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4億円詐欺のスパコンベンチャー『PEZY Computing』はどんな会社? 社長の人物像は? プログラマー小飼弾が解説「技術的には平凡なもの」

 12月5日、経済産業省下の法人、NEDOから助成金4億3,000万円を詐取したとして、PEZY Computingの社長である齊藤元章氏を含む2名が逮捕されたことが各メディアで報道されました。

 これを受けて、12月11日放送の『小飼弾の論弾』では、小飼弾氏山路達也氏がPEZY Computingとハードウェア業界について解説しました。

左から小飼弾氏、山路達也氏。

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ライブドア事件とは異なるPEZY Computing逮捕劇

山路:
 科学関係で大きな問題となったPEZY Computingの話題ですが、補助金を不正に4億円受給したということで検察の捜査を受け、幹部2名が逮捕されたということです。

 しかし、よくわからないのがNEDO【※】のホームページを見ると、NEDOが訴えたわけではないということです。

※NEDO(ネド、New Energy and Industrial Technology Development Organization)
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構。経済産業省所管の国立研究開発法人。エネルギー・環境技術の開発を推進しており、公的研究資金の配分など支援も行っている。

小飼:
 明らかに誰かから告発があって動いたと思うんですけれども……。

 「ライブドアを思い出した」というコメントがありましたが、そっちのほうは曲がりなりにもお金がザクザク入ってくる状態になっていた。だからその点ではそもそも補助金に頼っていたという時点で真逆だよね。

山路:
 PEZY Computingは、大きな利益を上げていたわけではないと。

小飼:
 利益を上げていたわけではないけれども、将来には大きな利益を上げる可能性はあったんじゃないかと。

PEZY Computingはどんな会社? 齊藤社長とは?

画像はPEZY Computing公式サイトより。

山路:
 PEZY Computingがなにを研究・開発していたかについて、簡単に説明をお願いします。

小飼:
 齊藤社長がすごい人だというのは間違いではなさそうです。実際に医療免許を取り、医療分野で起業して一山当てて、日本に来てスーパーコンピューター【※】を作り始めました。その性能も見るべきものがあります。

山路:
 スパコンランキングにも入っているわけですよね?

※スーパーコンピューター、スパコン
科学技術計算などを目的とした高性能計算機。PEZY Computingのスパコンには、菖蒲(Syoubu)、暁光(Gyoukou)があり、暁光は2017年12月のスパコンTOP500において世界4位を達成。

小飼:
 そうなんですけれども、そこで使われている技術というのは地味にも見えるんですよね。言い方が正しいかどうかわからないけれども、あんまり天才っぽくない。

 「シンギュラリティ【※】を実現するんだ」というふうに、ご本人も著書とかで言っており、中の人たちの呟きもそういう感じではあるんですが、ちょっと見ておや? と思ったのが、4億円くらいでできるわけがないという感じがするものなんですよね。

 山路:
 NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』も放送中止【※】になりましたよね。

小飼:
 まあ、メモリ関連は、実現すれば確実にいける技術ではあるんですよ。しかし、今回詐取されているとしたのは、メモリを薄く研ぐ技術で、なんで薄くしたいかと言ったら、そうするとよりコンパクトに積み上げられると。

山路:
 そうすると消費電力も減ると。

小飼:
 いえ、密度を上げられる。消費電力が減るのは、それよりあとの段階なんです。

※シンギュラリティ
技術的特異点。AIの進化により急激な技術の発展となる転換点。

※NHKは、PEZY Computingの社長、斉藤元章容疑者逮捕を受けて、12月11日放送の『プロフェッショナル 仕事の流儀』に同氏が「スーパーコンピューター開発者」として登場する予定だったが、「孤高の開発者」などと紹介していたウェブサイトの内容を削除した。広報によると、放送の見送りを決めたという。

山路:
 たしかに地味と言うと地味ですね。

小飼:
 次に助成された10億円程度で、電気的にではなく磁気的にチップ同士を接続しようということもやっていましたが、少ない予算かつ、こんな短期間で可能なのかと思っていたんです。

 最新のトップ5枠に入っていたスパコンにも乗せると言っていたんですけれども、結局乗っていたのは普通のDDR4【※】。その技術でだれがメリットを受けるかと言ったら、これは明らかにPEZY Computingが開発するHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)ではなく、Samsung(サムスン)やエルピーダ(NEC日立メモリ)とかの普通のコンピューター用のメモリーメーカーです。

※DDR4
デスクトップPC用のメモリチップ。一般的なパソコンの規格はDDR3、DDR4などあるが、スーパーコンピューターにはHBMやGDDR5Xといった高性能メモリが使われることもある。

使っていた技術は地味で従来のものだった

小飼:
 普通にメモリを作っている人が利益を受ける。なぜPEZY Computingがその技術を開発する必要があるのかなと。

 そういう研究をしていたにもかかわらず実際にスパコンで、まともなスピードが出たけれども、使っていたのはむしろ基本の、悪く言えば平凡、良く言えば枯れた技術だった。例えば、フルオロカーボンにボチャンとつけて冷やすというものとか。

山路:
 液冷ですね。

小飼:
 むしろ僕は、あれを見て懐かしくなったんですよ。大昔、全盛期のスーパーコンピューターと言えばCray【※】です。Cray-2というのが使っていた冷却技術がまさにそうなんですよ。

※Cray
Cray(クレイ)社が提供しているスパコンの名称。1985年に開発されたCray-2は、当時世界最速のスパコンとしてさまざまな機関、大学、企業で導入された。

Cray-2の内部。画像はWikipediaより。

山路:
 ちょっと前のSFアニメとかは、液冷のコンピューターがいっぱい出てきていたイメージがありますよね? あれがCrayか。

小飼:
 昔からあった考えではあるわけですよ。でも、どんな些細な素人の思い付きに見えるような技術でも、ちゃんと商品にして大量生産するというのは大変なことなんですよね。

山路:
 この社長の経歴とか見ると不思議ですね。技術で大胆にやっていくというのともちょっと違うし、すごい未来技術でやっているのともちょっと違う。

小飼:
 要は、あんまりベンチャーっぽくない。地味で重要だし、実現すれば、みんな注目せざるを得ない技術ではあるんだけれども、シンギュラリティとはちょっと違う。そこのちぐはぐ感はありますね。

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