23時間を超える“過酷な対局”の記録係を務めたプロ棋士が当時を振り返る「持将棋になってトイレに行けてホッとしました」
何回書き直してもミスする記録用紙
本田:
また(記録用紙を)、清書するの大変ですよね。その時で何枚提出ですか?
星野:
1局目が4枚で、(3局合わせて)8枚だ。8枚提出するんですけど、7枚間違っていたんですよ。意識があるんだかないんだかよくわかんない状態で全部書き直すんですけど、書き直しても何回やってもミスするんですよね。
本田:
そうでしょうね。もう朦朧としているんですね。
星野:
一応書いたことにして、しれっと提出したんですけど、たしか家に帰って調べたら3箇所か4箇所か間違っていたのかな。
本田:
提出する時、間違いって2箇所まではOKなんでしたっけ?
星野:
全部で(2箇所まで)ですけどね。さすがに(職員の方から)何も言われなかったですね。
本田:
じゃあ一応大丈夫だったんですね。
星野:
大丈夫だったっていうか職員の方が直しておいてくれたんだと思うんですけど。文句を言われなかったですね。
本田:
いやー、すごいですね。
星野:
(記録係の仕事が)3時に終わって、行きつけの道場に行こうかどうしようか迷った記憶はあるんですよね。
さすがに迷ったけど、家と逆方向なんでやっぱりやめときましたね。家から1時間半ぐらいかかる道場だったんで、遠慮しといた記憶がありますね。帰った後はちょっと記憶がないですね。
本田:
15歳、若いですね(笑)。
掃除のおばさんも大慌て!?
星野:
アンダーシャツ姿の中川先生、たしかにそうだったんですけど。
本田:
なんか写真に残っていましたよね。
星野:
3局目だったんで、そのこともあまり気にも留めなかったですけど、今考えるとアンダーシャツ姿で指されている先生とか見たことないですね。
本田:
なかなかこういう対局がないですよね、
星野:
この日は金曜日だったんですよ。土曜日で何か部屋貸しが入っていて、朝8時前に塾生の人が来るじゃないですか。(対局が終わっていないから)塾生の人が盤を用意できなくて困っているんですよね。掃除のおばさんも掃除機かけられないし。その対局をやっていた部屋はもう10時から使うんで大慌てで。
本田:
終局だって午前9時15分だから10時からまた部屋を使うって言ったらもうすぐに「向こうで感想戦やってください」みたいな感じなんですか。
星野:
塾生の人がどうしようみたいな感じで見ていました。
本田:
すごいですよね(笑)。
■関連記事
・加藤一二三が対局以外のプロ棋士の仕事「立会人」を解説。必要とあらばトイレのドアをぶち破ることもあるという、その仕事とは!?
・将棋普及のために尽力する羽生善治棋聖のエピソード「タイトル戦の合間に、予定をやり繰りしてイベントに来てくれることがよくある」