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ガードレールに頭がつきささる…… 1969年に起きた“ノーヘル二人乗りバイク”による交通事故の悲劇とは

 今回紹介する、ゆっくりするところさんが投稿した『【1969年】ガードレールに頭が突き刺さり…ノーヘルで接触事故を起こした少年 「二輪車ノーヘル衝突事故」【ゆっくり解説】』では、音声読み上げソフトを使用して、1969年に発生した「二輪車ノーヘル衝突事故」を解説していきます。

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ノーヘル、二人乗りで起きてしまった悲惨な交通事故

魔理沙:
 今回紹介するのは「二輪車ノーヘル衝突事故」だ。今回も紹介の一部でショッキングな表現をせざるを得ない部分がある。それに専門的な表現や言い回しなど、必ずしも正しく紹介できているとは限らない。あくまでも事故の大まかな概要を紹介するものであり、すべての事柄を詳細に解説するものではない。あらかじめこれらを理解し、了承できる人のみ視聴を続けてくれ。

 1969年12月31日。大晦日の深夜。茨城県のとある県道。ここは長い直線道路で、周りに大きな建造物などもなく、非常に見通しが良い綺麗な走りやすい道路だった。大晦日のこの日の夜、この県道には一組のグループが中型バイクで走行していた。彼らは17歳から19歳の学生5人組で、自動二輪免許を昨年に取得し、購入したばかりのバイクでツーリングを楽しんでいた。

 彼らはもともと幼馴染で揃って教習所に通い、何をするにもいつも一緒だった。大晦日に集まるのも恒例行事で、今年は全員が免許を持っていることもあり、深夜から翌朝にかけ五浦までツーリングして、初日の出を見に行くことになった。しかし仲間のひとりは、どうしてもこの日までにバイクを納車することができなかったため、仲間のバイクの後ろに乗ってツーリングに参加することになった。

 彼らはこの道路を一列になって走行していた。この付近には特に娯楽施設や商店などがなく、普段の通行量が非常に少ない道だったが、この日は大晦日ということもあり、いつもよりはすれ違う車も多かった。

 順調に五浦までの道を進む彼らだったが、そのうちのひとり「Aさん」のバイクの調子が悪くなってきたため、道の途中に設置されていた自動販売機の辺りで一度停車し、軽くバイクの点検をしつつ、休憩をとることにした。バイクの点検をしてみたものの、特に異常は見られなかった。もともと彼らのバイクは中古で購入した非常に古いものだったので、時々こういうこともあったんだろう。

 この時の休憩は15分ほどだった。その後、道路の直線部分を抜け、トンネルの入り口に差し掛かった。彼らがトンネルに入ろうという時、反対側から乗用車が走ってきた。このトンネルの入り口の道路は、ゆるいカーブになっており、みんな少し左側に寄りつつ、対向車とすれ違った。 だがこの時、二人乗りをしていたBさんのバイクは右側に寄って行き、対向車と接触してしまった。

 このバイクを運転していたBさんと、後ろに乗っていた「Cさん」は、転倒して勢いよくバイクから前方にはじき出された 。Bさんはそのままトンネル入り口付近の脇に設置されていたガードレールのほうに吹き飛んでいった。Bさんはこのガードレールに激突。Cさんはトンネルの入り口のコンクリートに激突して停止した。  

 彼らはグループの一番後ろを走行しており、仲間が彼らの事故に気づくのには少し時間がかかったが、その後現場に戻り、仲間のひとりが近くの民家までバイクを走らせ、警察や救急に通報。ほどなくして救急車が到着し、救助活動を開始した。

 対向車の運転手は打撲などの軽傷を負っているようだったが、大きな外傷などは見られなかった。だがガードレールに激突していたBさんは、見るも無残な姿に変貌してしまっていた。Bさんはおそらく頭からガードレールにぶつかっていたんだが、そのせいでガードレールのフチ部分が耳の辺りから首にかけて深く突き刺さっていた。

 Cさんのほうはトンネル入り口のコンクリートに転がりながら激突しており、頭部、足や肋骨を骨折していた。ふたりはその後病院に搬送されたが、Bさんは出血性のショック、Cさんは脳挫傷などで命を落とした。

霊夢:
 そんな……。ふたりともヘルメットはしてなかったの?

