4億円詐欺のスパコンベンチャー『PEZY Computing』はどんな会社? 社長の人物像は? プログラマー小飼弾が解説「技術的には平凡なもの」
ハードウェアの世界では4億円は、はした金?
山路:
NEDOから補助金を取るのは、手続きがめちゃめちゃ面倒くさいという話は聞きます。
小飼:
いくつかお付き合いのある会社で、補助金をもらっているところはありますけれども、本当に「NEDOとやりたくない」というのがバズっちゃうくらい大変ですね(笑)。
山路:
「4億円ぽっちを得るためにこんなに苦労するのか」みたいなことを書いている人も結構いましたね。
小飼:
ハードウェアの世界では、はした金にすらならない。計測機器1個買って終わっちゃうような金額なんです。今、半導体のファブ【※】を作るというのは、原発1個作るのと同じくらいお金がかかるんですよ。
※ファブ
スパコンなどの半導体集積回路の生産を専門に行っている企業や工場。
山路:
なぜPEZY Computingはベンチャーキャピタルみたいなところから投資を受けなかったんでしょう?
小飼:
そういうちぐはぐ感はあります。とても目端が利く方なので、こっちにも自分のポケットマネーで投資していますよとか言うのであれば、まだ話はわかるんです。
けれども、それで補助金引っ張っていたというのは首を傾げますし、出すほうも出すほうでおかしいんですよね。
山路:
これだけ成功している人ですから、4億円くらい別にとは思わなかったんですかね?
小飼:
逆にNEDOのほうでもメモリ関連で、これじゃ勝てないと思わなかったんでしょうかね。
山路:
色々と政治家の付き合いがあったんじゃないかという報道とかはありますけれど、技術的な面も不審といえば不審ですね。
小飼:
「今、AMDは自前の工場持ってないよね? 貧乏続いて」(コメント)
AMD【※1】は自前の工場を持っていないと言うよりも、GLOBALFOUNDRIES【※2】という会社として分離したんですよ。また、intelの石にRadeon【※3】が乗るとか面白い話が出てきましたけれども、実はそれが可能になったというのもチップ設計するところと、チップを作るというところを分けたからだとも言えなくもない。
でも、それは置いておいても、チップの中をどういうふうにしていくのかというのは、国の補助金程度ではどうしようもない世界に入っているというのが、外から見た感覚なんですよね。本当にサイヤ人同士の戦いになっちゃっていて、かめはめ波をうてる程度ではどうしようもないなと。
※1 AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)
AMDはアメリカの半導体製造会社。インテルx86互換マイクロプロセッサ及び、自社64ビット技術のAMD64対応マイクロプロセッサ、APU (Accelerated Processing Unit)、GPU (Graphics Processing Unit) や、フラッシュメモリ等を生産。半導体製造部門は2009年3月にGLOBALFOUNDRIESとして分社化。
※2 GLOBALFOUNDRIES(グローバルファウンドリーズ)
GLOBALFOUNDRIESはアメリカの半導体製造会社。組織構成にAMDから分社化された半導体製造部も含まれているがAMDの競合、大手半導体会社NVIDIAのグラフィックスチップも製造している。
※3 Radeon(レイディオン)
RadeonはAMDが製造する、グラフィック処理に適したGPUのブランド。intelと同様に、半導体業界において大きなシェアを誇る。
山路:
ヤムチャでは勝負にならないですか(笑)?
小飼:
全然、勝負にならないです(笑)。
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