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コミケや二次創作ができなくなる!? 「著作権の非親告罪化」という大問題【山田太郎と考える「表現規制問題」第1回】

規制が緩いから表現の自由がある。それは日本の強みである

赤松:
 う~ん、実力の差で言えば、日本の方が上なんですよね。日本の方が表現規制が緩いので、作品力は上になる。ただ、ツールで言えば同じものを使っているので、絵柄に関しては完全に追いつかれました。

山田:
 そうなんですか!?

赤松:
 もし韓国に規制がなかったら負けてるかもしれないっていうくらいで(苦笑)。ゲームはどうなんだろう?

山田:
 韓国はゲーム規制もすごいです。別の機会に韓国のゲーム規制もやりたいのですが、児童ポルノ法によって様々な規制がかかってしまった。例えば、タバコのシーンはダメとか、映画で刃物があったら刃物にモザイクがかかっているとか。

赤松:
 え? ジョジョの承太郎がタバコを吸えなくなるのか……(笑)。

山田:
 どんどん規制されるとそういうことになりますね。中国などはいかがですか?

赤松:
 中国は絵柄が素晴らしくなっていますね。pixivを見ると、シンガポールでも韓国でも台湾でも中国でも、イラストがうまい人はうまいです。ただ、表現規制が厳しいところからは素晴らしい作品は出ないと思いますね。やっぱり日本は何だかんだで緩いから、良い作品が生まれやすい。

山田:
 一方で自主規制の問題がある。次回は自主規制について放送をお送りするのでここでは避けますが、法律とは別に自主規制が相当厳しくなっている。昔はニコニコもペットボトルの水のラベルをはがさなかったのに、今は自主規制ではがしているくらいです(笑)。

赤松:
 自主規制に関しては、例えば『進撃の巨人』の諌山君はいろいろなところからカニバリズムとか言われてネームが通らなかった。でも、通しきった結果、大ヒットになったわけですよね? 他の国だったら無理でしょうから、やっぱり日本は創作をするにはいいですよね。第2回のネタもすごく興味ありますのでまた来ます(笑)。

一同:
 (笑)

智恵莉:
 もうレギュラーで(笑)。

赤松:
 第3回の児ポ法改正案に関しても興味がある(笑)。

山田:
 『風と木の詩』も取り扱う予定ですから、京都の精華大まで行って大先生に取材してこようかなと思います。

赤松:
 (竹宮惠子先生は)漫画協会の前理事ですからね。

山田:
 もし良ければちょっとお力添えを……。

赤松:
 えぇ~、無理だと思います(笑)!

山田:
 おっかないの?

赤松:
 いや! 優しいですよ。当時の方々は手塚先生にしろ、みんな苦労していますからね。馳先生のところに行ったときに、「マガジンで描いてます」って言ったら、馳先生が『俺はマガジンを読んでプロレスラーになろうと思ったんだよ!』って(笑)。いくらなんでもリップサービスすぎるだろって! 今はそこまで言ってくれるような議員さんばっかりだから、当時の状況とはまったく違うでしょうね。

山田:
 なるほどね。やっぱり竹宮先生が描かれていた当時の攻防ってすごいものがあったと思うので取材したいですね~。

赤松:
 (笑)

著作権の侵害にあたらない「フェアユース」とは何か!?

山田:
 歴史をさかのぼりたいなと思っていますので、ユーザーの皆さんもご期待ください。そして最後にもう一つ「フェアユース」に関して紹介しておきましょう。

赤松:
 これは問題ですよ~。

智恵莉:
 まず山田先生、フェアユースとは何なのでしょうか?

山田:
 著作権問題において、どんどんどんどんコピーされていくと本当の原作者が保護されません。そのためオリジナルが滅ばないように、一定の法制度や仕組みの整備が必要になります。そのときに、何を真似たら大丈夫で何を真似てはいけないのか……つまりは「元を使っていいの?」ということに対するガイドラインは作るべきだだろうと。特にアメリカは、この著作権法などに関して“フェアユース”、まさに公正な利用という訳がついていますが、4つの判断基準を元に公正な利用をするための整備がなされています。

智恵莉:
 はい。

山田:
 アメリカ、韓国、そして日本はどうなっていくのか? そこでフェアユースについての比較や違いについて説明しておきたいと思います。米国は著作権侵害は、刑事事件ではなくて民事事件で議論しようという方向性です。あくまで著作権というのは、権利を持っている人たち同士の争いだろう、と。公的な機関が介入する前に、民事は民事で片付けてくださいというわけですね。とは言え、著作権侵害は泥棒の一種でもありますから警察も介入してきます。ただし、まずは民事として争って勝ち取るのが前提……これがいわゆるアメリカ型であり、逆に言えば非親告罪化してもあまり影響がないとよく言われている部分です。

