中国共産党が目指す”AIで完遂する情報統制”を専門家らが解説「ネット強国と監視国家をかけあわせれば無敵」
自民党議員の山本一太氏が番組ホストを務める「直滑降ストリーム」に戦略科学者の中川コージ氏がゲストで登場し、中国の密告制度である「挙報(ジューバオ)」についてをテーマに対談しました。
中川氏は4月半ばに中国の情報機関が立ち上げた、匿名の密告サイトを紹介。情報統制とAIで、ネット化社会を強めていくという中国の方針について語りました。
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国家転覆、スパイ、悪徳宗教etc…を密告するサイトが中国に登場
中川:
これ、「挙報」ジューバオと読むんですけれども。これ、挙手の「挙」に報告の「報」なんですよ。報告を挙げる、どういう意味かと言うと、密告です。
山本:
あぁ~。
中川:
密告制度です。報告を挙げると言っているのですが、つまり匿名で密告ということなんですね。国家安全部という中国の情報機関が、4月15日にこういうものをやっている人がいたら密告してください、というサイトを立ち上げたんです。
山本:
すごいな、中国って(笑)。
中川:
しかも英語版がある(笑)。「匿名でできますよ」っていう。
山本:
すごい(笑)。匿名可、国家転覆、スパイ、武装準備、機密文書、悪徳宗教……。
中川:
そういうのがいたら、ぜひ密告してくださいというサイトなんですね。
山本:
恐ろしいな~。
中川:
もともと密告制度があって、検察のサイトもこのURL(https://jubao.12309.gov.cn/)をたたくと実際に行けるんですけれど。
URLの数字は、もともとは電話のホットラインなんですよ。電話の時代から密告があって、それのネット版が出てきた。国家安全部がやっているインテリジェンス機関(情報機関)が作った「挙報」のプラットホーム。これは規律検査委員会【※1】、中国共産党と、あとは新しくできた監察委員会【※2】ですね。
※1規律検査委員会
中国共産党の路線の実行や党紀の整頓、党員の腐敗などを監督する機関。
※2監察委員会
憲法および関連法律に従い、公職に就いている者の政治倫理上の問題について監督、調査及び処分を担当する。
だから「挙報」だけでこんなにいろいろあって、どれだけ牽制しているかわからないくらい。密告の三つ巴みたいな。英語版もあるので興味がある方は行ってください。
山本:
適当にレポートしたらどうなるのかな。
中川:
IPとか絶対に覗かれていますからね(笑)。
山本:
怖いね~(笑)。
ネット強国×監視国家=無敵! 中国がイニシアチブを取る日が来る!?
中川:
4月20日、習近平さんが作業部会でこういったことを言ったわけですよ。
なかなかすごいのが並んでいるわけですね。ネットに関して「どんどん宣伝活動」とか、「セキュリティを保つ」ということは、アクティブディフェンス【※】も入るわけですよ。守るだけではなく、攻めるというのも入るわけです。
こういうのをガンガンやっていって、ここに至っては「米国に対してイニシアチブを」とか言って、単純に言うとネット強国化。それに加えて、さっき言った「挙報」の制度から見ると監視国家なわけですよ。
※アクティブディフェンス
能動的な防衛のこと。攻撃が本格化する前に兆候をつかみ、素早く対策を考案する。
山本:
ネット強国と監視国家をかけあわせれば、無敵じゃない?
中川:
無敵なんですよ。まさにディストピア。
山本:
それから「中国の特色ある社会主義の勝利を……中国の夢を……むにゃむにゃ……」(笑)。
中川:
最後に、うわずった社会主義敵価値観みたいな(笑)。
山本:
むにゃむにゃ言っているね(笑)。面白い(笑)。
中川:
だからまさに中国というのは、情報型のサイバー型プロレタリア独裁と言っていますけれど、こういう形でAIで完遂する情報統制とありますが、民間でやっている活動も含めて、実際は軍事的な形で情報統制とAIでネット化社会を強めていく中国に対して、我々はどう対峙するのか。
山本:
今度、中国の旅行客に会ったら「挙報」って言えば(笑)? 最近、中国の観光客の方もマナーはしっかりしていていい感じなの。道にゴミ捨てたりしたら「挙報!」って(笑)。
中川:
報告するぞ! みたいなね(笑)。
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