トランプ大統領の息子も騙された、ロシア工作部隊によるTwitterを使用した情報操作の手法を解説
ロシアの目的はアメリカを分断させることだった
山本:
ロシアはフェイクニュースを含めたメディア操作については、ある種のステータスを確立したみたいなところがあって、特にアメリカの大統領選挙では暗躍して、トランプ大統領の勝利に貢献したという人もいますもんね。
長尾:
実は新しいことではなくて、80年代の冷戦くらいからロシア側には情報戦争のマニュアルっていうのがあるんですよ。それを実践するツールでTwitterを使ったりFacebookで広告を買ったりというふうにしているので、今に始まったことではないんです。
大統領選のときのマニュアルを見ると、トランプ大統領を勝たせるのが目的ではないんです。
長尾:
アメリカの中で混乱が起きると、自分たちが相対的に有利になるので、その混乱を一番巻き起こしそうな手段は? となると、今回の場合はトランプ大統領を支持して、ヒラリー候補が勝てないようにして分断を作るという選択だったのでしょうね。
ツイートの受け取り側もリテラシーを高めないといけない
長尾:
今回の事件の教訓を記事でまとめているのですが、これだけ上手くいった成功要因というのが、きっちり手順を決めたアプローチをしていていました。一つ目に共和党やトランプ支持層の人たちの意向に沿った右寄りなコメントをたくさんして、正当性を確立してフォロワーも同時に捕獲する。
次に共和党トランプ支持層を取り込んだ後に、メディアおよび世論で受け入れられるようにした。CNNとかも、こんな右寄りの人がいるというふうに注目するわけです。そうするとさらに正当性が上がる。
長尾:
しかも悪質なのは、ブレないキャラクターの演出です。ロシア側がツイートしているのですが、あまりプーチン寄りのツイートをしないで、あえてシャーロッツビルの白人至上主義者を持ち上げていたりします。
山本:
一貫性を持ってきちっとキャラクターを作っていると。
長尾:
そうなんです。
山本:
これだけの影響をアメリカに及ぼしたわけですから、本当に気をつけないといけないですよね。
長尾:
とにかく見ている人たちが、ある程度批判とか検証のメンタリティを持って、自分が果たしてリツイートするべきなのかどうかを見ていかないと、簡単に正当性の歯車の一員になってしまうので気をつけましょうということです。
山本:
この問題で難しいのは、Twitterにおける戦略というのはある意味政治的には、みんなが使っていて、こういう世論をTwitter内で作りたいというときには、確信犯がきて、やっていくじゃない?
長尾:
そうですね。
山本:
たとえばTwitterは殺人事件に使われたりしたこともあって、どうやって上手くSNSをやっていくのかというのは、なかなか難しい問題ですよね。
長尾:
そうですね。
山本:
ただ、先ほどおっしゃったメンタリティで見ると、ここら辺の人たちは、もしかしたらこういう影響を与えるために動いているんじゃないか、とかがわかりますよね。
長尾:
なかなかTwitter側としてもアカウントを凍結するというのも難しいんです。発言の自由を犯すことにもなるので、かなり難しい問題です。読んでいる側もリテラシーを高めないといけないというのもありますね。
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