場も雇用されていないので、それに近いです。

山路:
 自分が社長になって、まだ何が出来るかどうかもよくわからない人を雇わなければいけないというビジネスだってあるじゃないですか?

小飼:
 でも、それはそこまで会社が大きくなってからだね。最初の段階というのは、自分の知っている人に声をかけるわけですよ。「今こういう案件でてんてこ舞いになってるんだけど、手伝えない?」みたいな形でね。

山路:
 それはそうですけれど、例えば、すでにある程度の規模の会社で、弾さんが採用担当になったとしましょう。採用基準とか、賃金体系とか、それこそ裁量労働をどうするかといった時にどうしますか?

小飼:
 最初に考えるべきことは、本当にたくさん雇わなければいけないのか? ということですよね。その上で、最低限これだけは出来てほしいという要件は決めますよね。

山路: 
 言ってみたら、足切りラインみたいなものを。

小飼:
 その足切りラインよりも上であれば、早い者勝ちですよ。これは何度も言っています。それが一番、誰に対してもフェアでしょう?

政府にシワを寄せている日本の経営者

山路:
 そういうところでいうと、日本企業の採用の仕組み自体が、相当不合理な採り方をしているということなんですかね?

小飼:
 不合理な採り方もしてますし、それがものすごい形で現れたのが、いわゆるロスジェネ【※】というやつですよ。後先のことを考えずに、「今は人をいっぱい採ると会社が赤字になっちゃうから」といって、採用を絞っちゃったんですね。

※ロスジェネ
「ロスト・ジェネレーション」の略称。バブル崩壊後の就職氷河期に社会進出した25~35歳の世代の総称。

山路:
 企業が採用を急に絞るのはひどいことだと思うんですが、どうしてこうなってしまうのでしょう?

小飼:
 その理由はものすごく簡単で、企業はそんなことを考えなくてもいいんですそうであることを制度的、法的に許されているのが、営利企業なんです。そうでない部分が、どこにシワ寄せがくるかというと、政府なんですよ。

山路:
 つまり、企業が面倒を見られない分を、政府が社会保障によって面倒を見ると。

小飼:
 その通りです。だから結局のところ、会社単位では自分たちのやりたくない仕事というのは、やらなくてもよくて、そういったものは、ドンドン国が引き取ることになるわけです。

 これは別に日本に限った話ではなく、全世界でそうです。営利企業がやりたがらない仕事が、政府にドンドン来るんですよ。けれど、その政府に対して、あまり税金は払いたくない。この四半世紀というのは、ほぼ、どこの国の政府も多かれ少なかれ、営利企業の御用聞きばかりしてきた(笑)。

山路:
 企業が変なことして、とんでもない金融危機を引き起こしたら、政府がそれの尻ぬぐいをし、不正会計をやったら突っ込まれる。

小飼:
 そういうことです。上手くいったら会社のもの、上手くいかなかったら政府のものというのを、ずっと続けてきたわけです

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