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スクショを撮っただけで有罪に!? ――違法DL規制に『魔法先生ネギま!』赤松健と山田太郎議員が提言「パブコメで国民が意識していることが官僚に伝わる」

 漫画などを海賊版と知りながらダウンロードする行為を違法とする著作権法の改正について、文化庁は9月30日~10月30日までパブリックコメント(以下、パブコメ)を実施しています。

 ニコニコでは「漫画家赤松健と山田太郎議員が著作権法改正案”を語る生放送」が放送され、『ラブひな』『UQ HOLDER !』などの作者である漫画家・日本漫画家協会理事の赤松健氏、自民党参議院議員の山田太郎氏、マンガ・アニメ・ゲームの表現の自由を守るための団体・エンターテイメント表現の自由の会(以下、AFEE)編集長の坂井崇俊氏が出演。

 赤松氏が自身の作品がネット上に無断アップロードされている現状を実際のリーチサイトの画面で説明を行い、著作権法改正案の是非や問題点などについて議論を行いました。

左から赤松健氏山田太郎氏坂井崇俊氏

違法ダウンロードを規制する著作権法改正案の拙速さ

スタッフ:
 漫画などを海賊版と知りながらダウンロードする行為を違法とする著作権法の改正について、文化庁は9月30日から10月の30日までパブリックコメントというものを実施しています。

 この番組では漫画家であり日本漫画協会の理事も務めていらっしゃる赤松健さん、そして参議院議員の山田太郎さん、山田太郎さんの公設秘書でエンターテイメント表現の自由の会の編集長でもある坂井さんにご出演いただきまして、このパブリックコメントについて説明をいただきつつも、違法ダウンロードを規制する著作権法改正案の問題点について、お三方に切り込んでいただこうと思います。きょうはよろしくお願いします。

山田:
 きょうは赤松さんと坂井さんが控室からなんとなくバチバチしている感じがしていまして、今まで同志兼友情でやってきたものが、きょう解消してしまうかもしれないと。きょうの構図は赤松さんはやっぱり漫画家で権利者の立場です。徹底的に海賊版をなくさないといけないと。

 できるだけ自民党内、政権与党も含めてどんな議論になっているのか、大事な局面ですから、ぶっちゃけ話をしたいと思っています。

スタッフ:
 まずは前回の法案がどうなったかというところを振り返りからお願いできればと思います。

赤松:
 前回の法案に関してはいったいどこが問題だったんですか。

坂井:
 ふたつあって、いっぱい問題になったのは著作権のダウンロード違法下でスクショが違法になると。Twitterのアニメアイコンなんかが入っていところをスクショすると、スクショはダウンロードということになるので違法になっちゃうと。でもそんなのみんな普通にやってるよね? みたいなそういうところがたぶん……。

赤松:
 著作権的にまずいものがあるものをスクショしたのが問題であって、スクショ自体は別に問題ではない。

坂井:
 そうですね。そこら辺がたぶん一番盛り上がったと。ユーザーとしてはなんでTwitterのアニメアイコンをスクショしちゃいけないの? と、そんなようなところがたぶんスタートだったのかな。

赤松:
 もう一点って何でしたっけ。

坂井:
 リーチサイト【※】ですね。というようなところがはじまりです。

※リーチサイト
インターネット上にある違法コンテンツに利用者を誘導するためのリンクを集めて掲載するサイト。リーチサイト自体は違法コンテンツを掲載していないが、違法コンテンツへの誘導は著作権侵害を助長させる行為であるとして、出版などの業界団体が問題視している。

山田:
 私が経緯を話しましょうか。まず元々2018年当時はサイトブロッキングの話をしていたんですね。海賊版の議論があって、実は海賊版をなんとかしなきゃいけないというのは、もう随分前から議論があったのですが、サイトブロッキングというのはある意味てきめん。止めちゃうわけですから。

 ただサイトブロッキングというのはさすがにやりすぎだろうという議論があって、しかも国がそういう事をやると、サイトをブロックするということは中を見ることになるので、検閲にも繋がるんじゃないかということ、「民間の努力で」というところでNTTさんがやる、やらないのって言っていたんですけど、降りちゃったんですよね。

