ニュースソースは極右と極左? トランプ勝利を見事にあてた78歳木村太郎のネット生活
毎回、様々な分野の専門家をゲストに迎え、話題のニュース・事件などを語る「モーリー・ロバートソンチャンネル」。
今回のゲストはアメリカ大統領選挙でトランプ勝利を見事に当てたと木村太郎氏。「CNNの裏を取るにはドラッジレポートを見なければならない」など、極左と極右のニュースソースでバランスを取るネットリサーチ方法について、同じくネットを主な情報源とするモーリー・ロバートソン氏と語った番組、『木村太郎×モーリー「激動の2017年を大予想 〜トランプ大統領と日本〜」』が放送された。
今の記者生活の中心は、テレビではなく東京新聞の100行コラム
モーリー:
フジテレビが今は拠点というかんじですか?
木村:
テレビではフジテレビをベースにしてやってますけれど、僕の記者としての活動は東京新聞に毎週日曜日に100行くらいのコラム書いているんですね。これが実は一番大変なんです。
名前は「国際通信」。つまり論評じゃないんですよね。新しいことを伝えるなにか。ということは、東京新聞の外報部も書いていないようなこと、あるいはよその新聞社も書いてないような面白いネタをどこからか引っ張り出してきて、100行で読者に読んでもらえるようなもの仕立てる。これ難しいですよ。
モーリー:
難しいですね。
木村:
それをやるんで、これは今の時代だったらネットに頼るしかない。それでずーっとネットの情報ってものの検索をやり続けてきて、これが実は大統領選挙でものすごく役に立った!
モーリー:
東京新聞のコラムの作業がずいぶんと下地に、ストックになっていったという。
木村:
その新聞のテーマを探すたびに、もう本当にネットをダーッと半日くらいかけて毎日いろいろ読みまくるわけです。
モーリー:
そうなんですね。
木村:
その中でビャッとひらめいたものを百行に拡大するんですけど。
モーリー:
あの、ちなみに、なぜ東京新聞なんでしょう。東京新聞というとすごくね、スペクトラムの中では真左という印象があったりするんですが。
木村:
それで真右のコラムがあるわけですから。そういうのがいいんじゃないですか(笑)。
モーリー:
副主幹の長谷川さん【※】もどちらかと言えば右。
※東京新聞の論説副主幹の長谷川幸洋氏。ジャーナリスト。
「そこまで言って委員会NP」レギュラーなど。
木村:
(長谷川さんとは)仲良いですよ。
モーリー:
わかる(笑)。
木村:
すごく意見が合って仲良いんです(笑)。
モーリー:
それは東京新聞全体の方針としてやっぱりバランスを保とうというふうに、一種の多様性で入れてるんですか、それとも……?
木村:
そこは知りません。僕はNHKをやめた88年にフリーとなったときに東京新聞でなく中日新聞だったんですけどね、中日新聞の編集局長さんが僕がワシントン時代から仲の良かった方で。「うちの新聞に書かないか」って言われて、僕は勉強したいから「お願いします」と。以来ずーっと千何百回続いている。
モーリー:
すごい! じゃあもうすぐ30年。
木村:
まだ……。
モーリー:
2018年には30年目になるということですね。
木村:
そうです。そうです。
モーリー:
じゃあ、28年間。毎週?
木村:
毎週日曜日に100行。
モーリー:
100行を年に50何回。かける28年間ですよね。
木村:
はい。
モーリー:
すごい行数ですね。
木村:
これは僕の記者生活の、今の中心の活動になると。
木村太郎はネット民
モーリー:
どういうニュースソースなど巡回されますか。こういうのリサーチするときに。
木村:
あのね……。
モーリー:
言っちゃいけないのかな?
木村:
いやいや。このことは僕はアメリカの大統領選挙なんかで当然そういう話になると思ってたから。そういうときにお答えしようかなと思っていたんです。
僕、朝起きると10キロ自転車に乗るんです。室内の自転車に。するとね20分から30分かかるんです。そのとき前にタブレットおいて。CNN【※】を見ながら大体やるわけですよね。
※アメリカのニュース専門放送局。大統領選挙ではヒラリー支持を公言していた。
モーリー:
CNNのWEBサイトみたいなものですか。それとも動画見てるんですか。
木村:
放送です。放送そのものです。いま放送をネットでやっているものがあるんですよ。それを見てると非常にCNNっぽい(笑)。
モーリー:
そうですね。CNNが注目しているキュレーションやエディトリアルがそこに流れているわけですね。
木村:
出て来るわけですね。それを聞くと、こんどはご飯を食べてからドラッジレポート【※】でその裏を取る。
※アメリカの保守系の政治サイト。クリントン元大統領とモニカ・ルインスキーのスキャンダルについてニューズウィーク誌が情報を握っていることを暴露した。
モーリー:
ドラッジ!
木村:
そうですよ(笑)。
モーリー:
(うめくように机に伏せながら)ドラッジ……でもドラッジって!
木村:
CNNの裏を取るにはドラッジを見なきゃいけない。
モーリー:
でもドラッジはどちらかというと極右だったり信憑性にケチがついていません?
木村:
だからちょうど今のCNNとバランスが取れるんですよ。僕に言わせれば。
モーリー:
なるほど。
木村:
うん。
モーリー:
でも飛ばしますよね。ドラッジってたまに。それは……。
木村:
みんな飛ばしてる。
モーリー:
みんな飛ばしてるからいいの!
木村:
みんな飛ばしてる! CNNなんてぶっとばすじゃないですか。
モーリー:
恐れ入ります。今学習しました。はい。
木村:
CNNそのものがいまクリントン・ニュース・ネットワークと言われている。
モーリー:
言われていますよね。
木村:
それぐらいCNNがドーンと飛んでるんだからやっぱり裏でドラッジレポートも。もちろんハフィントンポスト【※】も見ますよ。そりゃ。また裏を取るため。
※アメリカ発の幅広い分野を取り扱うニュースサイト。さまざまな国で展開され、日本語版は朝日新聞社と提携している。
モーリー:
ハフポは今度はドラッジの真反対にちょっともう明らかに信条左翼というか、もうあまりにも左過ぎてね、ちょっと読みづらいぐらいなんですけど。
木村:
それが終わったあとブライトバート・ニュース【※】。
※アメリカのオンラインニュースサイト。保守系とされる。創業者のアンドリュー・ブライトバートはユダヤ系アメリカ人。
モーリー:
ブライトバート・ニュース!!
木村:
(爆笑)
モーリー:
ものすごいダイエットですね、これは。
木村:
そうやって、頭をこう鍛錬していくわけですよ。そうすると大体どこらへんに事の真相があるかっていうのが見えてくるような気がする。僕にとってはね。もちろんそういうニュースサイトばっかりじゃないですけども。
モーリー:
なるほど。例えば、一種の何ていうのかな、解説サイトでニューヨーカー【※】みたいなのはどうですか。
※アメリカの雑誌。
木村:
あぁ。いいですね。
モーリー:
あれも読まれることは。
木村:
見てます。ただ長いの。ニューヨーカーの文章は。
モーリー:
偉そうにしてますよね。
木村:
そうそうそう。
モーリー:
俺たち文化的エリートみたいな空気ですよね。
木村:
ちょっと鼻につくことがあるんですよね。
モーリー:
(爆笑)