赤松:
 ふむふむ。

山田:
 次に韓国ですが、これはちょっと問題です。民事訴訟を有利に進めるために、刑事訴訟を起こす……先述したコピーライト・トロール(著作権トロール)と言われる問題に発展する形になっています。では日本はどうなのか? というと、日本はフェアユースに関する議論が始まったばかりなんですね。フェアユースを作りたいということは、政権与党の中でも議論されているものの、なかなかたどり着けていない。

赤松:
 自民党の議論では、スタートアップや起業をしやすいように少し緩めたいという思惑があるみたいですね。同じようなことをしていたのに、Googleに全部やられちゃったりした過去がある。YAHOO!もYouTubeみたいなことをやっていたけど、結局全部さらっていかれた。日本が真面目すぎるところもあると思いますねぇ。

山田:
 フェアユースは法律を議論している人たちからすると、「やるべきだ」という声が多い。しかし、フェアユースの前提というのは、訴訟して勝ち取るということです。訴訟して事例を積み上げていきましょうということだから、訴訟大国・アメリカには敵わない。日本はどちらかというと訴えられた時点でクロのイメージがついてしまうことも大きい。警察沙汰なんて言われるように、マイナスのイメージがあるわけです。訴訟をして積み上げていくということが苦手な国……フェアユースがあるからと、どんどん訴訟して決めていってくださいと言われたところで、アメリカとやり合ったら全部取られてしまう可能性だってある。

赤松:
 自民党の中では、「フェアユースを進めていこう」という機運が盛り上がっていますが、無理なんじゃないかなぁと思います。もし導入が決まれば出版社などは、全てやられてしまうと思いいますね。

実力不足感が否めない日本のフェアユース議論

山田:
 この議論はきちんと進めていかなければいけないと思いますよ。というのも、知財に関する研究者はフェアユースの話が大好きなんです(苦笑)。

赤松:
 あ~、はい。

山田:
 私は国会議員として著作権など知財に関わる案件を扱ってきたので、他の議員さんから今でも「山田さんはフェアユースに関してどう思いますか?」と聞かれるんですね。今、フェアユースを導入して日本が救われるのか? 日本の権利がアメリカなどに対して守っていけるのか? と問われれば、“実力不足”ということを考慮しないと危険です。単なる条文上の議論だけではマズいですよ、とお話しています。

赤松:
 怖いですよね。

山田:
 私は経営者でもあるので、どうしても事実から考える価値観があるので慎重なのですが、法学者とか学者など知財関係に明るいところに行くと、「早くフェアユースを作ろう」という話が出てきます。フェアユースの背景は商売ですから、商売の事実を見たときに本当にフェアユースの即時導入が必要なのか考え直さないといけないと思いますね。

赤松:
 さきほどのコミケと一緒で、日本人って白黒はっきりさせず、グレーな部分でやるのが好きなんですよ(笑)。

山田:
 そうそう。お互い譲り合って、“損して得を取れ”という商慣習がありますよね。フェアユースを導入することによって、一気に使えなくなる事態になるかもしれない。それってどうなの? と。フェアユースの議論に関しては、リアリストがしっかりと参加していくことが望ましいでしょうね。

グローバル化が進む中で知財をどう扱っていくか?

山田:
 アメリカのケースで言えば、フェアユースの公的な利用としては、営利・非営利に分け、かつ価値基準も設けて、範囲も広くなく影響の出ないものがいいのではないか……となっています。こういったことを日本で導入するとなると同様に細かく決めていく必要が出てくるわけです。そして、具体的にどの項目だとアメリカに対して有利に働くのか、どの企業にとって有利になるのかなどを作っていくといろいろと問題が出てくることになる。とは言え、フェアユースがない日本国内で、今後グローバルな知財をどう扱っていくべきか? ということは避けては通れない議題でもある。 

赤松:
 たしかに。

山田:
 先日、別件で特許庁長官に会う機会があったのですが、データに関する保護というものを考えたときに、知財の強化についてはもう少し本腰を入れていくべきだ、という議論をしてきました。日本が鎖国をしているなら別ですが、日本式だけで押し切ろうとすると、日本にはデータが「来ない」「使えない」という事態になりかねないため、どこかでグローバルな妥協が求められることになる。

