原発の穴埋めなるか? 日本の火力発電システム”IGCC”を評論家が解説「発電効率が世界最高。少ない燃料で今までと同じ電気が作れる」
地震国に原発があることの危うさを石炭火力発電所でカバー
竹田:
世界は脱石炭だって言うけれど、日本は最高性能の発電所を持っているわけです。それを考えると、技術が上がった分、石炭火力発電所を余分に建てたとしても、結局同じですから。二酸化炭素の排出削減だって日本はやめたっていいと思うんです。理由があるんだもん。
なんで石炭火力発電所を作るんですかって、地震があったからですよ。なんで原発が止まっているんですかって、地震があったからです。
あれはあれで済んだからよかったですけれど、チェルノブイリ級の大爆発があったら、大変だったんですよ。ですから地震国に原発があることの危うさを世界も共有しているわけですね。東日本大震災があって、原発が全部止まったと。仕方ないから石油、石炭のたき増しをしているけれど、事情が変わったからって言えばいいじゃないですか。2万人近く死んでるんだもん。
それだけの悲劇があって、世界はそれを見ているんだから「ごめん、事情変わったわ」「ちょっと石炭たき増すけれどごめんね」って。それでいい話ですよ。世界の人たちは「とんでもない! 原発を動かせ」ってなりますかね?
地震国で原発が動いていることの不安材料というのは世界もわかっているわけだから、「地震国ですけれどこれからどんどん原発やりますよ」と言うより、「二酸化炭素の排出は目標達成できないから変更します」「その分、石炭が増えるけどごめんね」って言ったら、世界中「わかるわかる」「東日本大震災があったから当然だわ」ってなりますよ。
何が重要かですよね。日本なんて厳しすぎるんだよ。中国なんかズブズブのところで目標を設定するから簡単に達成できる。日本なんて昔から環境対策していたわけだから。ほとんどかわいたおしぼりからしぼるみたいな感じで、日本ってそんなふうにやってるのよ。いつやったかと言ったら第一次オイルショックのときにやってるんですよ。
オイルショックで石油の値段がバーンと上がった。省エネしなきゃいけないということで、省エネしたわけ。第二次オイルショック。また石油が上がった。大変だということで、また一生懸命省エネしたわけですよ。
というように、日本は相当努力して、長い間省エネしてきたわけだから、ここからさらに「はい、省エネ」って言われると、もうだいぶやってるんだよ。これ以上しぼったって、なにも出ないよっていうくらい。東日本大震災にあって、「原発が動かないから無理だよ」って。それでいいんだよ。
しかも石炭と石油とガスとちょうど1:1:1くらいのバランスでやっておけば盤石ですよ。どこか1つがポシャったって、あとの2つとか、それ以外の環境にいいと言われるエネルギーでもってカバーできますからね。
電力の発電キャパシティというのは、ギリギリではないんです。もし何かで止まったときに、他のバックアップ電源が稼働して電気供給をしないといけないわけだから、かなり余裕をもたせてるわけです。さらに余裕をもたせてる中でも、火力発電だけでも3つに分けているわけだから。ここがミソなんですね。国力がどうのこうのと言いますが、むしろ逆で石炭は今安くなっているのに、どこも使わない。日本だけ買いますから。非常に豊富な埋蔵量が200年以上ありますからね。
しかもみんな使わなくなっているから500年、600年もつ。そういう資源なんですよ。何十年後に枯渇すると言われている石油とは別物なんですね。今より安く買えて、しかも日本が最高性能のものを持っているわけだから。
これを活用して分散させること、これは国力を強めることになるんですね。どんどん石炭をたき増せばいいんですよ。それこそ石炭火力発電所を東南アジアとかに輸出して差し上げたらどうですか。喜ばれますよ。