 ということでサイトブロッキングはなくなりました。結局いろいろな事を議論してきたものの、本当に海賊版をどうするのよ? という議論に戻ってきた時に、ダウンロード側に関しては議論があって、その中でのダウンロード違法化。

 ダウンロード違法化のひとつが、スクリーンショットについても違法性と知りながらダウンロードするのがダメだとか、それとリーチサイトという形でもって、違法性があるコンテンツにリンクを貼っているようなものもダメだろうと。そういうような議論になっていったんですよね。

赤松:
 ブロッキングがポシャったので、すごい急いでやった法案なんですよね。そこがやっぱり間違いの元だったんですよね。

山田:
 私も議員になって、なんでああいうふうになったかというのもだんだんわかってきたんですね。かなり異様な速さで進んでいった。12月までに審議会を終わらせて、途中小委員会も打ち切りみたいな形でもって、なんとなくまとまったか、まとまらないかわからない、ふわっとしたような形でまとめあげるわけです。

 通常12月に閉じた審議会が、すぐ次の1月からはじまる通常国会にのってくるということはなかなかなくて、出すなら次の秋口の臨時国会だろうと。私もまだ議員になっていなかったので高をくくっていたら、一気に法案という形で出てくると。実際その法文法案もここに持ってきたんですけれども、こんなような形で出るということになったわけです。

 これを見たらびっくりという話になった。それは何かというと、相当このダウンロード違法化に関しても文化庁の中でやっている審議会中で異論もあったにもかかわらず、どうもどんどん進めたほうがいいという肯定的な意見に変わっているじゃないかと。  

 もうひとつ、今回で非常に異例だったのは条文法案ベースではあまり議論されずに、さて条文が出てみたらずいぶん違うと。政権与党に対する説明も審議会の内容と違ったんじゃないかと、こんなようにいろいろ議論があって、現場でこんなものが通ってしまえば表現の自由も含めて萎縮しちゃうんじゃないかと大騒ぎになるわけですよね。

 ただ当時はものすごい勢いで進んでいったので、止めようがないくらい進んでいったと。どれぐらいかかったかというと、まず1月25日に小委員会が打ち切りになった。たぶんこの辺りのなんで開いたかっていう経緯は赤松さんのほうが詳しいと思うんですけれども、2月8日に参議院の緊急院内集会開かれます。

 竹宮惠子先生をはじめとして漫画家の先生方や関係者がいて、スクショが違法だということがはじめて語られて、そこに朝日新聞が来たんですよ。朝日新聞が「スクショも違法になる」と書いたのが割とセンセーションで特にネットで炎上していくという結果になっていきました。

 そういう状況ではあったもの、政治としてはものすごい勢いで議論が進んでいくわけですね。次の2月22日なんですけれども、自民党の文科部会と知的財産調査会で、合同部会でもって了承ということになりました。これもすさまじい速さで進んでいって、すぐ明けの27日に日本漫画家協会もギリギリのとこで反対声明を出しました。

 丁寧に説明しておくと、どうやって法律法案ができていくのかということなんですけれど、ひとつは関係担当省庁、今回は文化庁の著作権科が法律を起案する。

 ただその法律を作るにあたって、文化庁の審議会というところで大学の先生だったり、権利者団体でいろいろな人が来て審議をして、そこでまとめあげたものを著作権課が整えて内閣法制局というところと、法文の打ち合わせをしてつめて、それを自民党の部会というところに持っていきます。

 この部会を通ると、総務会という自民党の最終意思決定機関に持っていってそこで通ると、今度は内閣のほうに渡されて閣議決定を経ていわゆる閣法という形で内閣提出という形でもって、衆議院と参議院にかけられて、今度は野党も含めて議論されて衆参で通ると法律になると。

 実は果てしなく長い道のりを通るのですが、ものすごい勢いで自民党の審査を通過していくんですね。この27日というのは、どれぐらいギリギリで反対声明を出し、かつその参議院の院内集会とはどういうタイミングだったかというと、3月1日の総務会で止まったんですよね。

