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「猫は固体かつ液体なのか?」などが受賞した『イグノーベル賞』ってどんな賞なの? 日本人受賞者にいろいろ聞いてみた

「オス・メス」の分類の見直しが必要になる大発見!?

山本:
 質問が来ていますが、オスが卵を産むのかという話なんですけども、オスではなくて、メスがオスから精子を吸い出して、自分の卵を産みます。なので、オスはあくまでも精子を提供する側なんですね。

栗原:
 陰茎から卵を産むのかな?

山本:
 陰茎から卵を産むわけではないと思います。

田代:
 おそらく卵を産む場所はまた別の場所にあると思います。

山本:
 これで陰茎って言うのはメスにもあるよと言うことが分かりました。今まで陰茎は、男性の生殖器のことだよと世界中の辞書に書かれていましたが、実はそうじゃないんだよという、世界中の辞書の変更を促すような大発見だよと言う事と、そもそも、性別ってなんなの? と。

 頑張って相手を押さえつけてどうこうするのが、オスと言うのかはさて置き。そういう動物が多いんですけども。実際にこの昆虫ではメスの方がオスを押さえつけるような行動まで、雌雄逆転している。そうなると性別って何なの? って言う事を皆さんぜひ考えていただきたい。そんな研究になります。

田代:
 なるほど。素晴らしい。それってつまりあれですかね。性別のオスメスの言い方の幅が変わるということでしょうか?

山本:
 そうですね。でも、精子を提供してるのはオスとみていいと思います。

田代:
 卵子はメスが持ってるのかわからない。アニメとかドラマのように、中身が入れ替わっちゃうわけではないですね?

山本:
 そういうわけではないですね。

田代:
 奥が深いですね(笑)。

研究者が一番活躍できるのは探究心に素直になったとき

栗原:
 日本でイグノーベル賞が多いのは、科学技術に対して日本社会は寛容だからこそ、いろんな知的好奇心に基づいた研究活動が許されてるっていうのがありますよね。あとは、すごい技術をおかしなことに使うっていうのが、みんな好きですよね。

 ニコニコ動画とかYouTubeでも「技術の無駄遣い」みたいなことをよく言いますしね。そう言う人に一定のリスペクトをする何かがある。予算がこれだけで、特定のものを引き延ばすっていう科学も大事ですけども、人類に一人ぐらいこういうことをやってくれるとありがたいなと思ってくれたらいいなと感じますね。

田代:
 栗原さんのご研究されてる内容【※】もみんながやってると言うよりは自分だからこそできる。自分だけしかやっていないようなことを追求しているような印象を受けます。

※栗原さんの研究
自分の声を遅れて聞くと脳が混乱しうまく話せなくなるという現象を利用し、話している人の声をマイクで拾い、約0.2秒後に声を本人に送り返す「人の迷惑を顧みずしゃべり続ける人の話を邪魔する」装置を開発した。

栗原:
 そうですね。やっぱり科学者は、自分が持つ何らかの異常な興味とか逆に苦手意識があるところに、「なんなんだろう?」って言う問いが生まれて突き進む。これが、研究者だと思います。

 だからこそ、研究者が一番活躍できるのは自分の好奇心というか探究心に素直になった時だと思うんですね。それがたまたま花開くと人類の役に立つ日が来るかもしれない(笑)。その背景には膨大な知的興味や探究心というような、あまり日の目を浴びない研究も山ほどあると思います。

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