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望月琉叶 演歌×ボカロの新ジャンルを開拓!「ロミオとシンデレラ」「シザーハンズ」「ラブカ?」など“るかち”が語るボカロの魅力

 様々な世界で活躍する著名人にボカロ曲のプレイリストを制作してもらい、それを元にトコトンVOCALOIDについて語ってもらう本シリーズ。今回は演歌歌手として活躍する“るかち”こと望月琉叶さんに登場してもらった。

 アイドルグループ「民族ハッピー組」に加入後、演歌歌手としても活躍し、2021年には「第63回日本レコード大賞」新人賞を受賞するなど、まだ若干20代ながらも抜群の歌唱力が望月さんの大きな武器だ。
 2022年には柊キライやdoriko、40mPら5人の人気ボカロPと楽曲配信企画やアルバムリリースを行い、ボカロ×演歌という音楽ジャンルの垣根を越えた異色の活動も話題となっている。

 「演歌と同じぐらい、ボカロは自分にとってなくてはならない音楽」と語る望月さん。そんな彼女のボカロ歴や、大好きなあの曲との思い出深いエピソードなど。熱烈なボカロ愛を、今回のインタビューでは存分に語ってもらった。

歌手・望月琉叶のルーツに迫る…演歌とボカロの共通点とは

──最初にVOCALOIDと出会ったきっかけは覚えていますか?

望月:
 あまりちゃんと覚えていないんですけど、たぶんネットで見つけたんだと思います。YouTubeとかニコニコ動画とか。あとは学校の給食の時間でも流れていた記憶がありますね。音楽は幼い頃からやっぱり演歌が好きだったんですが、ボカロも好きで。中学の頃学校で嫌なことがあった時ボカロ曲から元気をもらえたこともあって、そういったきっかけでどんどんハマっていきました。

──その頃はどんな曲を聴いていたんでしょう。

望月:
 「メルト」とかですね。周囲でも流行ってたと思います。今まで聴いてきた音楽とは少し違う世界観というか。人間では歌えない高い音も出ますし、機械の声っていうところに新鮮さを感じていました。

──望月さんは演歌歌手としてのご活躍の幅も広げていますが、個人的に演歌とボカロが並列で繋がるイメージってあまりなくて。なので非常に興味深いです。

望月:
 ボカロにもビブラートなんかのテクニックが使われる曲もあるので、そういった部分を聴くと演歌に通じる部分もあると感じますね。なので現状多くはないと思うんですけど、ボカロ曲で演歌も全然できる気がします!ボカロの新ジャンルとして、これから増えてくれると嬉しいなって思います。

──それ以降もボカロは聴き続けていらっしゃったんでしょうか。

望月:
 はい、ニコニコ動画中心にいろんな曲を掘ってました。巡音ルカちゃんの「wondering」っていうジャジーな曲があって、ボカロでもジャズができるんだ~って思ったり。あとは同じくジャズ調の「ミラクルペイント」も、途中で所々ビブラートが入ったりするじゃないですか。それを聴いて、VOCALOIDってポップスだけじゃなくいろんなことができるんだな、って思ってました。
あと「wondering」は、あちこあこさんの描かれたイラストも好きなんです。ボカロ曲は音楽だけじゃなくイラストも楽しめて、すごく五感が刺激されますね。

──望月さんは元々イラストも描かれますもんね。ボカロ曲の中で、サムネやイラストが印象に残っている曲もあったりされますか?

望月:
 あつぞうくんの「トリコロール・エア・ライン」はすごく好きでした。今はもう本家動画はニコニコにないんですけど…。ルカちゃんリンちゃんミクちゃんの3人もかわいいし、旅に出るワクワク感が詰まったイラストだなって。あとは「ロミオとシンデレラ」も好きです。ちょっとセクシーな女の子のイラストを見て、「いいなあ、わたしもこんなイラストを描きたいなあ」って思いながら曲を聴いてましたね。

メジャー曲からマイナー曲まで!熟練リスナー感満載のチョイス

──お話を聴いていると、かなり幅広いボカロ曲をチェックされていたんですね。そんな望月さんの推しのボカロPさんも、もしいるようであればお訊きしたいです。

望月:
 推し!難しいですね絞るの…(笑)たくさんいますが、特にあつぞうくんの曲は好きなものが多いです。さっきの「トリコロール・エア・ライン」とか「デルフィ」とか。ただネットから本家が消えちゃった曲も多くて、「久々に聴きたいな」と思っても聴けないのが悲しくて…(笑)今残ってるものだと、「うさぎのウシャンカ」「進路変更」「I want to be your girlfriend」なんかも好きですね。

──あつぞうくんさん、ややニッチなボカロPさんでかなり多作な方でもありますが…お話を聴いていると、おそらく全曲を網羅する勢いでチェックされていますね?

望月:
 そうですね、かなり聴き込んでます(笑)あつぞうくんの曲の、メロディーがちょっとふわふわした感じというか、普通の音じゃないというか。予測できない展開や変化が面白くて、聞き飽きないなって。「メガネ・キューティ」なんかも好きなんですけど、テクノっぽい要素もあったりして、高校の頃聴いて新しいなって思ったのを覚えてます。転調も聴いていて楽しいし、歌詞もわかりやすいし…推しポイントが多すぎます(笑)

──ディープなお話、非常に楽しく聴かせて頂いてます。重ねてVOCALOIDのキャラクターの中でも、推しはいたりしますか?

