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【プロセカ実装曲】リアル社会にも通じる普遍的なテーマを問う。静かなピアノサウンドとメッセージ性の強い歌詞に注目な1曲「演劇」

 今回は、ナノウさんが7月19日に投稿した「演劇」を紹介する。

文/小町 碧音(こまち みお)


 「ハロ/ハワユ」を代表曲とするナノウさんの楽曲として、約5年ぶりとなる新曲は、スマートフォンリズムゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」(通称:プロセカ)で活動する音楽サークル・25時、ナイトコードで。への書き下ろし曲。母親に‟いい子”でいることを求められ続けたサークル内メンバーの朝比奈まふゆ視点に立った曲になっている

 <或る時誰かが言いました みんな役割があるんだと>という歌詞は、社会に生きるひとり一人には役割があると教わった過去を振り返るまふゆを描く。何もわからないまま、言われたことを正しいと信じた彼女の心には、他人の期待に応えたいという気持ちが強くあった。しかし、他人の期待に応えようとするあまりに、周りに気を遣いすぎていることに気づく。歌うミクの無機質な声が妙に寂しい。

 静謐なストリングスの調べとともに物語が加速するのは、<間違ったまま 生きてきたんだ>と悟るまふゆが描かれたサビから。長い間、求められる役割を演じてきた彼女は、ようやくそのことから解放されたいと願う一方、解放されることで自分の居場所がどこかわからなくなると悲観する。その姿は、悲哀に満ちている。2番からは、社会の不条理を知り、<もう分からなくなったんだ><全部もう虚しい全部 ただ疲れたんだ 息をし続けるのが>と失望し、<最早観客もいない舞台の上で 声が響いたんだ 「私はここだよ」と泣いている>と、初めて自分の足で立つシーンが現れる。彼女にスポットライトがあたる瞬間だ。彼女は、かつて、求められる役割を演じることで多くの観客を惹きつけていた。その役割を演じることをやめた途端に、目の前の観客は誰一人としていなくなってしまったのだ。

 社会のルールに従い、社会の役割や期待に応えることが当たり前となっている世の中で、<今 私の舞台を終わらせるから>と、彼女は自分自身を生きていく決意をする。その決意は、相当な覚悟と勇気がなければできない。冒頭の静かなピアノサウンドから徐々に登場する重厚感や威厳のあるサウンドは、彼女の感情の波立ちと決意の強さを象徴しているように思える。自分自身を犠牲にしてでも、大衆の人気を得ることを望むのか、それとも、たとえ人気が得られなくても、自分の生き方や信念を貫き通すことを望むのか。この楽曲は、リアル社会にも通じる普遍的なテーマを問う。


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