『ジャスティス・リーグ』公開を受けて、DC・マーベルの歴史的な違いを解説「日本で言うとDCがコロコロで、マーベルがボンボンですね」

　バットマンやワンダーウーマンなど、DCコミックのスーパーヒーローが結集して戦うアクション超大作映画『ジャスティス・リーグ』が11月23日から公開されました。

　映画の公開にあわせて『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』がWOWOWで放送されることを受け、『WOWOWぷらすと』では映画解説者の中井圭さん、作家の堺三保さん、映画評論家の添野知生さん、ぷらすとガールズの池田裕子さんがDCやマーベルなど、アメコミの世界を語りました。

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DCのチームヒーローの系譜はややこしい

添野：
　DCのチームヒーローものは、実はもっと古くからありました。ジャスティス・ソサエティというものが1940年からあって、全然違うメンバーだったりします。要はチームヒーローものをどうやって見せていくかというのが、漫画の中で変遷を経てきています。その系譜は手に負えないくらいややこしいです。やっぱりわかりにくいよね。

堺：
　そこが面白いんですよ（笑）。

添野：
　歴史順にメンバーを整理した表とかほしいな（笑）。同時にジャスティス・リーグが存在した時期もあるんですよ。だから誰か整理してくれないですかね（笑）。

DCとマーベルの歴史的背景の違い

中井：
　DCとマーベルの歴史的な背景の違いを教えてください。

堺：
　DCが先に始まて、主流になったんです。マーベルも実はDCとそんなに変わらないころからあるんだけど、主流になるのが1960年代になってからでした。DCは1938年と1939年にスーパーマンとバットマンを生んでいます。

堺：
　そういう意味では老舗です。マーベルは60年代になってどんどん新しいキャラクターを増やしたんです。逆にDCはキャラクターが古い。

中井：
　日本でいうとDCがコロコロコミックで、マーベルがコミックボンボンですね。

堺：
　DCは1930年代末に始まって1950年代の手前くらいが最初のピークで古き良きアメリカの正統派ヒーロー。マーベルは1960年から始まって、1960年代のヒッピージェネレーションのころに、子供向けに売ろうとしたものです。

　世界観がまったく違うという差がコミックにも出ていますが、コミックはお互いに影響しあっているので、実は今はそんなにDCもマーベルも違いはないんですよ。

監督ザック・スナイダーについて

中井：
　従来マーベルだと監督のポジションはそんなに長くなくて、割りと簡単にすげ替えられるというか。でも近年のDCの映画作品はザック・スナイダーとの蜜月関係がある気がしていますが立ち位置はどうなんですか。

堺：
　一人で監督をし続けるというのは、今のアメコミ映画はヘビーすぎるんです。長いものに、たくさん撮影して詰め込んで、しかもきっちり作らないといけないという条件が厳しすぎるので、一本作るだけで息切れしちゃうんです。それで、お話を軽く明るくして、後半に詰めたのはジェフ・ジョーンズ【※1】とジョス・ウェドン【※2】でした。

　そこまでの流れ自体は『マン・オブ・スティール』が始まって『ジャスティス・リーグ』で一旦完結するという流れは『マン・オブ・スティール』のときに、クリストファー・ノーランとザック・スナイダーが考えた筋道だと思うんですよね。今ハリウッドで大騒ぎになっていますけれど、ザック・スナイダーの悪い話って何も出てこない。

添野：
　すごく真面目で誠実な人だと思うんです。悪くいわれる理由は何もないと思うんですけれどね。

中井：
　このあとは別の人に引き継ぐという展開はあるんでしょうか。

堺：
　たぶんそうなるんじゃないですか。

添野：
　作品は別々の人が作るとして、『ジャスティス・リーグ』というタイトルも誰かが引き継いでいくでしょうね。

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