MOLIY×jon-YAKITORY、音楽で境界を越える――アフロフュージョンとボカロが交差する『All Mine』
今回は、MOLIYさんとjon-YAKITORYさんによるコライティング楽曲「All Mine」を紹介する。
同曲は、ドワンゴが推進する、国内外のトップクリエイターによるボカロ楽曲共同制作プロジェクト「BEYOND BORDERs」から生まれたトラックだ。
9月25日リリースの初のコラボレーションEP『EMERGE M♡DE MIKU』に収録されている。

前提として、「BEYOND BORDERs」は、国内ボカロPと米国の音楽シーンで活躍するプロデューサー/ソングライターが共にEP制作に取り組み、国内クリエイターの海外進出を支援する楽曲共同制作プロジェクト。
ドワンゴが「クリエイター支援基金」の助成のもと推進する「ニコニコ動画主催企画を介した若手クリエイター発掘および海外進出プロジェクト」の一環として実施されている。

MOLIYさんは、世界で10億回以上再生される大ヒットを記録した「Shake It To The Max (FLY)」をはじめ、さまざまなアーティストとのコラボレーションを通じてその名を押し上げてきたガーナ系アメリカ人シンガー。
一方、jon-YAKITORYさんは、代表曲に「混沌ブギ」があり、Adoや新しい学校のリーダーズなどへの楽曲提供も手がけるボカロPである。

ふと想起されたのが、大自然の中を駆け抜ける風景だった。アフロビーツやR&B、ソウルなどを融合させた独自のアフロフュージョンを展開するMOLIYさんと、ブラックミュージック特有のビートをボカロ曲に落とし込むjon-YAKITORYさん。両者に共通するのは、揺らぐグルーヴに加え、ジャンルの垣根を越えて多様な音楽性を吸収する感覚。それぞれのクロニクルが凝縮されていることが感じ取れるサウンドメイクになっている。
とりわけ堅牢なビートが、本楽曲の核心だ。多彩なジャンルを横断して生まれた、複雑性を内包した音のレイヤーは、初音ミクによるセンチメンタルな歌唱パートにも表れている。「BEYOND BORDERs」をきっかけに邂逅したアーティストたちは、言語や文化こそ異なるものの、それぞれの音楽の原体験を辿れば、重なり合うところもある。本楽曲は、音楽を介した接点にフォーカスした作品と見ることもできるだろう。

耳を引いたのは、jon-YAKITORYさんのヒット曲に見られるトリッキーなボカロ的アプローチが身を潜め、よりグローバルな音楽文脈へと接続する音像に仕上がっていることだ。互いに吸い寄せられながら、そこには確かに世界を見据え、音楽を繋いでいこうとする意志が強く感じられた。
初音ミクのボーカルを主旋律とした、祝祭的な高揚感を生むユニゾンも光を放つ。そこからジャンルや文化、さらには世代を越え、新たな扉が次々と開かれていく未来が想像できたのも良かった。まさしく、音楽が限りなく広がるような無重力感のある「All Mine」は、あらゆる境界を越えていく賛歌といえる。
■楽曲配信情報

■information
All Mine 公式ビジュアライザー ニコニコ・YouTube
BEYOND BORDERs 公式アカウント Instagram・X・tiktok
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