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複雑怪奇なメディア戦争の恐るべき戦略――ドキュメンタリー『クリントン財団の疑惑』がヒラリーに与えた衝撃

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ドワンゴ・エグゼクティブ・プロデューサー 吉川圭三


 映像とナレーションで構成されたドキュメンタリーは観る者に強烈なインパクトを与える。

 今回「ニコニコドキュメンタリー」でドキュメンタリー映画『クリントン財団の疑惑』を公開するにあたり、この作品の制作経緯を明かしておくべきだと考えた。私もこの作品の衝撃度に最初は驚かされたが、調べていくうちに、民主党vs共和党の凄まじい攻防の一端を知ることになったのである。

 「嘘か?誠か?」 この作品をご覧になって、米大統領選のメディア戦争の複雑怪奇さを感じて頂ければ幸いである。

世界に衝撃を与えたドキュメンタリー

 『クリントン財団の疑惑』は2016年5月にカンヌ映画祭で上映され、現地で衝撃を与えたあと、世界にそのインパクトが波及。注目の中7月に全米で公開されたドキュメンタリーである。

 作品の概要を解説しよう。ヒラリーが国務長官になった時期に、夫の元米国大統領ビル・クリントンが設立したクリントン財団で起こした資金洗浄と収賄の数々が示される。

 アメリカのウラン鉱山がカナダ企業からロシア企業に買収される上での不正。サウジアラビアほか20カ国余への武器売買に絡む軍事産業との癒着。スウェーデンの通信機メーカー、エリクソン社が当時、経済制裁中のイランで営業できた理由……などなど、驚愕の内容が続く。あまりの強烈な情報の羅列に、観るものはただただ呆然となる。

 しかし、これで驚いてはいけない。この映画には一つのカラクリがあるのである。

©PPS通信社
写真提供:PPS通信社

洗練された戦略

 このドキュメンタリーは米国で発売された問題の書「クリントン・キャッシュ―外国政府と企業がクリントン夫妻を『大金持ち』にした手法と理由」の映画版なのである。この本の著者のプロフィールを調べるとさらに驚嘆する。彼はあの共和党出身のジョージ・W・ブッシュ大統領(2001年~2009年)の元スピーチ・ライティング・コンサルタントだったのである。

シュバイツァー・ピーター
米国のベスト・セラー作家。ジョージ・W・ブッシュ大統領の元スピーチ・ライティング・コンサルタント。著書『Throw Them All Out』『Extortion』の中で、ワシントンの政治家たちが権力を背景に私腹を肥やしている実態を告発し、ドキュメンタリー番組『60ミニッツ』や、ニューヨーク・タイムズ紙などの主要メディアで大きな話題となった。


紀伊国屋書店HPからの引用)

 つまり、この本とドキュメンタリー作品は、共和党陣営からヒラリー・クリントンの民主党への強烈なメディア攻撃そのものである可能性が極めて高いことになる。

 米国で発売された書籍を映画化させ、カンヌ映画祭で上映しまず世界的な話題とし、選挙戦が最もデリケートになる7月に全米公開。考えてみれば見事な戦略である。

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