「政治に足りないのは緊張感」――れいわ新選組・山本太郎氏 ニコニコ単独インタビュー全文書き起こし
奨学金はチャラにしよう
鈴木:
消費税以外に、政策の柱で何か訴えたいことはありますか?
山本:
一番わかりやすいところで言えば奨学金です。奨学金は国がやってるサラ金じゃないかと。
このシステムがなぜ維持されてるかと言ったら、金融商品にされているからです。学びたい人たちの年間350億円の利息での利益が上がって、それが金融機関に入ることをあきらめたくないのが一番大きいんじゃないかと思ったんです。さらに延滞金等に関して、回収するような企業に対する部分ですよね。いろんなものが絡まりあって金融商品として、学びたい人たちが苦しまさせられることになっています。これをチャラにしようという話ですよ。
この国では少子化が加速している最中ですよね。2017年に少子化という国難で衆議院を解散したんですよ。少子化をどう克服するか。出生率が上がっている、よその国を見ると、まずは教育に対して本人と家族に負担をかけない。それに、公的な住宅、低価格の家賃で住める家を確保する。
そして、収入が少ないものに対してしっかりとお金を増やしてあげる。つまり、給付するということですね。この三つが絶対欠かせないもののはずなのに、未だ何もなされていない。こう考えた時に、やっぱりこの国を持続可能な形にしていくためには、まずこの少子化ってところと向き合う必要がある。
その中の一つの施策として、今、奨学金を返済している555万人を、一気にチャラにしようじゃないかと。これ財源でいうと9兆円ぐらいですね。
鈴木:
でも、実現可能性がどうだって、必ず批判されるじゃないですか。それはどう思いますか?
山本:
楽勝で実現できるんじゃないの? と思います。確かに9兆円は規模が大きすぎてわかりにくいかもしれませんが、例えばこれを日銀に例えたら、ETF【※】で買い入れをしていますよね。あれが年間で6兆円ぐらいです。
※ETF
Exchange Traded Fund.上場投資信託。日経平均株価や東証株価指数、NYダウ等の指数に連動するように運用されている投資信託の一種。
そのぐらいの施策を日銀がやっているのだから、政府だって555万人の首が絞まってるものを外して、その返済に充てるお金を経済活動に回してもらった方が日本の景気回復には寄与しますよね。
財源をどうするのか考えた時に、二つ考えられますね。一つの財源は税。もう一つの財源は新規国債発行。税で言うと、法人税の累進性導入や所得税の累進性強化、最高税率を上げるとかね。あと金融資産とか。
結局、景気が過熱した時、儲かってる時は負担が多くなるけれども、逆に景気が過熱してない、雲行き怪しい時に売り上げが下がれば当然税金のパーセンテージが低くなる、これが一番合理的ではないかな、ということですね。こういう景気安定装置を入れれば、新規国債の発行のインフレをちゃんと制御できるんじゃないか、という考え方ですね。
立憲民主党と支持層が被るのでは?