 これは報道でもいろいろ出ていますし、MANGA議連の古屋圭司先生が総務会で「これはおかしい。権利者の意見はちゃんと聞いたのか?」と。

赤松:
 漫画家のためにやっているのに、聞きに来なかったんですよ(笑)。

山田:
 わけがわからないというか……。

赤松:
 パブコメで「聞きに来なさいよ、絶対まずいことになるよ」って言っていて、文化庁も目を通していたんだけれども。来なかったですね。

山田:
 それでそのあとがまた大変だったんですね。総務会で止めたというのもかなり罪深くて、部会だったら中身の審議なんですが、総務会だったらもう大体ほぼシャンシャン。総務会で止まったケースは自民党の中でも年間1件あるかないかなんです。

 実はいろいろなところに総理に対しても話がいっていまして、安倍総理から古屋圭司先生に6日の夜に電話があったんですね。

 「どういうことなんだ」ということで、古屋さんの方が総理に電話をかけたというふうに言っているですけれど、どうもいろいろ話を聞くと総理から古屋さんに電話がかかってきたみたいですね。その時に古屋さんが説明されたということのようです。

 7日に産経新聞さんが「ダウンロード部分については削除が総理の鶴の一声で決まった」と書いたのですが、私のあとからの調査でわかりましたが、決まっていません。6日の夜は、「付帯決議でもって作って萎縮に繋がらないように……」的な感じで原文はそのまま通すと。でも考えてみればおかしな話で、付帯というのは普通野党がつけるんですよ。

 法案に問題があって付帯を最初からつけて出すような法律は本来ないんですが、ここまで出来上がっちゃっていると、この通常国会に通過が間に合わなくなるという懸案もあった。というのは、次の次の週までの総務会に出さないと、閣法としても通常国会が間に合わないということで、相当急いでいた。

 どうもいろいろな人の話を聞いていると、著作権課と内閣の法制局との間の法律のつめもあまりうまくいってなかったようで、条文で相当荒れていたらしいです。それがいろいろ情報が出てこなかったとか、最終的に急いだことに繋がったんじゃないかと。

坂井:
 審議会が事前に「あれだったらOKだよ」と言っていたのが条文になったら、その審議会に出ていた人が「こんなの聞いてないよ」っていうのが多発したというような状況ですね。

山田:
 8日の総務会にもかかるかというふうに思われていた。総務会というのは多いときは週に2回やって、最低週に1回やるんですけども、かかるかというところに対しては見送りだったんですが、実は私は2ルートから官邸に連絡をしました。「ちょっとこれはまずい」と。

 「これじゃ、選挙も負けると思う」と。「こんなんで自民党にいって、とてもじゃないけど……」と。これ実は、ぶっちゃけてしまえば知財のほうのトップでかなりこれを推薦されていたのが、実は甘利明先生で。

 甘利先生自身は選対の委員長もやられていたということで、ある意味反旗を翻してしまった私は、正直言って本当に公認打ち切りでも構わないと。本当に腹をくくりました。そういうことも含めて、12日の午前中で官邸内で議論があったそうです。

 僕は何を官邸に伝えたかというと選挙のことと、もうひとつは今話題になっている森ゆうこさんが、実はその前の参議院の予算委員会でこれを取り上げたんですね。ということがあって、「野党は手ぐすねを引いてこの問題に関して議論をして選挙の争点にもなるぞ」というようなことまで、私は正直に言いました。

 ということで、総理含めて官邸筋は「そんなのは知らなかった」ということで、このままでは整わないだろうということでいろいろあったんですね。こんな状態では……ということで、12日に西村副官房長官のほうに指示があったようで、今回の通常国会では通さないということで差し戻し。

 事前に自民党のほうにも伝わって、もう一度文化庁まで差し戻しと。一応12日の朝の官房長官の「今期中に法案にしたい」という記者会見があったんです。これは菅官房長官のほうには伝わっていなかったみたいで、そのまま流しちゃったのでちょっと事実関係がちぐはぐしたんですが、背景ではそこはもう話ができていたようです。