赤松:
 私は権利者側なのでフェアユースに関しては不安視している一人です。ただ、それ以前にネットユーザーとして、SONYがCDからリッピングをしたものに暗号をかけて持ち出せないようにするソフトを作っていたものの、iTunesはリッピングしたらどこでもmp3でばらまけちゃう……こんなのは絶対にNGだ! とか思っていたら、iTunesが勝ってしまった(苦笑)。日本はCCCD(コピーコントロールCD)のようにしてしまう傾向があって、それにも関わらず負けてきたというのは情けないというか、真面目すぎると思うんですよね。そういった部分の妥協点に関しても、上手く探れないのかなぁと。

山田:
 立法府の議員の中で、知財関係の議論ができる人って少ない。経験がないからなのか、現実的かつ商売の中の法律の役割というものをあまり認識していない。どちらかというとイデオロギー的な人が多い(苦笑)。それは悪いことではないけれど、一部の人だけでいいんですよね。グローバルな中で、日本が接してきた上で困惑してきた立法措置を行っていかなければいけない。もっと現実的な目線を持って対応していかないと、ただのイデオロギーごっこにしかならないですよ。まともな立法措置を進められるように誘導していく必要があると、私自身強く思っています。

次回は、見えない敵「自主規制」について

※放送順序が変更となり、自主規制の問題は最終回に取り上げる予定

智恵莉:
 最後は、表現規制問題だけでなく広いところでまとめていただいたのですが、第一回目は主に「著作権の非親告罪化」についてお話をしていきました。

山田:
 コミケが危篤だった日に何が起こっていたのか!? その裏側を含めてお送りさせていただいたのですが、次回は「表現規制」、とりわけ本丸は自主規制なのではないか……その点に触れていこうと思います。

赤松:
 自主規制に関しては、どのジャンルについてを取り扱う予定なんですか? マンガ、アニメ、いろいろあると思うのですが。何でも?

山田:
 できる限りの範囲はやりたいですね。アニメの中ではエロ、グロ、暴力表現に関して。幅広いジャンルを扱うので、フォーカスをあてる部分をこれから詰めていこうと思うのですが、政府も含めて「あとは自主規制でよろしく」という現状がある。

赤松:
 そうですよね。

山田:
 立法だと反対することで戦えるのですが、自主規制は誰が味方で誰が敵なのか分からない状態です。そのあたりの実像とどう対応していくべきなのか? ということについて考えていきたいと思います。

山田:
 そして第三回目は「外圧」について。

赤松:
 う~む、先ほど言ったように議員さんたちの中に理解ある人は増えたのですが、外圧はまったく別物。まだまだ厳しい現実がありますね(苦笑)。

山田:
 特に、2020年に東京オリンピックを控えているので、エロ・グロ・暴力マンガアニメゲーム産出国と言われたくないようですよ。

赤松:
 あ~、なるほどね。

山田:
 そして4回目は、諸外国を含め日本でも「通信の秘密を守ることができるのか?」ということについて。通信の秘密が守れなくなると、表現がしにくくなってしまう。そういった表現の自由を守るための諸問題に関する放送を予定しています。

 最後の5回目は、「表現規制の歴史」について。ここではどういった未来が考えられるかについても触れていこうと思っています。ちなみに赤松先生は、表現系の活動ってさかのぼると何からスタートしたんですか?

赤松:
 私は著作隣接権からですね。著作隣接権って、作者対出版社の戦いなので、私一人では怖かったので、一緒に連れてきた森川ジョージと井上雄彦を私の後ろに座らせておいて、圧を与えながら出版社と闘った過去がありますね。効果てき面で、出版社の人が「その通りです!」とものすごく話を聞いてくれましたね。

智恵莉:
 (笑)
 1時間半に亘ってお送りしてきました『山田太郎と考える「表現規制問題」第1回』でしたが、そろそろお開きのお時間となりました。

山田:
 この番組は記録に残る番組にしたいという強い想いがあります。というのも、これまでの表現系の活動って、あまり記録に残っていないんですね。「何があったのか?」ということが分からない。僕も先輩議員の方から引き継いで始めたものの、“当時何がが議論されていて”“何があったのか”、不透明なんです。ですから、しっかり議論して記録することが大事だと思っていますので、2回目以降も皆さん、よろしくお願い致します。本日はありがとうございました。

赤松:
 こちらこそありがとうございました。

智恵莉:
 ありがとうございました。

※追記:「第2回 表現規制の本丸は自主規制」は第5回で取り上げる予定です。

次回の放送はこちら

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