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【米大統領選】 若者層「日米関係は悪くなる」シニア層「期待したい」 ニコニコ緊急アンケートで浮き彫りになった世代間ギャップ

ニコニコユーザー約24万人からのアンケート結果の内容は?

堀:
 それではここからは大統領選直後に聞いた約24万人のニコニコユーザーのアンケート結果を見ながら進めていきましょう。まず一つ目の質問がこちらです。

西谷:
 男女別回答比は以下のようになります。

西谷:
 続いて年代別です。低い年代ほど「悪かった」という声が目立っています。

西谷:
 なお、選挙前の10月に行ったアンケートではヒラリーさんに期待する声が多かったことが分かります。

西谷:
 10月の事前アンケートの男女回答比と年代別は以下です。

堀:
 先生、この結果を見てどんなことを思われますか?

岩渕:
 アメリカでは若者がトランプさんを支持した背景があったわけですが、アンケートを見る限り日本の若者(トランプ当選に対して「日本にとって悪かった」と答えた10代以下は年代別トップの45%を記録)はヒラリーさんを支持していたということですよね。近年の若者は安定志向の傾向が強く、先ほどのタクシー運転手ではないですがワクワクを感じたのは年配者といったところでしょうか。また、ヒラリーさんへの期待は、小池都知事など女性リーダーの台頭による影響もあったかもしれません。「ガラスの天井を破るのでは?」という期待値もあったでしょう。

堀:
 切り口としてもいろいろとあるでしょうからね。安全保障という観点で二人を比べるのか、経済政策という観点で二人を比べるのか、議題によって変わる部分もあるはずです。経済政策に関するトランプ評はどうでしょうか?

岩渕:
 不安感が円高を招き、結果、日本の輸出産業が鈍り株価も下がる……ということが懸念されていましたが、ダウの上がり値に反応する形で日経平均株価は“戻す”どころか大統領選前を“上回る”という状況になっている。いくらトランプさんが多少歩み寄る姿勢を見せたとはいえここまでとは。トランプさんは未知数ではあるけれども、強いアメリカを取り戻すと公言しているからこそ、不安が一夜にして期待に変わるというのは面白いですね。

堀:
 では、次のアンケート結果を見てみましょうか。

西谷:
 日米関係に関する質問になります。

西谷:
 男女別、そして年代別はこちらになりますね。先の質問同様に、年代別では10代以下がもっとも「悪くなる」と回答していることが分かります。

若い人の安定志向が結果にも表れている!?

堀:
 日米関係に関して「悪くなる」と答えている方は、およそ半数という結果になった、と。大きなテーマとして安全保障、つまりは日米同盟を考えたときに「悪くなる」と答えた方もいるでしょうし、トランプ氏が掲げる保護貿易によって「悪くなる」と回答した方もいるかもしれません。先生、この結果はどうでしょうか?

岩渕:
 トランプさんと違ってヒラリーさんは「日米同盟を重視する」と発言していましたから、この結果は納得ですよね。ただ、若い人ほど「悪くなる」と答えているのは少し寂しいですねぇ(苦笑)。

堀:
 日本は日本で防衛や運営に対して考えていかなければいけないという声もありますよね。これを機に変えていこうという前向きな意見も少なくない。

岩渕:
 現状維持が崩れることに不安を覚えるよりも、前向きな意見の方がいいですよね。できるだけそういった意見を若い人から聞きたいですね。

堀:
 そして、保護主義に舵を取る大国の姿勢……思い出すのは第一次世界大戦前のアメリカの様子なんですけども、本当にアメリカが保護主義に向かうのだとすればどのような懸念や展望が考えられるでしょうか?

岩渕:
 ステレオタイプ的な保護主義ではなく、いろいろな選択肢を持つ保護主義ということだと思いますので、共和党のベテラン議員の方々に期待したいですね。トランプさんはビジネスマンゆえに利益に対しては敏感なはずですから、聞く耳を持つでしょう。保護主義一辺倒になるような事態にはならないと思っています。強いアメリカを取り戻すことはアメリカ国民の誰もが思っているでしょうから、“取り戻し方”の問題ですよね。

堀:
 反グローバリズムというのは、オバマ政権時代から若者を中心に叫んでいたことですし、TPPに関してもアメリカ主導のように思われていますが、アメリカ国内で反対デモが行われている状況でもあった。“アメリカ型の成長する経済”とはどういった形になるんでしょうね?

