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ニコニコ動画15周年の日に、ほぼ毎週ずーーっと動画投稿している筋金入りのニコ厨にサービス開始からの思い出を聞いてみた

 ニコニコ動画が2006年のサービス開始から今日で15周年を迎えた。

 そんな記念すべき今日、ニコニコ動画が産声を上げたのとほとんど同じ時期から15年間、毎週欠かさずニコニコ動画に動画を投稿し続けているとある集団をみなさんにご紹介したい。

 彼らが手掛けているのは、週刊ニコニコランキングというニコニコ動画で注目を集めた動画をランキング形式で紹介する動画シリーズだ。
 なんとこのシリーズ、ニコニコ動画が好きなごく普通のユーザーたちが有志で集まって独自の分業体制で作った非公式のランキングであり、15年間毎週投稿され続け第1号から数えて第760号を達成している。

 今ではニコニコ動画の歴史資料と化している「週刊ニコニコランキング」はどのようにして誕生したのか? 毎週欠かさず動画を投稿している分業体制とはどのようなものなのか? サービス開始からニコニコ動画を記録し続けているユーザーの目にはニコニコ動画はどのように映っているのか?
 湧き上がる疑問を解き明かすべく、ニコニコニュース編集部では「週刊ニコニコランキング」の中心メンバーである、2代目氏Kossie(こじー)氏にインタビューを実施した。 

取材・文/トロピカルボーイ田畑


■ひろゆきがニコニコ動画っていう、変なもの始めたぞ

――お二人は「週刊ニコニコランキング」、通称ニコランの主要メンバーとお聞きしたのですがそもそもニコランはどのようにして始まったのでしょうか?

Kossie:
 そもそも、週刊ニコニコランキングという動画シリーズの創刊号は「初代」と呼ばれているメンバーによって、2007年5月の第2週13日に投稿されました。そこから、動画シリーズはほぼ休みなく毎週続いて今日に至ります。

 当時はYouTubeがグローバルランキングしかなくて、日本人に人気のある動画が見つけにくかったですし、ニコニコ動画にそもそも実装されているランキング機能も体感的に面白い動画を網羅しきれてない感じでした。なので、オフィシャルとは違うユーザーによる独自の集計方法で作られたニコニコ動画のランキングを、今の感覚で言うならツイッターのトレンド欄みたいな感じでみんな見ていたんじゃないかと思うんですよね。

2代目:
 初代は第9回までの動画を投稿していて、そこから自分が二代目として引き継ぎました。しばらく個人としてニコランの投稿を頑張っていたんですが第25回で三代目にバトンタッチしたんですよね。それから自分はプログラマーとしてニコランに関わっています。

Kossie:
 三代目が2008年の6月までランキング制作を続けて、そのあたりから僕が四代目として関わるようになりました。僕はそれからずっとニコランで動画を作っていますね。ちょうど僕の代から、個人でランキング動画を作るのではなくて集団で分担して動画制作をするような今のシステムになったんです。

――なるほど、それだけ長い期間ニコニコ動画で活動をしていると、むしろリアルでの生活の方が大きく変化してくるのかもしれませんが、お二人は普段何をされているのでしょうか?

2代目:
 自分は、組み込み系エンジニアですね。

Kossie:
 私は、今の仕事はちょっと秘密……ということで(笑)。
 ニコニコ動画に触れる前は2ちゃんねるの運営ボランティアでした。当時は中学生だったのでキーボードをカタカタする職業に憧れる年頃だったんですよね。

――ちょっと、中二病だった……ということですかね(笑)?

