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アメリカは北朝鮮に軍事行動を起こすのか――トランプ大統領側近の軍人達の思惑を政治学者が解説「イケイケドンドンというわけにはいかない」

 トランプ大統領の就任はアメリカの「終わりの始まり」である、という話題が騒がれて久しい状況です。

 自民党参議院議員の山本一太議員と上智大学教授の前嶋和弘さんが『山本一太の直滑降ストリーム』の中で、本当にアメリカの覇権はなくなったのか、代わりに中国が台頭するのか、そして気になる米朝問題はどのようなシナリオになっていくのかを語りました。

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アメリカの覇権はトランプ政権でも健在

左から山本一太議員、前嶋和弘さん。

山本:
 トランプ大統領はアメリカ国民のハートを捕まえて、アメリカ人ってみんなインテリで国際協調主義者ばっかりじゃなくて、あれもアメリカ人の本音だというのを体現しているような人じゃないですか。

 実はアメリカ人は意外と下品というか結構田舎者的な人たちもいるわけですが、ただ世界のリーダーとしてのアメリカ大統領ということでいうと、ある専門家が今回のアジア歴訪を見て「パクス・アメリカーナ【※】の終焉だ」といいました。

 いわゆるアメリカの覇権というものが崩れ落ちたと。外交の世界で見たときのアメリカの位置づけは、どう見ますか。

※パクス・アメリカーナ
アメリカ合衆国の覇権が形成する「平和」という意味。

前嶋:
 微妙なところですね。アメリカが作り上げてきたリベラル・インターナショナル・エコノミック・オーダーという言葉があるんです。

山本:
 国際リベラル主義。

前嶋:
 要するに自由貿易が重要だったり人の移動が重要だったりという概念が通ってきて、「経済ナショナリズム」という新しいキーワードが出てきました。

 これを見ると確かに大きく変わるんですが、覇権そのものは今回のトランプさんを見ていても、まだまだありますね。中国がアメリカに取って代わるかっていうと、そういうことではない。

 覇権システムっていうのがあったら、後期の覇権システムだけど、まだ終わっていない。

山本:
 まだパクス・アメリカーナなんですね。「アメリカ抜きの世界がいつか来る」ってよくいわれていて、トランプ大統領になって、「まさかこんなに早くアメリカ抜きになる世界がきた」といわれていても、やっぱりアメリカが強いんですか。

前嶋:
 逆にトランプさんがいろいろな国を回って、中国もあれだけの待遇をしたというのは、要するにアメリカはまだ大きいということだと思います。あれを見て逆にまだ盤石だなと思います。トランプさんのような外交経験が全くない人が行っても、それなりに動いていくのはすごいという気がしますね。

トランプ大統領は動物的勘で政治を動かしている?

山本:
 トランプ大統領の一連のツイートはなかなか読みきれないところがありますよね。だって大統領選挙のときは「貿易では中国はアメリカをレイプした」といってました。ところが中国に行ったら習近平礼賛。

 「毛沢東以上だ」とか貿易赤字のことも「自国の利益のために他国を利用する国をどうして責められるんだ」とか。ここら辺の動きは何なんですか。

前嶋:
 トランプさんはわからないようにしたみたいですね。

山本:
 わざとなんですか。

前嶋:
 わざとらしいです。そういうふうに接したほうが戦力的にいいという考えを持っているみたいですよ。“マッドマンアプローチ”というらしいんですけれども、「何をするのかわからない」と思わせたいようです。

 それは側近に対してもそうらしく、結構みんな困ってるみたいな話を聞きますよ。

山本:
 いまの話を聞くと、トランプ大統領のツイートに振り回されることはないということでしょうか。マッドマンアプローチでやっていることなのでしょうか。

前嶋:
 動物的な勘で、何かをやっているんだと思うんですね。

山本:
 動物的な勘?

前嶋:
 つまり天才的だと思うんです。その動物的な勘で、ちょっといいことだったら大きくいって、ちょっと悪いことがあれば大きくいうと。そういうところで我々は「この人の振れ幅はどこだ」というところで見ていかないといけないかもしれませんね。

山本:
 なるほど。でも、トランプ大統領はいままで見たことがないタイプじゃないですか。

前嶋:
 アンドリュー・ジャクソン元大統領に似ていると思います。要するに何をするかわからない。庶民の大統領で中央銀行を潰したんですよね。

山本:
 みんなぶったまげて、ひっくり返っちゃったんですよね(笑)。

前嶋:
 影のところでネイティブ・アメリカンを強制移住とかさせてかなりの数の人が亡くなったりしたのですが、そう考えるといろいろ功罪はあるのですが、トランプさんが尊敬する人はアンドリュー・ジャクソンさんみたいですね。

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