星雲賞を受賞した声優・池澤春菜さんがSF小説の魅力を語る「SFに古いも新しいもない。未来を描く以上、永遠に新しくなり続ける」
海外長編部門『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』
池澤:
ピーター・トライアスの『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』が海外長編部門を獲りましたね。
池田:
面白かったね、うん。
池澤:
歴史改変モノというのは根強い人気があるんですよ。皆さんお好きですよね。第二次世界大戦で勝った国をイジるというのが王道のパターンではあるんですけど、何回も何回もやってきたところに、これをぶっこんでくるか! と。
池田:
やられましたね(笑)!
池澤:
ある意味、これも壮大な二次創作なんですよね。日本が大好きで、日本の文化へのオマージュをこれでもかと入れてあるんですよね。日本人としてこれを日本語で読める幸せが詰まっていますね。
池田:
この方、来年のはるこん【※】のゲストでして。決まった時は大喜びしていましたよ。
※はるこん
日本で二回目のワールドコンを目指しているSFファンが主催するコンベンション。
日本長編部門『ウルトラマンF』
池澤:
(受賞が発表されたときのコメントを読んで)なるほどー。コメントではみんな笑っていますね。この作品の受賞はちょっと物議を醸す感じなんですかね。
池田:
そうなんですかね……、でも私はこの作品が大好きですよ。
池澤:
好きだって思う人もいれば、どうかなって思う人もいるのは、ある意味名作ということだと思うんですよ。 誰もが「あーよかったね」ではなく、「どうしてもこれが良い」と言う人と、「いや、あれは絶対だめだ」と言う人が両方の評価、どちらの心も動かしたということが名作なんだと思います。これも壮大なる二次創作ですね。
櫻井:
公式二次創作ですね。
池田:
票が割れたのかもしれませんね。
池澤:
これを機に読んだことのない方は、ぜひ読んでいただいて自分自身の評価を決めて頂きたいですね。