原発の穴埋めなるか? 日本の火力発電システム”IGCC”を評論家が解説「発電効率が世界最高。少ない燃料で今までと同じ電気が作れる」
2011年に起きた東日本大震災以降、原子力発電所停止の受け皿として建設が計画された石炭火力発電所。2017年度の供給計画によると、今後10年間に16カ所で石炭火力発電所の新増設が計画されています。
これを受けて、政治評論家の竹田恒泰さんが自身の「竹田恒泰チャンネル」において増設賛成の立場から「石炭、石油、ガスと上手に分散して使うのがいい」とコメントしました。
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世界最高精度の石炭火力発電所を保持する日本。なぜ今、石炭なのか
竹田:
石炭の話です。(新聞を読む)国内で石炭を使った火力発電所の新増設が進む。中川雅治環境相は12日、中国電力の三隅石炭火力発電所2号機の新設に懸念を示しつつも、建設そのものは容認。原子力発電所の再稼働が進まない中で安定電源として頼らざるを得ないためだ。先進国を中心に脱石炭の流れが強まる中で日本の孤立感が深まっている。
石炭火力発電所、IGCCは日本が開発した世界最高精度の石炭火力発電所なんです。非常に性能がよく、脱硫装置も完備していますから、排ガスも一番程度がいいですし、発電効率も世界最高性能。これはむしろ増やしたほうがいいと私は思っています。読んでいきましょう。
(新聞を読む)中川氏は同日の記者会見で「日本には多数の石炭火力の新設計画があり、すべて建設されると削減目標達成が困難になる」と語気を強めた。もっとも権限は「意見表明」までで、計画を止めることはできない。中国電力も「代替電源として不可欠」と新設計画を進める考えだ。環境省はこれまで秋田港など計5の石炭火力の新増設計画に「是認できない」と今回よりも強い表現で意見書を出した。
実際に撤回されたのは関西電力などの千葉県市原市の計画だけ。今では事前に経済産業省と表現を擦り合わせるなど意見書の有名無実化が進む。 環境省は「このままでは温暖化ガスの排出減が進まない」と言う。日本の目標は、30年度に13年度比26%の排出を減らすというもの。石炭火力発電は二酸化炭素排出が多く、同じ火力でもガス発電の約2倍。約40ある石炭火力発電所の新設計画が実行されれば目標は達成がおぼつかない。
「世界の脱石炭の潮流に取り残される」。海外の脱石炭は速い。「石炭とサヨナラする」。17年11月、イギリスとカナダが主導して約20の国・地域が原則、石炭の利用をやめると表明した。イギリスは25年までに石炭火力発電所を全廃する方針で、12年から16年の間に石炭火力の発電量は3分の1に減った。フランスも21年までに全面閉鎖するほか、メキシコやイタリアも同調する。
国際エネルギー機関(IEA)によると、16年の世界の石炭需要は前年比1.9%減と2年連続で減った。トランプアメリカ政権は石炭産業の復活を掲げるが、価格競争力の高いシェールガスが石炭を駆逐する勢い。電源の7割を石炭火力が占める中国は深刻な大気汚染からクリーンな電力への切り替えを急ぐ。増えるのは主にインドと東南アジア諸国連合だ。日本も石炭消費は減るとみられているが、そのペースは原発の再稼働が進むかにかかる。
11年の東京電力福島第1原発事故後、すべての原発は停止し、再稼働できたのはわずか5基。国は30年に電源構成に占める原子力の割合を20~22%にする計画を掲げるが、安全審査や地元同意に手間取り足元は2%。
だから10倍動いて、ようやく20%ですよね。今5基しか動いていなくて、2%くらいしか担っていないということですよね。
(新聞を読む)一方で再生可能エネルギーはコストがなお高く、天候に左右されるため出力が不安定で、電力安定供給には火力しかない。日本はガスの4割強を筆頭に石炭が3割強、石油が1割と火力が8割を超える。その燃料はほぼ全量が輸入。資源価格が高騰すれば国富の海外流出が加速し、電力料金に跳ね返る。
解説しますと、私は日本は石炭を温存するべきだと考えております。なぜかと言うと、石炭はどんどん減ってきたんですね。今回多少増やしたわけです。原発が稼働できない分、増やさないといけないということで、石炭が増えた。
石炭と石油の価格は必ずしも連動するとは限らない
竹田:
これによって石炭と石油とガス、3つに分散されることになったんです。分散がいいんですよ。もし石炭を極力減らして石油、火力に依存することになったら、それこそエネルギーカンフルが高騰して、完全に煽りを受けるわけです。
石炭を選択肢として、上手に石炭、石油、ガスを配分して使うと、それぞれ特性が違うんですね。価格の動向も必ずしも一様ではないんです。石炭火力発電所は明日からガスをたくことはできませんからね。
ですからハイオクがいいか、レギュラーがいいか選べるものだったら1個上がったら連動しますけれど、石炭と石油とか、まったく種類が違いますからね。全然構造が違いますから、明日からってできません。ですから、必ずしも連動するとは限らない。
あとポイントは世界は石炭離れをしています。ということは、石炭が安くなっていくわけですよ。狙い目ですね。ですから日本はこれまでよりももっと石炭を安価に安定的に買えるわけです。
よその国は買わなくなったわけだから。日本だけ使っていればいいわけで。日本の安定に寄与するわけですね。中国は7割石炭をたいているわけだから、何を言っているのっていう話で、世界の消費を見ると、中国が世界の半分以上になっている。
インド、アメリカ、ロシア、日本という順番になっていますけれど、日本の消費は本当に少ない。もうちょっとたき増したって全然OK。しかも先ほど言ったように、日本の石炭火力発電所は世界最高性能なんですね。
だから日本は石炭火力発電所をこれから作ったからといって、急に中国みたいにPM2.5みたいにならないわけですよ。しかも発電効率が世界最高の数字なわけですね。つまり少ない燃料で今までと同じ電気が作れるわけです。