‟からあげ”の入った曲名とお祭りムードが漂うポップな曲。爽快なビートと共に＼からあげ／と終始口ずさみたくなる『からあげDanceBeat!』
今回は、ペクちんさんが昨年9月30日に投稿した「からあげDanceBeat!」を紹介する。
‟からあげ”の入った曲名とお祭りムードが漂うポップなサウンド、可愛らしいMVの雰囲気から最近ブレイクしやすいネタ曲かと思いきや、実は奥深さのある予想外な曲だ。1番の＜気付けばもう考えている＞につながっている歌詞は＜身体は向かうのさ 地鶏屋へ＞。可愛い女の子が主人公になっているMVだからこそ、きっと女の子は好きな人のことを考えていると想像する。
しかし、そうではないのがこの曲。いの一番に‟からあげ”がテーマであることを忘れてはいけない。子供の頃から好きだったからあげの香りを思い出した女の子は、瞬時にからあげに対する想いを脳内に巡らせる。最初の衝撃は、サビで＜先の見えない時代だって 超えてくのさ試練なんて＞と急に真面目な応援ソングに切り替わるところ。続いて、＜衣に不安を包んで 飲み込んでさ ジューシーな未来を揚げよう＞とからあげを使った比喩表現が出てくる。──からあげ好きの頭の中はこうなっているのかと気付かされる歌詞だ。
そして2番につながる間奏では何度も＜＼からあげ／＞と口ずさみ、からあげを忘れる瞬間が一度もない。ギターサウンドとからあげの音色の響きがキュートだ。＜今すぐ会いたい 小銭を握りしめて＞＜一目見るその時まで＞と再び誰かを思った純愛ソングのように聴こえるが、やはりここでも相変わらずからあげ愛が歌われる。途中でからあげを想う女の子の幸せな溜息まで入っているのが自然かつリアルで高揚感を高める。
あくまで、からあげは、主人公の女の子が明日をちゃんと生きていくために必要不可欠となる栄養素として登場しているのがなによりも興味深い。単純に盛り上がるためだけの、からあげを歌った曲とは異なり、想像以上に壮大な世界観が広がっているのがこの曲の魅力だ。言葉を入れたイントロや間奏などのあらゆるフレーズ、爽快なビート、シンプルな歌詞とメロディなどのキャッチ―な構成から、終始口ずさみたくなるほどの中毒性がある。今回のからあげをテーマにしたサビの比喩表現と同様に、ほかの食べ物に対する愛をテーマにした真面目な楽曲もあれば聴いてみたいと思ってしまったユニークで意義深い1曲。
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