魔理沙:
 実はこのとき、メンバー全員がヘルメットを装着していない状態で走行していたんだ。

霊夢:
 ちゃんとヘルメットしてよー!

魔理沙:
 確かに危険な行為なんだが、この当時はまだ二輪車の一般道でのヘルメット着用は義務化されておらず、罰則もなかったんだ。ヘルメット着用が一般道でも義務化されたのは、1972年の「高速度規制が時速40キロを超える道路での着用」であり、1978年にすべての道路、バイクで義務化されるまで、バイクはノーヘル状態でも取り締まりの対象にはなっていなかったんだ。

霊夢:
 それでみんなノーヘルだったのね。

魔理沙:
 事故後、原因の調査が行われた。しかし当事者であるBさんとCさんが亡くなっているため、原因究明は接触相手である乗用車の運転手の証言、そして現場に残された跡などから推測するしかなかった。ふたりが亡くなってしまった直接的な原因は、ヘルメットをしていなかったこと、そして二人乗りをしていたことだと考えられた。

 当時は一般道での二人乗りは規制されていなかったが、免許取得直後のBさんにとっては危険な行為だった。一人乗りと二人乗りでは、バイクの運動特性が全く変わってくる。簡単に言えば「曲がりにくい」「止まりにくい」「速度感覚が変わる」といったことが起こってくる。

 ちなみに現在では「普通二輪免許」「大型二輪免許」という、いわゆる中型免許、大型免許を取得してから1年が経過していないと二人乗りすることはできない法律になっている。 この事故が発生した現場は、特に急カーブなどといった道路でもなく、非常に緩やかで見通しもいい道路だった。

 おそらくBさんはこの時、夜間でほとんど街灯もないこの道で、自分が思っている以上に速度が出てしまい、対向車側にはみ出してしまっていた。もしくは後ろに乗っていたCさんとの会話に気を取られてしまっていたか、よそ見運転をしてしまったのかなど、様々な原因が推測されたが、はっきりとしたことはわからなかった。

 彼らはいつもグループで走行していたが、当時でいう「暴走族」といったものとは違い、ただ純粋にバイクが好きな少年たちだった。意図的に危険運転や違反行為をしていたわけではなかったんだ。しかしヘルメットを着用せず、まだあまり慣れていない二人乗りによって、ふたりの尊い命が失われてしまった。

 もし、あの時Aさんのバイクが不調にならず、休憩を取らなかったら「この事故も起こっていなかったのではないか」とAさんは考え、自責の念に苛まれていたという話もあるそうだ。客観的に見ればAさんに過失は全くないんだが、あの時一緒にいたAさんとしては、その考えてしまうのも仕方ないことかもしれないな。

 こういったヘルメット未着用で命を落とす事故は、この当時年々増えつつあり、その影響からその後の規制、罰則の強化に繋がっていく。二人乗りのルールなどについても、こういった事故の影響が非常に大きい。

霊夢:
 ルールとか対策って、やっぱりこういう事故がきっかけではじまるものなのね。

魔理沙:
 そうだな。彼らは違反をしていたわけではないが、現在の安全基準から言えば、恐ろしい状態での走行を続けていたことになる。しかし、それもこういった事故がいくつも起こっているから、私たちもそういった危険性をすぐに認識できて、事前に事故を防ぐことができるが、この当時はまだそれができていなかった。

霊夢:
 昔の人たちの犠牲で今の安全があるって痛感するわね……。

 未熟な運転技術、二人乗り、ヘルメットの未着用など、いろいろな要因で起きてしまった痛ましい事故でした。ノーカットの解説は、ぜひ動画を視聴してみてください。


▼動画はこちらから視聴できます▼

【1969年】ガードレールに頭が突き刺さり…ノーヘルで接触事故を起こした少年 「二輪車ノーヘル衝突事故」【ゆっくり解説】

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