初音ミク×重音テトの歌い分けが光る1曲『柔く、ほどいて』――ボカロP・MIMIが描く繊細な世界
今回紹介する動画はMIMIが2026年2月に投稿した「柔く、ほどいて」だ。
文/村上麗奈

軽快なリリースカットピアノとスネアの音色、優しいメロディがMIMIらしく上品な本作。全体を通して、結晶のような繊細さときらめきを備えている楽曲だ。

まず、ミクとテトが歌う歌詞の随所からは孤独で華奢な印象を受ける。テトがミクと出会い心を溶かしていくという、繊細な感情の動きが緻密に描かれている歌詞からは、壊れてしまいそうな宝石のような印象を受ける。更に檀上大空がイラストを手がけるMVにおいても、全体を通してきらりと輝くような描写があり、青と赤を印象的にあしらった色使いはガラスや水晶の反射のよう。それらがコロコロとした固い鍵盤の音色で彩られることによって、宝石のような、儚くきらめいた印象を醸しているように感じられる。

テトとミクの歌い分けも、この楽曲の聴きどころのひとつだ。1A、1Bをテトが、2A、2Bをミクが歌うのはそれぞれの視点を描写しているようであり、楽曲の物語性を増大させているように思う。また、ここ数年でミクとテトのいわゆる「ネギドリル」コンビが歌う楽曲は増加したが、ミクとテトが声を合わせて同じメロディを歌うことはそう多くないように思う。それゆえ、「柔く、ほどいて」ではサビの1周目でミクとテトが声を合わせて同じメロディを歌うのが新鮮に聴こえる。

2周目になるとミクが高音パート、テトが低音パートを担当するが、ミクの澄んだ高音とテトのずっしりとした低音を一度に楽しむことができ、こちらも魅力的。繊細な楽曲の中に、2人のボーカリストの魅力もしっかりと落とし込んだ、聴きごたえのある楽曲だ。
■information
「The VOCALOID Collection」 公式サイト
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