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「遅刻魔プーチンの真相」 4時間の遅刻はメルケルへの“子供っぽい嫌がらせ”だった?

 絶大なカリスマを誇るロシアの指導者・プーチン大統領。「サンボ、柔道などの格闘技の達人」「元KGBの諜報員」「会談の遅刻常習者」など多くのユニークな逸話を持つ彼だが、一方で極めて冷酷な指導者であるという見方も拭えない。

 モーリー・ロバートソンチャンネルで公開中の動画『小泉悠×モーリー プーチンの国家戦略と北方領土』では、この恐ろしくも魅力的なプーチンのキャラクターを、ロシア研究者小泉悠が解説している。

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“ドイツの母”メルケルに対してプーチンが行ったいたずら

モーリー:
 「プーチンによって待ちぼうけさせられた人々」ということで、アメリカのオバマ大統領は40分。ローマ法王は50分。安倍さんは2時間40分。ケリー米国務長官は3時間。そして、ドイツのメルケルは4時間とのことなんですけど。僕ね、他は事故だと思うけど、メルケルを4時間待たせたのだけは故意だと思う(笑)。

小泉:
 たしかに、メルケル4時間に関してだけは、ちょっとやってるかもしれないですね(笑)。メルケルさんは犬が嫌いらしいんですけど、それを知っていてわざと会合の場に犬を連れて行ったりとか。そういう子供じみた嫌がらせをプーチンさんはよくやるんですよ。ただ、それはプーチンとメルケルが親しいからかもしれないんですよ。

モーリー:
 お互いにいじってる感じ? 「どやっ!」って。

小泉:
 ええ。ご存知のように、プーチンさんってKGBにいた頃に……。

モーリー:
 東ドイツ! 東ドイツにいて、そこで起こった民衆の蜂起をアパートの窓越しに見ていたんですよね。「怖い!」とか言って。

小泉:
 東ドイツのドレスデンにいたんですね、プーチンさんは。アパートから見ていたどころか、放棄した民衆たちに自分の所属していたKGBのドレスデン支部が襲われはじめたんで、群衆の前に出ていって「ここはKGBなんだから、お前ら入ってくんな!」って身を挺してやってた人なわけですよ。

 そういう意味で、“国家の崩壊”というものに対する恐怖心がプーチンさんにはすごくあるから、ロシア内政でも非常に厳しい締め付けをやるんだと思うんですけど。……まあ、それはそれとして。一方で、メルケルさんも東ドイツ出身なんですね。しかも、ロシア語が上手なんです。

モーリー:
 へー! 面白い!

小泉:
 彼女は東ドイツでロシア語の教育をしっかり受けたらしくて。プーチンさんのドイツ語とメルケルさんのロシア語のどっちが上手かっていうと、メルケルさんのロシア語のほうが上手なんじゃないかって言われたりしてるんですよね。

 だから、彼らは物理的な距離も近いし、お互いの母国語で何の問題もなく意思疎通が出来ている関係なんですよ。しかも今、ウクライナ問題にせよシリア問題にせよ、非常に頻繁に連絡を取り合って、ゴリゴリやってる仲ですよ。だから、メルケルさんに対しては腐れ縁というか、“戦友”のような雰囲気をプーチンさんは持っていて、あえてプーチンさんはそういう子供じみたことをしてるんじゃないかと思ってます。

“冷酷な指導者”どころか実は体育会系気質のプーチン

小泉:
 一方で、プーチンさんって、自分のKGB時代の仲間たちとの会合とかには、絶対に遅れないらしいんですよね。思うに、彼の頭の中には明確に“KGBの仲間たち”っていうのがいて、その中では彼はガチガチの体育会系的な振る舞いをするわけですよ。「先輩は絶対に立てる」とか、「自分より目下のやつが逆らうのは絶対に許さない」っていう。

 プーチンさんって、“恐ろしい非情のリーダー”みたいなイメージがあるんですけど。私は、どちらかというとプーチンさんは情に厚すぎると思うんですね。というよりは、こう、体育会系的な秩序に極めて忠実な人物。

モーリー:
 ドライだと思ってたらウェットだった?

小泉:
 ウェットだと思います。ただ、ロシア人の面白いところは、彼らは外部の人間に対しては徹底的にドライなところなんですよ。つまり、「お前は他人じゃねえか」とか、「俺は知らない。悪くない」、「利益がない」っていう態度なんですよね。ところが、内側に入ると無制限になんでもしてくれるところがある。無制限に献身するしされる関係になるんですよね。

 プーチンさんにとって、というか、KGBという極めて特殊なコミュニティの人達にとっては、KGBの内側というのはそういう世界なんですよ。無制限に献身する。そして、そういった献身は他の仲間からも期待し得るって関係だと思うんですよね。

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