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「同人誌?意味分からないけど政府に無害ならOK」――北朝鮮のオタクコンテンツ事情

“サッカーオタク”は意外と一般的?

安:
 北朝鮮にはサッカーオタクはいますけどね。

ニポポ:
 へー。

安:
 オタク気質の人はいっぱいいるんですよ。それを集約する何かがないから、ただの『ちょっとこだわりの強い一般市民』の集まりになっていてプラットフォームがないという感じですね。

ニポポ:
 サッカーの情報に関しては、ワールドワイドに得られたりする?

安:
 そうですね。一応、今はパブリックビジョンとかもやってるみたいだし、中には澤穂希さんと友達って方もいました。

ニポポ:
 どんなつながりで友達に?

安:
 向こうのサッカー協会の方で、試合のたびによく喋る、みたいな感じ。たぶん、英語で喋ってたと思うんですけど。サッカー界はボーダーがないじゃないですか。

ニポポ:
 うん。確かに。それでなんとなくつながれたってとこがあるんだろうね。

安:
 サッカーに関しては、集まっているところは集まっているだろうし。あと北朝鮮の人の分析って、めちゃくちゃ癖があるんですよ。

ニポポ:
 分析?

北朝鮮と日本の議論の違い――「最初にこれという結論があって……」

安:
 アニメでもそうだし、とにかく物事に対する分析の癖みたいなのがとてもあるんです

ニポポ:
 なるほどね。元々根付いてる価値観がちょっと違うから、分析の方法も相当違うのかな。

安:
 そうなんですよね。そこに国民性が表れているのかな、と思ったりします。例えば、日本は「これもあるし、あれもある」みたいな感じで、並列でいろんな材料を提示して、そこから中庸に目指して分析していくじゃないですか。北朝鮮の人は、最初にこれという結論があって、そこに向かってどんどん論破していく、という感じ。

ニポポ:
 なるほど。それは完全に、思想を持った学者の考え方ですね。

安:
 そうですね。すごく癖があるように見えるんですけど、それも一つのディスカッションの方法なのかなと思って。

ニポポ:
 それこそ、その結論に向けた道筋とかを立てるには一番の方法かもしれないですね。

安:
 だからもし、日本の方がこれから北朝鮮の方とどこかで会って喋るとなると、そういうのはわかっておいた方がいいかなって思います。

ニポポ:
 彼らは条件として、見聞きできる情報が限られてるわけだから、それが視野の狭さにつながってくることは仕方のないことなんですよ。それを踏まえてコミュニケーションをとってあげるのが、我々の行動のあるべき姿ではないかそして、ひとつ大人になってあげる。「大人になって」と、我々の方が思う必要はないんですよ。

 彼らは条件として与えられた情報が少ないから、多くを与えられた方が学習能力が高くなってくるのは当然のことだから、いろいろ提示してあげるってことが大切なんじゃないでしょうか。

安:
 そうですね。でも、全員が全員じゃないですよ。私、イタリアでプレイしてる北朝鮮のサッカー選手と飛行機で隣同士になって、喋ったことがあるんです。彼はもちろんいろんな価値観を知っていて、そして価値観を選んでいる感じがあるんですよ。

ニポポ:
 なるほど。

安:
 立場をはっきりさせることで、ようやく議論に立つというようなことがあるので、そこは良いと思うんですよ。中国も韓国もそうですけど、対立の仕方ははっきりしてるので。その立ち位置を変えるのはすごく上手いと思うんですよ。サッカー選手の方もそうだったんですけど、イタリアにいるときはイタリアモードの俺、朝鮮に帰るときは朝鮮モードの俺、みたいなのがあるんです。

ニポポ:
 そうなんだ。切り替えられるんですね。

安:
 切り替えてる感はありましたけど、彼はすごいなって思いましたね。

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