ファンタジーでおなじみの剣『エクスカリバー』は『アーサー王伝説』を翻訳した宮廷詩人の誤訳がきっかけで生まれた!?
『カリブルヌス』→『エスカリバーン』
パチュリー:
まず先程の『カリブルヌス』は英語に訳されて『カリバーン』に名前を変えるわ。
パチュリー:
更にアーサー王伝説はフランスに渡るわ。そこでも様々なエピソードが後付されていくのだけど、フランスの宮廷詩人クレティアン・ド・トロワが『カリブヌルス』の事を『エスカリブール』と記しているわ。レミリア:
もう何がなんだか。ってエス?フランドール:
あれ、そんなの今までどこにもなかったよね?
パチュリー:
そう、ここで今まで登場しなかった”ES”がなぜか付属されたの。理由は英語における“And”的な役割を持つフランス語で”ET”というのがあるんだけどこの”ET”を”ES”と書き間違え、それをカリブルヌスのフランス語表記『カリブール』と繋げて書いてしまった為ではないかと言われているわ。でも”ES”の由来に関してはっきりしたことはわかっていないの。
なんとイギリスのアーサー王伝説のエクスカリバーに一番近い言葉が生まれるのはお隣、フランスの翻訳事情が関係していたようです。「誤字のせいかもしれないとかたまげたなぁ」「伝言ゲームの弊害やな」といったコメントが寄せられました。
■ついに『エクスカリバー』の誕生へ!
パチュリー:
経緯はわからなかいけど、このときについた”ES”がまた英語に訳されたとき、新たな問題が起こったの。英語にはESに相当する言葉がなかったのよ。だから近しい単語に変換されたのだけど、そのときに選ばれたのがEXよ。ESがEXに変換された結果、『エクスカリボー』と呼ばれるに至るわ。
パチュリー:
そしてサー・トーマス・ロマリーが記した『アーサー王の死』という書籍の中では高らかに『エクスカリバー』と呼ばれるにいたり、それが定着したのね。簡単にまとめると、最初は違う名前だったのだけど、伝言ゲームを繰り返すうちにいつの間にかエクスカリバーと呼ばれるようになった、という感じね。レミリア:
途中よくわからなかったけど、伝言ゲームと言われてなんとなく分かったわ。
ようやく現代の私達になじみのある『エクスカリバー』という言葉にたどり着きました。「最終的に一番かっこよくなって良かった」「熱い中世ロマンス文学の系譜」と歴史ロマンに思いを馳せるコメントが寄せられました。
■エクスカリバーは2本ある。石に刺さった剣、泉の精から授かった剣、どちらが正しいの?
パチュリー:
もう一つ混乱するような事を言ってもいいかしら エクスカリバーは2本あるわ。先程出てきた、アーサー王の死という本があるじゃない? この本はアーサー王の出自から王に至るまで、そして配下の騎士団の話、そして最後の戦いまでをまとめた、アーサー文学の集大成とも言える作品よ。ただ、マロリーが執筆を開始したのは1450年代。既に多くのアーサー文学が誕生していたわ。それはつまりそれだけ多くのエピソードが創作されていたという事よ。実はエクスカリバーに関して、石に刺さった剣というエピソードの他に、もう一つ有名なエピソードがあるの。それはアーサーが王になった後に泉の精から授かったというものよ。
パチュリー:
マロリーはアーサー王の死の中で、これら2つのエピソードを採用しどちらもエクスカリバーとして扱ってしまったわ。その結果エクスカリバー2本という矛盾が生じたの。この矛盾を解消するために更にエピソードが創作されていくわ。例えば石に刺さった剣は『カリブルヌス』。これが戦いの中で折れるなどしたため、折れた『カリブルヌス』を泉の精が鍛え直したのが『エクスカリバー』とかね。
パチュリー:
幸か不幸か、エクスカリバーは頭に”EX”とついているからね。鍛え上げたなんてエピソードはエクストラを意味する”EX”とは相性が良かった。結果そのまま定着してしまったということね。レミリア:
結局何が本当なんだろう?パチュリー:
ちなみにエクスカリバーは剣よりも鞘の方が協力だと言われているわ。この鞘を身に着けている限りは絶対に傷を負うことはないの。アーサー王が亡くなった原因も、この鞘を無くしてしまったためと言われているわ。
上記の出来事について「一本がFateで言うカリバーンで金床にささった選定の剣、もう一本がカリバーンが折れた後にマーリンに相談し湖の妖精より貸し与えられた剣だったっけ?」と補足するコメントが寄せられていました。
アーサー王伝説に登場する『エクスカリバー』についての解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。
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