鈴木:
ニコニコユーザーからの質問なのですが、「れいわ新選組は旗揚げ当初から話題になっていて、立候補予定者も個性的なのですが、同じく個性的な予定候補者を立てている立憲民主党と支持層が被ってしまうんじゃないですか?」と。「そうなると、票を取り合うようなことになってしまうのではないでしょうか?」というご意見をいただきました。
山本:
私はどちらかというと、与野党の元々持っているパイを削りに行こうという気はさらさらないんです。そんなセコイことをしようと思っていません。やろうと思っているのは今、政治に関心を持ってない人たちの浮動票に対して語りかけていきたいと思ってます。それが一番大きいところです。
鈴木:
2000万票くらいですかね。結局は選挙に行ってもしょうがないと言っている層を掘り起こしに行く、ということですよね。
山本:
そこでやっぱり説得しますよね。例えば自分が旗揚げしたいんだってことを小沢さんにお話ししたりとか、同じ会派だった国民民主の方々とお話する時にも「もう今の既存の政党では、無党派であったり、無関心層に対しての掘り起こしは難しいだろう」と。
でも「私は出来ると思います」と。それをやらせてくださいということです。
鈴木:
もうひとつの質問ですが、「山本さんは選挙区と比例区、どちらから出るのか?」という質問です。
山本:
比例区から出ます。東京選挙区から出て自分の一議席を確実なものにするのは戦略の基本だと思いますが、選挙区で出た場合にはまだ全く浸透していない「れいわ新選組」という名前でもう一議席、もしくはプラス政党要件というのはハードルが高いと思うんです。
なので、れいわ新選組ではなく山本太郎という名前で全国で戦った方が、拡大できるチャンスがあると思いました。
鈴木:
山本さんは東京選挙区に出たら、少なくとも50~60万票を取り、山本さんに入れた人は当然、比例にも入れる。なので、山本さんが全国を回るよりも、東京でがっちり票を取って、それが同時に比例票にもなった方が、計算としては票が上がっていくんじゃないかと、僕は読んでいたんです。
つまり、一番いいのは山本さんが全国を巡って風を起こすことだけど、僕みたいに永田町に染まっている人間はそう考えちゃうわけです。あなたはまた予想を裏切りましたね(笑)。
山本:
すみません(笑)。
今の政治に足りないのは、お金と愛と緊張感
鈴木:
今の政治の閉塞感はすごいじゃないですか。前に進まなかったり、嘘が通用したり。それがあって「政治はまあいいか」と思われていたり。そんな感じで与野党が同居していて。それを打開するには本当に新しい風が必要で、その発想が出てくるのが大事なんですよね。
閉塞感漂う今の政治の問題点は何なのか、そして自分はどうしていきたいのかっていうのをお聞きしたいです。
山本:
今の政治に足りないものは「緊張感」だと思うんですね。野党側がもっとガチンコで喧嘩するという姿勢を見せれば、与党側だってやりたいことを全部やるってスタイルにはできないわけですよ。ただ、数の力として野党側が圧倒的に弱い部分、ルールに則ってってことになってると、なかなか力を発揮できない。では何で力を発揮するかというと、体を張るしかないんですよ。問題をより大きくしていくということです。
例えば入管法です。あんな最悪な法律。これはもう世論も「これはまずいじゃないか」という意見になっているわけだから、逆に言ったらこれは国会を不正常化して、1ヶ月でも2ヶ月でも体を張り続けて、日本津々浦々までテレビが毎日取り上げなきゃならない。
「今日も国会は不正常化です。なぜならば入管法というものがあって、この内容に賛成している人の意見はこう、反対している人の意見はこう」というような、マスコミが流さなきゃならないソフトをこちらで準備する必要があると思うんです。それが残念ながら今回は1日も延長することなく通っちゃったと。
だからも与党側は野党側に対して何も怖くないんですよ。こんな状態になっちゃったら、これまでもされてきた通り、もうむちゃくちゃされちゃいますから。だから国会の中に緊張感を生むためには、与党側の広さと野党側の本当の意味でのだらしなさって言ったら言い過ぎですけれども、攻めきれていない部分というものを、やっぱり電波に乗せる必要がある。
視聴率1%のテレビで100万人の視聴者がいますから。「何々党の支援者の方々、しっかりとお尻を叩いてください。国会の裏でこんなことやってますよ」みたいなことをテレビで言ったら最高に面白くないですか(笑)?
鈴木:
(笑)
山本:
本当にその緊張感を生むような永田町の与野党から嫌われている勢力が一定数できていくことは非常に大きい意味があると思います。これによって政治がより面白くなる。面白くなることによって注目がより集まって、政治に興味を持って「変えていかないとな」という思いが出来ていくと思うんですよね。
人々を慮る気持ち、愛ですよね。あと人々に大胆に投資をするお金。お金と愛と緊張感がないのが今の政治だと思ってます。永田町の国会議員を、自分たちが分かりやすい形でコントロールできますよ、ということを、私は実現したいと思っています。あなたのアイコンが国会の中で自由に動き回るようになり、その勢力を大きくしませんか、ということです。
▼記事の元になった生放送は
コチラから視聴できます▼