岩渕:
 自国産業を増やし、雇用を増やすことがトランプさんが強く推している部分。そのための移民排斥、保護貿易なわけですからね。EUから離脱が決定したイギリスも似たような背景を持つわけで、今やアメリカ固有の問題ではなく世界的な問題になりつつあります。グローバル化が進み人口が各地へ流動することによって、もともとあった国内労働のバランスが崩れてしまった。となると、雇用者を増やすためにパイを大きくしなければいけませんから、アメリカとしては共和党の下、大きくしていくということを標榜していくでしょうね。トランプさんはお父さんから受け継いだ不動産をどんどん大きくしていった実績があるので、今度はそれを国レベルで成し遂げてほしいという期待はあります。

堀:
 オバマさんは、「アメリカの成長のためには市場を拡大していくんだ」という方針だった。ところが、今度は内需を上げる方向に舵を取るわけです。どういう方法が考えられるでしょうか?

岩渕:
 産業に対する支援であるとか、シリコンバレーのような特区を作るとか、医療を筆頭とした世界的に需要のある分野を支援するとか、やりようはあると思います。

堀:
 トランプさんはTPPとNAFTA(アメリカ、カナダ、メキシコによる北米自由貿易協定)については言及していますが、実はアメリカとEUとの貿易協定(大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定)には触れていないので、そこも注目点ですよね。では、次の設問に行きましょうか。

トランプ政権後、日米同盟はどうなる?

西谷:
 在日米軍に紐づく金銭面や核に関する質問です。

西谷:
 男女別、そして年代別は以下のようになっています。年代が低くなるほど「やめるべきだ」という意見が多い傾向になっていますね。

堀:
 これを見る限り“隠れ核武装論者”がそこそこいるのではないかということが見えてきますね。核の話題を避ける人やタブー視している人もいると思います。先生はこの結果をどのように捉えていますでしょうか?

岩渕:
 日本が核武装化する可能性は著しく低いでしょう。あまり核のことについて話したくない、つまりはタブー視しているから「やめるべきだ」という意見につながっているわけではなく、国民の総意として核の悲惨さを知っていますから「やめるべきだ(容認しない)」という意見が多いのだと思います。ですから、「やめるべきだ」という意見が思ったより少ないことにびっくりしています。

堀:
 ユーザーさんの「全額負担と核武装を一緒に聞くのは違うだろ」というご指摘の通り、たしかに分けて聞いた方が、より核に対する「やめるべきだ」という数字が見えてきたかもしれません。

岩渕:
 全額負担に関してはトランプさん自身、あまりよく分かっていないところがある。アメリカファーストを強調するためだけに言っているだけです(苦笑)。トランプ政権の国防の参謀になるだろうと言われているマイケル・フリンさんは、「日米同盟は強固にすべきだ」と言っていますから、全額負担問題に関してはあまり真に受け止めなくてもいいかなと思っています。

堀:
 また核の問題に関してですが、核廃絶は訴えるけど、核の傘からは出たくはないという日本のダブルスタンダードに変化は出てくるでしょうか?

岩渕:
 そういったことを発信していく際に、“国内の立場としてどうあるべきか”という議論をきちんとしていかなければいけません。外交的な取引材料として核廃絶に反対することは、発信する国としては避けるべきだと私は考えますね。

堀:
 難しい問題ではありますよね。では、次の質問は何でしょうか?

西谷:
 TPPに関する質問ですね。

二転三転のTPPの行く末は?

