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『アリババ』『百度』etc…知ってるようで知らない中国企業の特徴を中国人民大学研究員が解説

 自民党議員の山本一太氏が番組ホストを務める「直滑降ストリーム」に戦略科学者の中川コージ氏がゲストで登場し、中国のインターネット事情をテーマに対談しました。

 対談では、中川氏が中国国内で4強と呼ばれる企業「BATJ」【※】のそれぞれの特徴をスライドショー形式で紹介され、これら4企業が中国という巨大で過酷なガラパゴス経済社会で生き残った背景が明かされます。

中国の大手検索サイト「百度(バイドゥ)」
(画像は公式サイトより)

※BATJ
バットジェイ。中国企業の百度(バイドゥ)、阿里巴巴(アリババ)、騰訊(テンセント)、京東(ジンドン)の頭文字を取った造語。


中国ネット市場の4強、「BATJ」とは?

左から山本一太氏、中川コージ氏。

中川:
 今回は「BATJ」(バットジェイ)がキーワードです。これは何なのかと言うと、“巨大なガラパゴスで羽ばたく極楽鳥”、イコール「BATJ」です。「巨大なガラパゴス」というのは、日本でも携帯電話とかがガラパゴス社会とか言われていますけれど、中国も外資が入れないし、中の企業も出られないという状況が続いていたわけです。

 なのでいわば巨大なガラパゴス。日本の場合は入っちゃったらガラパゴス化しちゃって、外に出るときに負けちゃうという例が多かったのですが、それが今や中国は巨大になって、中で弱肉強食だったから、外に出たときも強かった。極楽鳥になっちゃったと。

山本:
 「BATJ」というのはどういうことなんですか。

中川:
 「BATJ」はそもそも何なのかと言うと、企業の頭文字を取っているんですね。百度(バイドゥ)【※1】、阿里巴巴(アリババ)【※2】、騰訊(テンセント)【※3】、京東(ジンドン)【※4】

※1百度(バイドゥ)
中華人民共和国で最大の検索エンジンを提供する企業。全世界の検索エンジン市場において、Googleに次いで第2位(米comScore社、2009年8月調べ)。

※2阿里巴巴(アリババ)
阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)。企業間電子商取引のオンライン・マーケット (www.alibaba.com, china.alibaba.com, www.alibaba.co.jp)を運営しており、240余りの国家・地域にて5340万以上の会員を保有する。

※3騰訊(テンセント)
インターネット関連の子会社を通してソーシャル・ネットワーキング・サービス、インスタントメッセンジャー、Webホスティングサービスなどを提供している。アクティビジョン・ブリザードなど他のゲーム企業の大株主でもある。

※4京東(ジンドン)
京東商城(ジンドンしょうじょう)。同社の電子商取引サイトである「JD.com」では、家電・PC・家具・衣類・食品・書籍などの商品をネット販売している。2015年には現在中国国内の通販サイトのシェア56.3%を占めた。

 元々ジンドンがなくて、「BAT」(バット)と言われていたんですが、近年、一気にジンドンが出てきて、今はAT(アリババ・テンセント)が2強、もしくは4強のどちらかで言われることが多いです。簡単に説明すると、バイドゥというのは中国検索エンジンの大手です。検索するときに「ググってみ?」って言いますよね。それを中国では「バイドゥってみ?」と言います。

 ここで紹介した他の企業は「こういうことをやりますよ」とか発表したりしているのですが、バイドゥは今まで結構隠してきたんですね。そして、これは記憶にある方もいるかもしれませんが、携帯電話のフリック入力システムをバイドゥがやっているんですけれども、後ろで情報を取っていたみたいな問題【※5】が起きました。

※5情報を取っていたみたいな問題
2013年12月26日、バイドゥ社の入力方式エディタであるBaidu IMEならびにSimejiが、入力された情報をユーザーに無断で外部に送信しているとの報道がなされた。

 それからアリババは、元々電子商取引ですから日本で言うなら楽天さんや、Amazonさんになってきます。

山本:
 巨大だよね。

中川:
 会長さんがジャック・マーさん。日本ではソフトバンクの孫正義さんとの縁で有名ですね。2014年にアメリカに上場して、実は中間層を味方に金融規制改革を政府に迫る「風雲児」とスライドにありますが、民間というのは結構重要で、中国の企業って大きい企業は国営企業なんです。

 それがこの業界に関しては民間から出てきているんです。いわば政府との距離間が全く違うもので、今まで金融規制改革などを政府に迫るとか、ありえなかったことです。それを中国の大衆を味方に付けて政府に迫ったという風雲児です。

 テンセントは日本で言うとLINEさんだとかのサービスと同じようなメッセージソフトです。中国人の観光客の方を見ていると、スマホを持って顎でしゃべっている方がいるんですけれども、これがだいたいWeChat(微信)というやつで、しゃべりながらやるメッセンジャーとして使う人が多いです。

山本:
 ユーザーが7億人でしょう?

中川:
 すごいですよね。ゲームコンテンツなどにも強いということで「AT」として、アリババとガチンコです。

山本:
 アリババがガチンコでテンセントと勝負しているの?

中川:
 あらゆるところで勝負していますね。そしてジンドン。電子商取引のベンチャーで、元々アリババの牙城だったのですが、そこに食らいついてきたのがジンドンです。実はテンセントと組みながら、敵の敵は味方方式で、アリババとテンセントの戦いにジンドンが参戦してきて、テンセントの子飼いという形で戦っています。

バイドゥ――AI関連の中でも動きが読めない

中川:
 ではそれぞれ「BATJ」を紹介していきます。バイドゥの創業者、リーヤンホンさんです。

山本:
 かっこいいじゃない!

中川:
 かっこいいんですよ。メディア露出好きなんですよね。僕が北京大学の大学院にいたときに、この人が自分の名前を付けた奨学金を出していたんです。

山本:
 めちゃくちゃナルシストだね。

中川:
 2005年NASDAQ上場。時価総額は851億USD。10兆円ほどです。先ほど挙げた4つの企業は、いろいろなところに投資をしています。中国共産党第十九回全国代表大会で出てくる政府の方針と足並みを揃えて、AI関連で企業がみんな動いてくるのが中国的なんです。

 バイドゥはAIの中で何をやっているのかと言うと、「人工知能オープンプラットフォーム総合戦略」。やっていることが、よくわからないんですよ。先ほどお話したように、バイドゥだけは何をやっているか見え辛いところがある。

 ただ一つ言えるのは、「自動運転技術」、これはなかなか強いということで動いています。政府に近い動きをしているのですが、自動運転技術というのはビッグデータなわけです。個人情報を含めてどれだけ取るか……。

 政府のバックアップがなければ動きが取れないので、ここは比較的、官と足並みを揃えながら、言ってしまえば、怪しい動きもしているというのがバイドゥですね。

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