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ロシア目線で見る「露・中関係」とは──ロシア国営放送製作の『ロシアと中国:ユーラシアの中心』から読み取る極東情勢

ドワンゴ・エグゼクティブ・プロデューサー 吉川圭三

 違う視点から国際問題を見る。ドキュメンタリーを我々(ニコニコ)が始めた当初からやりたかった事だ。

『ロシアと中国:ユーラシアの中心』より引用
ロシアと中国:ユーラシアの中心』より引用

 10月7日(金)に配信を予定している『ロシアと中国:ユーラシアの中心』は、「ロシアという国家から見た、ロシアと中国の関係・絆(きずな)」がテーマである。冒頭は、中国人民解放軍の合唱団における荘麗な「ロシアと中国を讃える歌」から始まる。本編では、ロシアと中国の歴史的な関係性が語れ、そして驚くべき事に、ロシア連邦のウラジーミル・プーチン大統領や中華人民共和国国家主席の習近平の独占インタビューまで収録されている。これは単なる「露・中関係」を描いたドキュメンタリーでなく、ロシア政府上層部の強い意志によって製作された、ある種の国家事業とも言えるドキュメンタリーなのだろう。ロシアの国民は、海外の番組をそう簡単には見れないはずなので、おそらくはこの番組を見て、「露・中の関係」を学んでいると想像される。

『ロシアと中国:ユーラシアの中心』より引用
ロシアと中国:ユーラシアの中心』より引用

 軽く内容を紹介すると、番組は、まず日中戦争のきっかけとなった「盧溝橋事件」や「南京事件」などが描かれ、「この様な蛮行を行って来た日本軍(関東軍)をソビエト軍が中国から追い出した」という解説から始まる。中国共産党の毛沢東と国民党の蒋介石の顔などがインサートされ、ナチスドイツが敗戦の後、対独戦に割かれていた兵力を、ソ連軍が中国方面に展開し、日本軍と戦闘した様子が描かれる。
 要するに、「日本軍を追い落とし、ソ連が中国を軍事援助したからロシア(旧ソ連)と中国の関係は深まった」と讃えるのが前半部分の主な主旨。現在の「露・中の絆」の原点は対日本軍戦争にあると強調されるのである。(もちろん、ソ連による『日ソ中立条約の一方的破棄』や『関東軍将兵のシベリア抑留』や『ソ連兵による満州の日本人居留民への略奪・レイプ行為』や『スターリンと毛沢東の接近と対立』等は全く描かれていない)

『ロシアと中国:ユーラシアの中心』より引用
ロシアと中国:ユーラシアの中心』より引用

 解釈次第で、猫の目のように変わる過去の歴史解釈は、政治のしばしば「外交の道具」「国民をまとめる手段」として使われる。ユーラシア大陸の隣国同士、2大超大国が深い関係を持つことは当然であるし、西側の大国アメリカに対抗するためには「露・中」の関係強化な最優先事項であろう。それを、ロシア国民に知らしめるために、この番組は製作されているわけだ。そして番組の後半では、中国4000年の文化・文明の奥深さ・伝統・「孔子」の思想などが紹介され、最後は現代ハイテク中国の礼賛に及ぶ。

 我々日本人の側からすると、「歴史描写」にやや偏向を感じるかもしれないが、この番組を見ると、如何にロシアが「肥大化する中国と必死に関係性を深めようとしているのか」がわかる。人口1億3000万人と言われるロシア、一方、13億人の中国。経済力も含めて「ロシアは中国と仲良くやって行かねばならない」という、ロシア側の強い意志も伝わって来る。

『ロシアと中国:ユーラシアの中心』より引用
ロシアと中国:ユーラシアの中心』より引用

 今回、この『ロシアと中国:ユーラシアの中心』をご覧になっていただく事で、「ロシアは一体今どうなっているのか?」「露・中関係を含む大国間の関係はどうなっているのか?」「過去の歴史は国によってどう描かれてゆくのか?」など、我々日本人の視点だけではない、複数の視点を得られると思っている。

 繰り返しになるが、「ロシア国営放送」の番組がノーカットで放送・配信された例は、日本のメディアではかつて一度もない。世界でも稀な例だと思う。これらなかなか日本では公開が難しい映像をノーカットで見る事で、各国の生々しい実相をユーザーの方々に観て頂く。これも、昨今の国際情勢を知る大事な材料になると感じている。

 意外とこれが、他国の本質を知る最短の道であるかもしれない。(了)

 

「ロシア」総力特集スペシャルサイト
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