 13日の朝に指示があって、15日の総務会が最終日だったのですが、そこにかからなかったということで飛んだと。これが裏話ですね。

赤松:
 漫画協会の代表としていろいろな自民党の朝のスピーチとかでいろいろ演説して「権利者がいらないと言っているのになんで通すんだ」みたいなことを言ったんですけれど、やっぱりちょっと政治判断だなというようなことがあって……。これが通ると思っていました。

山田:
 そう。7日の夜は私もちょっとこれは敗北ではないかと。思っていました。私も実は自分の番組でもトーンが下がったんです(笑)。最後、やるしかないということでかなり私も無茶をしました。

赤松:
 無茶しましたね。ずいぶんいろいろな人を怒らせちゃいましたけれどね(笑)。

山田:
 1回来て戻してもう1回来ましたからね。2回目はさすがにね……ということで、その前後にも知財本部長の先生に会っていた雰囲気は、相当厳しいものがあったんじゃないかと。

坂井:
 あのときは毎日あっち行ったりこっちに行ったりで、どうなるか本当にわからなくて。何が正しいのかもまったくわからないという状況でしたよね。

山田:
 自民党もちゃんと部会のレベルでいろいろな議員が来ているんですから、しっかり止めるべき。一応、形式上は多数決ですけれども実質は全員一致というのが自民党の部会の大原則です。反対をするとどうなるかっていうと、ひな壇というのですが、部会の部会長と副部会長、役員がその人のところに来て説得してみたりとか、もう何回か部会を開きます。

赤松:
 私が指摘した部会の時はすごい反対して、私がちょっと頼んだ議員さんたちも反対してくれたんですけれど、最後はなんか部会長預かりで……。だから、えぇ⁉ みたいな(笑)。

 これからはそれまで現場にいた自民党の議員の先生たちがなんとかしてくれるということですよね(笑)。

山田:
 これを反省して、やっぱり党内でもしっかり議論しておかないとと思って、今回の関係の役者は、ひとつは知財本部長が林芳正先生なので、実は林芳正さんとも私、直に1、2時間お話しさせていただいて、なんと税制調査会のトップの甘利先生とも……。

 やはり甘利先生は前の知財の件で、本件に関して非常に力を持ってらっしゃいますので。

赤松:
 怒ってました?

山田:
 「いや~、参っちゃったよ。漫画家協会と話をしていないって、びっくりしたよ!」 というふうに言われました。

坂井:
 甘利さんからしたら、それはさすがにやっておいてくれよって。まさか一番の賛成者から反対声明を出されちゃうなんてっていう。まさにそういうことですよね。

山田:
 甘利先生からも林先生からも、「きちっと今回は整えて、山田さんもいろいろかかわってきた責任というのがあるから、ちゃんとやってね」というふうにご指示をいただいたので、一生懸命権利者の立場を守って海賊版をなんとかしなきゃないけれども、一方で萎縮に繋がってはいけないというところでどうバランスをとるかと日々双方に挟まれ、たぶんどんな結果であろうとも双方からは批判されるのは覚悟を決めなきゃいけないと。

 ただ今回は関係者が前回のようにまったく聞いてないとか、まともな議論ができないということは絶対にやめたいのです。

 ある人たちは「絶対普通だ」と言うし、ある人たちは「とんでもない」ということで党内抗争を繰り返していても仕方がないので、そこのあたりは私が伝書鳩というか、回ってやらせていただいてるという立場でいます。

赤松:
 前回よりかはずいぶん議員さんのほうも説明ができているし、権利者たちに対してもいろいろなヒアリングも行っていて、ずいぶん違った感じにはなっていますね。

坂井:
 著作権課もずいぶん丸くなってというか、丸くさせられちゃってというんですかね。当初みたいな何をしてでも案を通すんだみたいな、今年の春は結構強引なところがあったじゃないですか。そういう感じではなくて、「みなさんがいいと言ったものを法律にします」みたいなそんなしおらしい感じに見えますけれどね。

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