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『ボールルームへようこそ』『クズの本懐』『リトルウィッチアカデミア』…2017年アニメ総括ランキング「豊作だが、突き抜けの一本がなかった」

アニメは飽食の時代へ

岩井:
 2017年は豊作だと思っています。ただ、突き抜けの一本がなかった。

二ノ宮:
 『けものフレンズ』は?

岩井:
 『けものフレンズ』は違う方向に突き抜けたから(笑)。

二ノ宮:
 想像していないところをね(笑)。今のアニメは割と元気だと思いますよ。1年や2年間のクールでやっていいコンテンツがたくさんあったのですが、それをこのペースでどんどん消化していっているじゃないですか。

 また食べられるのに捨てちゃうみたいな感じで、ちょっともったいないですよね。

スタッフ:
 
『昭和元禄落語心中』も好きで原作を買いましたけれど、やっぱりアニメのスピードが速い。1年くらいかけてやってほしい。

二ノ宮:
 飽食ですよ。

スタッフ:
 
でも1年間でやるとして、結構しんどいアニメだったら1年間しんどいですよ。

岩井:
 最初の1カ月くらいで外しちゃったら……。

スタッフ:
 
残りが地獄ですよね。

二ノ宮:
 その外せない状況がよくないんですよね。どこにも余裕がない。とにかく当てないといけないという。簡単には打ち切れないというのがあるじゃないですか。

スタッフ:
 
バラエティみたいに、だめだったら打ち切るみたいなアニメってあるのかな。

二ノ宮:
 その代わり、ヒットしたらそのまま続けようみたいなね。

スタッフ:
 
コメントでもありますが、DVDやブルーレイは買わないと。2017年はAmazonプライムやHulu、Netflixなどで新しいアニメの形が出てきたなと思います。

二ノ宮:
 DVDやブルーレイなどの円盤で回収するというビジネスモデルは絶対に無理だと思いますよ。そもそも昔はそういうのではなかったし、おもちゃで回収してましたからね。

ギリギリ状態の日本アニメ業界に迫る中国アニメの影

岩井:
 「作画がいいアニメが見たい」「作画が悪いからアニメ見ない」というのは間違っていると思うね。アニメが好きだから円盤を買って、アニメ業界が潤ってどんどん作画がよくなっていくというのがいい。難しいところですが、どうしたらアニメに還元できるのでしょうか。

スタッフ:
 
コメントでは「本数を減らせばいい」とかありますが、本数を減らすとね……。

岩井:
 バラエティ番組でやっていたのですが、最近のタクシーって乗務員の接客の質を上げているんです。それでタクシー業界の話をアニメに置き換えましょう。タクシーってどうやって乗ってますか。

二ノ宮:
 道で止めて乗ります。

岩井:
 ですよね。だから結局、乗務員の接客の質がいいのに乗るんじゃなくて、手を上げて止まったタクシーに乗るから、タクシーの乗務員の質を上げてもしょうがないんです。だからタクシー業者で儲けようと思ったら、ただ台数を増やす。

スタッフ:
 
アニメ業界も同じなんだろうな。大手のアニメ配給会社の人と話をしたときに、あるアニメがアフレコも間に合わなくて落ちそうだったんですって。一つの会社でいろいろなラインがあって、複数のアニメを作っていて、「もう無理じゃないですか」と、いいました。

 そうしたら「落とせるなら落としたほうが楽です」「ただ、もうみんな引くに引けない状態なんです」「大手が潰れたら考えるかもね」っていうくらいの状況だったんです。大手が潰れたらちょっと考えるけれど、みんなギリギリで頑張っている状態なんです。

二ノ宮:
 誰も幸せにならないね。

スタッフ:
 でもこれが怖いのは、崖のギリギリのところでみんなが手を繋いで、一斉に落ちていくパターン。これは怖いなって思います。


二ノ宮:
 今、中国アニメがクオリティを上げてきているからね。

岩井:
 そうなんだよな。

二ノ宮:
 中国や韓国産のソーシャルゲームが割と日本人好みになってきている。

スタッフ:
 
中国の『艦隊これくしょん』といわれている……。

二ノ宮:
 『アズールレーン』

スタッフ:
 
あれ、めちゃめちゃ人気ありますよ。

岩井:
 中国もアニメ好きだし、参戦してきてアニメを作るようになったら、お金を持っているからクオリティは高いものを作れるでしょうね。

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