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ピアノと口笛らが軽やかに響く初音ミク曲『あれるげん』──可愛らしさの中に宿る真剣なメッセージ

 今回紹介するのはbluesあれるげん』。

文/村上麗奈


 アコースティックギター、ピアノ、様々な電子音やギロなどのパーカッションといった多様な音色がコロコロとしており、可愛らしさを感じる楽曲。呟くように初音ミクが歌うのは<大人の言うことだから大目に見てあげるけど 我慢ばかりしてるのは大人だけだとでも?>、<散々 比べて品定めして 気まぐれで「あなたはあなた」なんて 些か都合が良すぎやしませんか>という、多くの若年層が抱くであろう疑問や不満。

 しかし、サビの<わかんないんだよね>のあとには口笛のような音色が使われているのをはじめ、素朴で丸みのある音色が多用されていたり、初音ミクの声が穏やかで可愛らしかったりと、歌詞の内容に反して攻撃的な要素は感じられない。

 MVの映像も、デフォルメ調で描かれた薬や絆創膏のイラストがポップですらあり、穏やかに代弁するような楽曲に、コメントでは共感が集まっている。

 反発するように疑問を歌う反面、終盤には<何も名付けないで 生きづらさを安売りしたくないから>という歌詞が登場する。

 真摯に自分自身に向き合おうとするその歌詞の姿勢こそ、この楽曲の本質だろう。感情的になるのではなく、自身を守るために疑問を呈する。そんな力強い姿勢が見える、可愛らしくも強かな楽曲だ。

■information

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