Kossie:
 まぁ、僕がキーボードをカタカタやっている間に、「2ちゃんねるのひろゆきがニコニコ動画っていう、変なもの始めたぞ」って界隈で噂が立ち始めたんですよ。教えてもらったURLを開いたらめっちゃ重くてカクカクでした(笑)。

――今ではYouTubeの配信で有名になっているひろゆきさんですが、ニコニコ動画の立ち上げにも関わっていたことを知っている人は意外と少ないかも知れませんね。実は「ニコニコ動画」の名付け親のひとりだったりするのですが。

2代目:
 その頃のニコニコ動画は動作が重くて映像がカクカクになっちゃうから、カクカク動画なんて呼ばれてましたね。懐かしい。

Kossie:
 一番最初のバージョン「ニコニコ動画(仮)」の頃は「3ヶ月くらい経ったら無くなるんじゃないか?」って言われてたんですけど、アクセスしている人はいっぱいいたんですよ。
 けれど、まさか15年続くなんて当時のユーザーは誰も思ってなかったと思いますよ。

――たしかに、サービス開始当時のニコニコ動画はそんな感じでしたね。

Kossie:
 便利だなぁって思っていたら「サイバー攻撃がきたのでダウンします」って止まっちゃったり、γサービスも「10万人先着限定」だったので、おいおい(笑)って感じでしたけど。

――10万人先着限定! 懐かしい。あの頃は24時間ニコニコ動画を視聴できるのがID10万台までだったから、アカウント申込みが殺到したんですよね。

2代目:
 その頃の運営さんは本当に大変だったと思いますよ。毎日何かしらの対応に追われてたんじゃないでしょうか。

■中国の公安が部屋に踏み込んで来て

――先程、中学生の頃は2ちゃんねるの運営ボランティアをされていたとのことでしたが、Kossieさんは、ニコランに関わり出した頃には学生さんだったのでしょうか?

Kossie:
 その時は、中国の大学で勉強していたんですよ。あの国のインターネット業界って、今でこそメチャ伸びてますけども。その時ってまだ発展途上で、住んでいた家の回線がとんでもないゴミ回線だったんです。

 しかも、中国の規制の影響なのか、たまにニコ動に繋がらなくなっちゃう時もあったんですよ。

――そんな環境では、ニコランの作業は大変だったんじゃないですか?

Kossie:
 これニコランのメンバーに対しても初めて言うんですけど、過去一回だけ部屋に中国の公安が踏み込んで来たことがあったんですよ。

――マジですか!?

Kossie:
 その時の中国って大気汚染が酷くて、私は気管支が弱かったので、体調崩してて大学とか休みがちだったんですよね。寝てたら制服を着た人が踏み込んで来て「公安の者」です、って。えーっ!! ってなっちゃって……「ぼくはニコニコ動画を見てただけです!」って説明しました。

――それは、ただの学生にはかなり怖い体験だったんじゃないですか? もし言い分を信じてもらえなかったらヤバかったですよね。

Kossie:
 やっぱり、現物を見てもらったことがよかったのかもしれませんね。当時、使っていたのがノートパソコンだったんです。そのノートパソコンでニコニコ動画を見せて「これです!」って言ったら問題なしと判断して帰っていきました(笑)。

――15年経った今なら、笑い話のネタとして言えるかもしれないですけど……。そんなことがあっても、「僕怖いからニコラン辞めます」とならなかったのは、相当強いモチベがあったんでしょうか?

Kossie:
 いや、学生だったから深く考えてなかっただけかもしれません(笑)。

2代目:
 たまにニコランの動画を見た人で、オフィシャルが作った動画だと思っている人がいるんですよね。こんなシリーズを15年も続けるなんて、普通は仕事じゃなきゃやんないだろってことだと思いますけど、仕事だったとしても大変ですよ(笑)。

■ニコニコ動画でこれまでに遭遇した一番の事件は?

――さきほど、ニコニコ動画を見ていたら中国の公安に踏み込まれた……というエピソードをお聞きしましたが、ニコニコ動画の歴史のなかでも多くの事件が起きてきました。ニコニコ動画と共に歩んできたニコランだからこそ、いちばん印象深かった事件についてお話いただけますか?

