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「特撮が全部CGになるのは悲しい。」映画評論家たちが考える『シン・ゴジラ』以降の日本の特撮映画

 昨年7月29日に公開された映画『シン・ゴジラ』。『新世紀エヴァンゲリオン』で知られる庵野秀明氏が総監督を努めた今作は日本映画として年間第2位の大ヒットを記録しました。

 『シン・ゴジラ』の魅力をよろず文筆家の堺三保さん、アニメ評論家の藤津亮太さん、映画評論家の添野知生さん、司会のサンキュータツオさんが語ります。CGを多用した本作に堺さんは「アメリカ映画がCGへ舵を切ったのと同じ流れが日本にも来た」と言及。果たして『シン・ゴジラ』以降の日本の特撮映画はどうなるのでしょうか。


左から堺三保さん、藤津亮太さん、添野知生さん、サンキュータツオさん。

東宝イズムを継承していたギャレス版ゴジラとシリーズの倦怠感を壊したシン・ゴジラ

画像はAmazonより。

堺:
 ギャレス・エドワーズ監督のハリウッド版ゴジラがあったのは良かったと思っている。これはアメリカの監督が作ったアメリカの映画だけど、実は東宝特撮っぽい話だった。

藤津:
 日本列島でやってた話を太平洋挟んでやってるだけだよね(笑)。

堺:
 そう(笑)。怪獣映画の伝統を大予算でやっていた。ギャレス版ゴジラがあったから、日本でゴジラをやるならそこじゃない、ということがあった。今回は「1作目をいま作らならどうなるか」を真摯に考えた怖いゴジラなんですよ。

番組スタッフ:
 東宝としてはゴジラ大喜利みたいなものを壊すつもりでいた?

藤津:
 「庵野さんが壊してくれるなら」という感じだったと思うんですよ。そもそも『シン・ゴジラ』のすごいところは怪獣がいない世界なんです。そこに巨大生物が現れるというのはものすごく新しい。

サンキュータツオ:
 僕らのゴジラに対して感じていた倦怠感はそこなんですよね。結局、ゾウ対キリンを見てる感じだったんですよ。現実世界に全く関係ないところで何かやっているなという感じだった。

藤津:
 初見のときに『日本沈没』とか『首都消失』みたいな方向の映画だと感じましたね。

堺:
 初代のゴジラ映画は戦争の記憶が残る中で「また、東京がああなったらどうしよう」という気持ちが込められて作られていた。ゴジラ映画の最初の鍵は自分たちの知っている風景が壊されていくことへの恐怖と、その感情の裏返しとしての快感だった。それがだんだんと見えなくなってきていたけど、『シン・ゴジラ』ではハッキリと復活させたんです。

「シン・ゴジラはアニメっぽい」は、大間違い!?

画像はAmazonより。

藤津:
 アニメっぽいと言われた理由としてテンポがすごく早いんですね。「脚本が長い」と東宝に言われて、尺に収まることを証明するために声優さんを使って録音した音声だけのテープがある、という話を聞いたんです。最初に演出家がペースを決めていくというのはアニメの作り方っぽいなと思いますね。

堺:
 喋るスピードがアニメっぽいという意見はすごく分かるんですが、実はアニメっぽくは撮っていないです。要は邦画っぽくなくて、洋画っぽい撮り方なんですよ。現場ではアメリカの映画に近い撮り方をしていて、フルシーンを沢山のカメラで回して、欲しいカットを選んでひとつのシーンにする。日本は伝統的にカットごとに撮っている。

サンキュータツオ:
 それは予算がかかるということ?

堺:
 時間がかかる。何を求めているかというと、その中で役者には即興的なことをやってほしい。庵野さんはエヴァの頃から「ライブ感」と言っていた。つまり役者の自然な芝居に興味があったんですよ。

添野:
 ハリウッド映画と違うと感じるのは演技指導しないじゃん。メイキングとかを見ていると、演技は俳優さんに任せている。

堺:
 役に入り込んだ役者がカメラの前で即興で演技をやるのは、アメリカっぽいよ。

番組スタッフ:
 ハリウッド映画みたいな俳優の身体性は感じなかったけどね。

サンキュータツオ:
 人間ひとりひとりというよりは人間全体の虫の群れみたいな描き方でしたよね。

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