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「プログラマーがついていけないから」──車の自動運転に”ディープラーニングを応用する理由”を小飼弾氏が解説

車の自動運転にディープラーニングがなぜ使われるのか?

山路:
 今のやつはディープラーニングとか、まったく使ってないということですか?

小飼:
 例えば、ゆりかもめとかも、無人運転をしていて「AI」と呼んでいますけども、ディープラーニングは関係ないですよ。

山路:
 確かに。自動運転ですね。

ゆりかもめ─自動運転の仕組み(画像は公式サイトより)

小飼:
 はい。なんでディープラーニングを運転に応用するのかといったら、道路というのが、歩行者もいれば、自転車もいて、自動車も、大きなバスとかトラックとか、情報量が多くてごちゃごちゃしている、極めて複雑な環境だからですよ。これを条件分岐で書こうとすると、プログラマーはついていけないんですよね(笑)。

山路:
 膨大なIF文の図式になってしまう感じですよね。仮に自動運転にディープラーニングを使ってないとしても、今後、自動運転の責任みたいなものがどうなってくるのかというのは、結構、多くの人が気にしているのではないかと。

それでも車は人が運転するよりはマシなのかもしれない

小飼:
 気にしていると言っても、まずは、「人が運転するよりもマシ」という数字を出すことですよね。

 今のところ、プロがプロに出す形でしか数字を出していないんですよ。もっと一般的なものとして、「自動運転にしておけば、これだけ楽になりますよ。もし仮に今の車というのが全部自動運転になったら事故というのは、これくらい減るはずです」と、そこまでやって、かつ、みんなが買えるような値段になって、初めて受け入れられると思います。

山路:
 しかし、結局事故がどれくらい減るかというのは、もうフィールドでの実験というのが不可欠になってきて、卵が先か鶏が先か、みたいなところもありますよね。

小飼: 
 そこもひとつ注目すべきものがあって、遥かにしょぼくて低能でプリミティブなAIでも、ゆりかもめは、なぜOKなのかというと、人が路線内に入らないからですね。

 少なくとも入り得るんですけども、そういったことは、ないものとしてシステムを設計できるわけです。だから余計な要素を減らすというのが、いかにシステムをシンプルにするかという例でもあるんですよ。

 でも道路は、そういう風には出来ない。逆に考えれば、例えば高速道路の中だけ自動運転させるとかっていうのは、ディープラーニングのAIが登場する遥か以前からあるんですよね。

山路:
 クルーズコントロール【※】

※クルーズコントロール
自動車の付加機能、またはその装置の名称である。

小飼:
 そうそう。我々が生まれる前から実験はされてますし、そのレベルであればすでに出来るというのは、断言しちゃっていいと思います。

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