西谷:
 男女別、そして年代別は以下のようになっています。「わからない」という意見が目立ちますね。

堀:
 自由貿易協定=TPPと思っている方も少なからずいますが、関税を取っ払うことや人やモノの行き来をしやすくしましょうという自由貿易協定はTPPだけではありません。これまでにも日本は、各国と経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)を結んできた背景があります。今回のTPPは東南アジアをはじめとした諸国間による自由貿易協定なのですが、そこにアメリカという巨大な思惑を持った国が入ってきたことで問題が大きくなってしまった。先生はこの結果をどう見ますか?

岩渕:
 トランプさんはTPPに反対していますから、日本としては牽制したい思惑は確実にあるでしょう。ヒラリーさんだったら条件付きでTPPに賛同していただろうと言われていましたが、トランプさんになったことで極めて不透明になってしまった。ですからいくら日本が先行してやろうが、まったく意味をなさなくなる可能性が高い。そして、メディア含めてTPPの本質的なことをあまり報道していないことも問題です。農業の問題ばかりが先行して、全体としてどういうメリット、デメリットがあるのかなど、包括的に伝えていく必要があると思います。よくよく考えるとTPPそのものがいまいち分からない……そういう人も「わからない」を選択したように感じます。

堀:
 なるほど~。ちなみに先生は、ピコ太郎のPPAPについてはどう思われますか?

岩渕:
 好きではあるけれど、その理由はよく「わからない」という人が多いような気がします(笑)。リズムネタとしてはいいんじゃないでしょうか。

堀:
 はははっはは! ユーザーさんからの質問に真剣に答えてくださりありがとうございます(笑)。そもそもTPPって当初はアメリカ不在だったのに、いきなりジャイアンのように入ってきて、もろもろ議論や問題が噴出するようになってしまった。日本は別の自由貿易の枠組みがたくさんありまして、例えば東アジア地域包括的経済連携(RCEP)なんかは中国やインドも含めていろいろな経済圏を作っていこうという動きです。もしもアメリカが入ってこなければ、TPPがすんなり決まっていた可能性もあったと思います。

トランプ政権は分断に対してどのように対処していくか

西谷:
 番組の放送時間もあとわずかになってきましたので、ここで岩渕先生に総括をお願いしてもよろしいでしょうか?

堀:
 改めて先生が思うトランプ政権に対する論点なども含めてお願い致します。

岩渕:
 トランプさんが何をやりたいのか、いまだに見えてこない部分がある。そのため不安感はあります。これまでの暴言や過激な発言は大統領になるためのパフォーマンスであって、大統領になった以上は“分断した状況をいかにしてまとめていくのか”が求められている。ですから、マイルドな政策にならざるをえないと思いますね。良い意味で「地位が人を作る」といった大統領にふさわしい人物になっていくことを期待したいです。

堀:
 トランプ政権の「対ロシア」そして「中東政策」はどうなるでしょう?

岩渕:
 対ロシアに関しては関係改善に向かっていくでしょうね。強いアメリカを目指すことは結構ですが、父ブッシュのような形になることだけは避けてほしい。中東情勢が混迷を極めているわけですから、少しでもそういった態度を取ればアメリカ国内でのテロの可能性は高まり、日本も無関係ではなくなります。ですから、日本政府としてもきちんと共和党政権に働きかけるチャンネルを持つことが大事です。そう意味では、すぐに河井補佐官をアメリカに派遣させることを決めた安倍政権の対応は、良かったと思います。

堀:
 最後にもう一点。トランプさんが勝利したことで、アメリカの社会の空気が変わった感があります。ここに関してはいかがでしょうか?

岩渕:
 トランプ支持者の中にも、冷静でクレバーな支持者がいるわけです。過激な思想を持つ支持者に対して、そういったサポーターとトランプ政権が一丸となって分断を広げないメッセージを発信していくことが大切だと思います。

堀:
 ありがとうございます。西谷さんはトランプ政権、どう思います?

西谷:
 今日のお話を聞いてタクシーの運転手さんではないですが、ワクワクではないですが、新しい大統領にも期待してみようかなぁと思えたりしましたね(笑)。

堀:
 いい方向に進むように我々も頭を使って考えていきましょうね。それでは皆さん、本日はありがとうございました。

アメリカ大統領選2016特設サイト
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