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羽生九段が絶好調の稲葉八段を迎え撃つ:第2期 叡王戦本戦観戦記

プロ棋士とコンピュータ将棋の頂上決戦「電王戦」への出場権を賭けた棋戦「叡王(えいおう)戦」。2期目となる今回は、羽生善治九段も参戦し、ますます注目が集まっています。

ニコニコでは、初代叡王・山崎隆之八段と段位別予選を勝ち抜いた精鋭たち16名による本戦トーナメントの様子を、生放送および観戦記を通じてお届けします。

叡王戦公式サイト

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左から、稲葉陽八段、羽生善治九段

 対局前、稲葉は20分前には入室していた。羽生が「香雲」の襖を開けたのが、18時46分。記録机には、駒袋からあらかじめ出されていた5枚の歩が並んでいる。まずは振り駒から。羽生の振り歩先で、はらはらと駒が舞い、歩が3枚出た。先手の羽生が下座、後手の稲葉が上座に陣取った。

 通常、東京・将棋会館では「特別対局室」が羽生の指定席。5階の「香雲」で羽生が対局を行うのは、叡王戦ならではといえる。

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 対局が開始され、羽生が▲5八玉(第1図)を着手すると、稲葉は口をキュッと結んで前傾姿勢になる。開始からまだ9手の局面だ。 羽生は局後に▲5八玉を「最近、流行っていて、先手ならばやってみようと思った」と語る。

 ▲5八玉のスペシャリスト(実戦例、7局中4局を先手番で指している)で、この日も公式戦で採用していた佐々木勇気五段に作戦の意図を聞いてみた。

 「現在は力戦ということになりますが、今後は定跡化されるかもしれません。出だしは相掛かりなのですが、本局のように横歩取りになる可能性もありますし、角換わり模様になることもあります。そういったところが、面白いと感じる棋士は指されているのではないでしょうか。序盤の互いの一手で、景色ががらりと変わるのは、あまりないですよね。横歩をうまいタイミングで取りにいくというのが、狙いになっています」と話してくれた。

 佐々木五段は叡王戦本戦にも進出している若手の有望株。本局の感想戦も興味深そうに見ていた。10月30日に行われる叡王戦本戦2回戦では、千田翔太五段と戦う。

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 局面は進んで、羽生がポンと突いた▲7五歩(第2図)。△7五同歩と取るのは、▲6五桂△6四銀▲8三歩△同飛▲7四角で「これは形が……」と局後の稲葉。こう進めば先手よし。歩を取れない稲葉は12分ほどの考慮で、△2七歩と垂らす。△2七歩に羽生は「来ましたか」というような表情を見せる。羽生も△7五同歩とは取ってくれないと思っていたのだろう。

 △2七歩に対して、▲同銀は「△2八歩から、と金を作られて冴えないと思った」と羽生。▲2六飛と回って歩成りを受けた。

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 △5五歩(第3図)と突いた手を「ひどかったです。最初は駄目だと読んだのですが、そのあといろいろ考えているうちに忘れてしまって」と局後に悔やんだ。△5五歩では△4四銀が検討される。以下▲3六歩△5五歩▲3七桂△5一角▲6六歩という順が調べられ、まだまだ長い戦いだ。 本譜は△5五歩と突いたので、▲2三歩成△同金▲8四飛△同歩▲4五角で、羽生の猛攻が開始された。本局は羽生が局面をリードして推移していく。

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 ▲3五桂と打った第4図。局後の羽生の第一声は「先に▲5三歩と打つべきでしたね」。手順前後だったのだ。先に▲5三歩なら後手は取るしかない(▲5二歩成が▲4一竜までの詰めろになる)。取れば後手の逃走路が限られてしまう。

 本譜は▲3五桂△6九角に▲5三歩。もう後手は取ってくれない。「う~ん、そっか~」とつぶやいてから△6九角と打った稲葉の手には、やや力がこもっていた。局後に「ちょっと勝負になったと思った」と話した局面だ。

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 最後は中段で頑張る稲葉玉を▲3六金(投了図)で捕まえた。▲3六金に稲葉ははっきりした声で、投了を告げた。

 局後、いつものように羽生は楽しそうに感想戦を行う。感想戦について「アマチュアのかたにアドバイスがあれば」と聞くと「全部でなくてもいいので、覚えているところだけでも振り返ると、上達にもなりますし、非常に有意義だと思います。短くてもいいので、ぜひやっていただきたいですね」と話した。

 大本命の羽生がベスト4進出。最後に「次はまだ相手も決まっていませんが、おそらく11月前半にやると思うので、いいコンデションで指せればいいなと思っています」と抱負を語って、対局室をあとにした。

(観戦記者:滝澤修司)

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