2代目:
 生配信中にユーザーがとんでもないことしちゃったとか(笑)。事件はいろいろあったんですが、ぼくたちの活動に一番大きな影響があったのは、2019年のランキング大改修です。
僕が初代から引き継いだ週刊ニコニコランキングのプログラムって100行や200行しか無かったんですよね。今は1万行くらいあって、それは2019年の時に全部書き直したやつなんです。

――意外と最近の出来事ですね。単純計算で100倍のプログラムを突貫で構築するというのは、すごさが逆に想像できません。

Kossie:
 ニコランのメンバーにエンジニアの2代目がいたのは本当にただのラッキーでした。ランキング大改修のときでなくても、ニコニコ動画が仕様変更をする度に2代目のおかげで助かった局面は何度となくありましたね。

――Kossieさん的に思い出深い事件はありますでしょうか?

Kossie: 
 やっぱり、仕方のないことではありますが、権利者からの通報で動画が一斉に削除されることですね。2017年に起きた星野源さんの恋ダンス動画の一斉削除とか。それで、ニコランのバックナンバーがまた一斉に消えちゃって……。ニコランの動画はいろんな動画から15秒くらいを切り出してつないで作っているので、その曲が使われていたニコランの大量のバックナンバーも影響を受けました。

 あの時は急いでランキング動画を作り直して、なんとか急場を凌ぎましたね。

――たしか、恋ダンス動画は元々ドラマ放送中の期間限定で許可されたものだったから、ドラマ終了後に削除されたんですよね。何らかの事情で過去のランキング動画が見れなくなった場合は、わざわざさかのぼって動画を投稿し直さなくてもいいのではないか、と思うんですがどうでしょうか?

Kossie:
 逆に言えば、その原因になった部分を取り除けば、また公開し直せるんだからがんばろう! って思うんですよね。あとは、その頃に人気だった動画はやっぱり記録として残しておきたい気持ちが強いんです。

2代目:
 いろいろ事件はあったけど、でもニコニコ動画って基本的に楽園みたいな場所だと思ってます。なんて楽しいおもちゃ箱ができたんだ!ってサービス開始の印象は変わってません。「運営の人達ってどうやってお金稼ぐんだろう?」ってずっと心配してました(笑)。本当、失礼な話ですよね。

――ニコニコ動画にプレミアム会員のシステムが導入されたのは、2007年になってからですから初期の頃はそうした疑問を持つ人も多かったのではと思います。

2代目:
 自分に出来る事なんて何も無いですけど。ニコニコ動画に潰れて欲しくなかったから、「レッツゴー!陰陽師」のCDも買ったし!

――おお! ニコニコ動画における最古の動画のCDもご購入いただいていたんですね。ここまでニコランとニコニコ動画の歴史を軽く振り返ってみたわけですが、現在のニコランの視聴者に変化みたいなものは感じますか?

2代目:
 先週どんな動画が流行ってたんだっけ? っていうの知るためにわざわざ見に来ている人が結構いるんですよね。他には「あの頃何が流行ってたっけ?」ってアルバムを見に来るような人。あと、たまにいるのが「1号から追っかけて見始めてます」っていうコメント残す人。

――えぇ!

2代目:
 700号くらいあるのにね。さっき言ったように削除されて消えた動画でもニコラン上では引用という形でワンカットだけ生き残ってたりすることも実はあるんです。だから、「ちょっと昔のこと振り返ってみたい」そんな気持ちの人が見たら楽しい動画になっていると思いますよ。

――あの頃、自分はどんな動画を見てたっけ? という感じでしょうか。ニコランの動画が思い出アルバムになっちゃってるわけですね。あとから見る人にとっては、お祭りのリアルタイムに居合わせなかった寂しさのような気持ちも湧くかもしれませんね。

2代目:
 初期のニコニコ動画はちょうどアングラとメジャーが交差している中間地点みたいな場所だったんです。今ではだいぶメジャー寄りになりましたけども。2006年当時はひろゆきさんを筆頭に2ちゃんねるから来ている人が一杯いたし、丁度ネットの裏側で活動してた人がたくさん集まって才能の無駄遣いをしてるような時代だったんですよね。

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