夏と秋の狭間を描く季節ソング『瞬夏秋燈』清涼感あふれる旋律に「メロディがずっと美しい」の声
文/村上麗奈
軽やかなストリングスとバンドサウンドが爽やかなイントロ。どこか涼しげなサウンドに乗る星界の声は、夏と秋の狭間を歌う。
今年の真夏は最高気温40度近い日々が続き、6月頃から到来した夏の陽気は11月後半にようやく鳴りを潜めたと言えるだろうか。
夏の存在感が増した数年前から「あまりの暑さに、昔のような爽やかな夏ソングは作られなくなるかもしれない」といった意見もちらほらと聞くようになっていたが、『瞬夏秋燈』はまさに夏が暑くなりすぎた、令和以降の季節ソングと言えるだろう。
<秋を呼ぶ風は吹けど 未だ熱は冷めやらず>という歌い出しや、<すれ違う色、温度 金木犀が運ぶよ>のフレーズは、涼しい風や金木犀の香りが運ぶ秋の気配と、夏の日差しが両立していた10月頃の陽気を思い出させる。
サビに向けてダイナミックに盛り上がるメロディーとどこか切なげでありながら推進力を感じるサビは、過ぎ去った夏に思いを馳せるようでもあり、長かった夏のせいで短くなった秋の儚さに思いを馳せるようでもある。
全体を通したメロディーの美しさ、清涼感のあるサウンドが魅力的なのはもちろんなこと、歌詞の言葉選びも抒情的だ。
2サビの<伝えたい 伝えられない弱さ 秘密のままだよ>といったように、ところどころで季節の変化とリンクするような心情と思しきフレーズが挟まれているのも、楽曲の物語に幅を持たせている。
ここ数年、夏という季節はすっかり情緒がなくなってしまったように思うが、『瞬夏秋燈』はそんな夏から秋の季節の移ろいを描いた美しい楽曲となっている。
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