望月:
 やっぱりミクちゃんから入っているので…自分のオタク魂に正直になるとミクちゃんが一番の推しですね。他にもかわいい子がいっぱいいるので迷っちゃいますけど。去年もニコニコ超パーティーにMCで出演させて頂いた時、ステージのVOCALOIDたちのやりとりを見てめっちゃ感動しちゃって。みんな大好き!ってなったんですけど、やっぱりミクちゃんがいないと今みたいな世界にはならなかったな、と思うので。

──お話のニコニコ超パーティーのように、これまでニコニコ動画やVOCALOID関連のイベントにも足を運んだことはあるんでしょうか。

望月:
 デビュー前に1回、アルバイトでニコニコ超会議に行った事があります。めちゃくちゃ楽しかったですね。働きながら「コスプレすごい!ミクちゃんかわいい!」「みんなのボカロ愛すご!」って会場の景色を見てました。その後いろいろあって芸能界でアイドルになったんですが、縁あって2019年のニコニコ超会議の歌ってみたブースでサブMCをさせて頂くことになって。その時にブースで「天城越え」を歌わせて頂いたんですけど、私ここで前はバイトしてたんだよな~って思ってちょっと感慨深かったです。ステージに立てている喜びを噛み締めてました(笑)そこから去年のニコニコ超パーティーでのMCもあったりして、夢がどんどん叶っていくなって。嬉しい限りです。

2022年4月リリース!アルバム「UNIVELSO」の必聴ポイントも

──そうしましたらここからは、プレイリストのことについて伺えたらと。

望月:
 2022年4月に「UNIVELSO」というアルバムを出したんですが、これが人気ボカロPさんの書き下ろし曲や、私の好きなボカロ曲のカバーバージョンを収録した作品になるんです。書き下ろし曲5曲は去年10月から1か月おきにシングル配信もしていて、今回はせっかくなのでそれをリストにさせてもらいました!

──この中で特に印象深い曲はどれになりますか?

望月:
 選ぶのが難しいんですけど…演歌とボカロの融合っていう意味も含めて、Nemさんの「緋炎歌」でしょうか。「ぴえん」「裏アカ」みたいな現代用語も満載なんですけど、冒頭の語りの要素とかメロディはかなり本格的な演歌なんです。でも曲の途中からジャズ調になったり、ポップなアニメ声で歌う部分もあったり…そういった変化を楽しんで欲しい曲ですね。令和の今風な文化と、演歌っていう伝統的な音楽文化が絶妙にマッチしてる点でも、新鮮な曲なんじゃないかと思います。

──まさに望月さんを形成するカルチャーが詰まっていますね。

望月:
 ただ、ボカロをあまり知らない人にも人気なのは「ノルカソルカ」ですね。40mPさんに作って頂いた曲です。曲調もポップだし、歌詞も「なんとかなるよ、どうにかなるさ!」って気持ちになれる曲で。通勤途中に聴いてるって言って下さるファンの方も多いんです。聴く人に元気をくれたり、応援してくれる曲なので、ボカロをあまり聴いたことのない人にもおすすめです。

──聴いていて「頑張るぞ!」ってなれる曲なんですね。

望月:
 そうですね。あと私、先ほどもお話したんですが「ロミオとシンデレラ」が昔からずっと大好きで。イラストも好きなんですけど、モチーフが「ロミオとジュリエット」だったり、ちょっと背伸びしたい女の子の感じというか。中高の頃にこの曲を聴いて「私も早く大人になりたい」って思ったり、主人公になりきって恋をした気持ちを疑似的に味わってみたりとか(笑)そんな憧れの詰まっていた曲なので、すごく思い入れがありますね。本当に毎日聴いていたぐらい。カラオケでも歌ったり、いろんな人の歌ってみた動画を見たり…いろんな楽しみ方をしてましたね。ときめきたい時に聴きたい曲です(笑)

──当時歌ってみたや踊ってみたなんかもチェックされていたんですか?

望月:
 チェックしてました!自分の好きな曲の動画をアップしている歌い手さん、踊り手さんの動画はやっぱり見てましたよ。私、さつきがてんこもりさんの「お断りします」っていう曲が可愛くて大好きなんですけど、ろんさんの歌ってみた動画とかすごく好きでした。可愛いんですけどかっこいい部分もありつつで、動画見ながら「私だったらどんなふうに歌ってみるかな」って考えたりもして。

──ありがとうございました。最後に望月さんにとって、VOCALOIDとはどんな存在でしょう。

望月:
 一言でいうと「心の支え」ですね。私の中ではVOCALOIDがなかったら演歌もなかったし、逆に演歌がなかったらVOCALOIDもなかったな、ってぐらい大事な存在です。声のアレンジやテクニックは、ボカロ曲で勉強していた部分もあるんです。VOCALOIDと一緒に歌ってたら、しゃくりやこぶしのようなテクニックも出来るようになってきた、っていう経験もありますし。演歌と同じぐらい、私のルーツになくてはならない音楽ですね。ボカロと演歌の融合した曲ってまだまだ少ないと思うんです。なので私も頑張って、これからボカロ×演歌っていう新しいジャンルをどんどん開拓していきたいですね。

Information

「The VOCALOID Collection」 公式サイト

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