水樹奈々、声優デビュー20周年に“シングル2枚”同時リリースした胸の内を語る「作詞は常に自分との戦い」
作曲家・上松範康はこれでもかとハードルを上げてくる
鷲崎:
では、『TESTAMENT』の方も話を聞きたいのですが、こちらは『戦姫絶唱シンフォギア』の主題歌ですね。何期目でしたっけ?
水樹:
4期目ですね。でも、もう放送前に5期の放送も決まっているんです。
鷲崎:
こちら『TESTAMENT』の作詞は水樹さん、作曲は上松範康さんということで、もうおなじみのコンビですね。
水樹:
そうなんですけど、上松さんはこれでもかとハードルをあげてくるんです。私がレコーディングでヒーヒー言っているのに、「奈々ちゃん、大変だったよね」ってニコニコしていたり、ライブを見にきてくださるんですけど、レコーディングの時より進化して、体の中に入ってくると、走りながら歌えたりするじゃないですか。その姿を見て、「まだ足りなかったか」みたいな感じで(笑)。
鷲崎:
レコーディングの時って、一番最初に歌う時であって、ライブとかを重ねていくと、その曲を何回も歌い出すのでレコーディングの時から育つというか。
水樹:
そうですよね。自分の体の中にフィットするというか。
鷲崎:
今回の曲はどれくらいでフィットしそうですか。
水樹:
この前、「音楽の日」っていう番組で深夜の3時くらいに歌うことになったんです。もう大変だったんですから! レコーディングの後の初披露が、まさか深夜の3時になるとは。
鷲崎:
声帯もびっくりですよね(笑)。
水樹さんはシンフォギアとのお付き合いも長いので、作品のテーマ的にはブレることはないと思うんですけれど、だからこそ長く続くシリーズの曲を書くのはね。
水樹:
すごく難しいんです。なのはもそうなんですけれど、シリーズが続いていると、姉妹曲であるというつながりを持たせながらも、新たなアプローチをするというのが難しいですね。シンフォギアは中にも戦闘曲が出てくるので、熱量もあるじゃないですか。だから、そことはまた違った角度で書けたらいいなと思って。
鷲崎:
噂で聞いたんだけど、アフレコの最中に普通に歌ったりするの?
水樹:
そうです。戦闘曲は「これ本当にアフレコ現場で歌うんですか」 っていうのが多いですよ。特に私が演じている翼さんはみんなの憧れというか、エリート的な奏者だから、「これじゃ全然難しくないじゃん」って何回もダメ出しがくるんです。酷くないですか(笑)。
水樹:
「かっこいい曲だし、それでいいです」って言ったら、「いやいや翼曲はもっと難しくないとダメなんだよ」って。どういうことなんですかね(笑)。いつもすごいことになっていて、今回も翼曲はすごいんです。
鷲崎:
楽しみにしておきます(笑)。
「作詞は常に自分との戦い」
鷲崎:
視聴者の方からメールが届いていますので、紹介したいと思います。
水樹:
ありがとうございます。
鷲崎:
(メールを読む)奈々さん、こんばんは。2枚同時リリースシングルは『魔法少女リリカルなのはReflection』と『戦姫絶唱シンフォギアAXZ』の主題歌となっていますが、なのはの1期の放送が13年前。シンフォギアの1期が5年前ですね。続編作品の曲を担当するときは、1期や前作のことを考えながら作詞やレコーディングをされるのでしょうか。
水樹:
はい、いつも振り返って聞いたり、見たりしていますね。
鷲崎:
そのときの自分の気持ちも蘇ってきますもんね。
水樹:
こんなことを思いながら書いたな~とか。
鷲崎:
「はぁ……無理だ私」とかって、引きずられたりしないですか。
水樹:
ならない(笑)!
鷲崎:
水樹さんが演じるのは、どんなことがあっても、立ち向かってっていうキャラクターたちが多いですしね。
水樹:
そうですね。すごく前向きな気持ちですね。でも、作詞は過去の自分との戦いがあって。「うわ、水樹いいこと言ってるね」とか、「なんでこんなの書けたんだろう? くそ~!」みたいな戦い(笑)。
鷲崎:
いいですね(笑)。
水樹:
13年前の、なのはの主題歌「innocent starter」は、私が24歳の頃に書いているんですけど、その頃の自分の方が頭がいいんじゃないかと思うことがあるんです(笑)。
鷲崎:
いやいや(笑)。
水樹:
だから、常に自分との戦いなんですよ(笑)。