「羽生善治竜王だけど、質問ある？」羽生竜王にインタビュー＆質問に答えていただいた。弟子は取らないの？ 生まれ変わったら？ 好きなお酒は？
将棋界初となる国民栄誉賞の受賞が決まった羽生善治竜王が、1月12日にニコニコ生放送とYahoo!ニュースの特別番組「羽生善治竜王だけど、質問ある？」に出演。インタビューに応じるとともに、ファンから寄せられた質問に答えた。
羽生竜王は昨年12月に通算7期目となる竜王を奪取。将棋の八大タイトルのうち、まだ規定のない叡王を除く7つのタイトルで永世称号の有資格者となり、前人未到の「永世七冠」を達成した。1月5日には、囲碁の井山裕太七冠とともに国民栄誉賞受賞の正式決定が発表された。
今回の番組はこの受賞を記念して企画されたもの。羽生竜王に質問ができる貴重な機会とあって、生放送の視聴者コメントやTwitter上は大きな盛り上がりを見せた。
インタビューでは永世七冠達成について「永世竜王に挑戦するのは4回目。今回のチャンスを生かしきれてよかった。棋士として非常に名誉あること」と語ったほか、中学生棋士・藤井聡太四段について、人工知能との付き合い方など、注目のテーマに話が広がった。
一方、ユーザーからの質問では、好きなお酒、好きなたこ焼きの変わり種といった質問に答え、普段の素顔が垣間見える一幕もあった。インタビューを含む質問の一部は以下の通り。
──オフの日はどう過ごしているか？
棋士全般だと思うが平日と休日という概念がなく、決まったルーティンはない。何時から何時まで勉強するとも決めていない。本当の自由業。
──対局で忘れられない思い出は何ですか。
15年くらい前の話だが、（第14期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局で）一手詰めをうっかりして負けたことはよく覚えている。
──弟子は取らないのですか。
弟子に取る人を選別するのはよくないと思っているので、いまのところは取らないようにしている。
──お酒は何が好きですか。
だいたい飲めるけど、あまり強くない。20代の頃は深酒することもあった。
──自身が1996年に七冠独占を達成したときと、藤井聡太四段への注目を比べて感じることは。
七冠を独占するかどうかでタイトル戦に多くの報道陣が来たことはあったが、予選からあれだけ人が詰めかけることはなかった。今回のほうが反響は圧倒的に大きい気がする。藤井四段へのアドバイスはよく聞かれるが、将棋も受け答えもしっかりしていて、何も言うことがない。
──人工知能との付き合い方について。
何が起こっているのかをフォローしていくことが大事だと思っている。将棋ではここ2年くらい、明らかに戦術に影響が出始めている。結果として温故知新が起こっている点が興味深い。コンピュータは人間にはできないような大量のデータを得ることができるので、それを生かすのは自然な発想だと思う。
──中学生からでも将棋は強くなれますか。
なれる。小さいときは「習うより慣れろ」で実戦をこなすのがいいと思うが、中学生になると論理的な思考ができてくるようになるので、型を理詰めで覚えていくのがおすすめ。
──たこ焼きをくるくるするのが好きと、奥さまのツイートにありました。変わり種では何が好きですか。
最後に醤油を垂らすと、こんがりしておいしい。頻度は月一くらい。家内が関西出身なので、家に道具がそろっている。
──生まれ変わっても棋士になりたいですか。
棋士はやりがいがあると思う一方で、違う世界を知ってみたら面白いんじゃないかなと思ったりもする。
国民栄誉賞を授与する表彰式は2月に行われる。
（文・写真：松本哲平）
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