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【ボカコレ2024冬投稿作品】投稿時間”3分9秒”から初音ミクへの愛を感じる!ボカロPの想いを描いたMVに心打たれる1曲『パメニネ』

 今回は、にっくきゆうさんが2月23日に投稿した「パメニネ」を紹介する。前半で‟ネガティブ”、後半で‟ポジティブ”な表現として用いられる「優しさ」という言葉。その意味の大きな違いが、エレクトロなサウンドのパートから疾走感のあるバンドサウンドへと移行するダイナミックな展開と並行して表現されることで、今までとは全く違う世界が開けたような感覚になった。

文/小町 碧音(こまち みお)


 楽曲制作をするなかで諦めて生きる主人公と作品を彩る初音ミクが登場するミュージックビデオは、ボカロ曲制作者の想いを強く表現している。そんな世界観にも広く共通するのは、本当はやりたいことができないまま、諦めてしまっている人の心の内。似たことを感じている人たちの胸に深く響くに違いない。

 〈ソンな軽忽な優しさが憎くて〉の直後に始まるポエトリーリーディングパートでは、リアルな内なる叫び声が吐露される。〈器用で貧乏で断れないから益々痩さしくなっていく〉という歌詞は、その叫びの象徴だ。「優しさ」と「痩せる」というダブル・ミーニングを利用した言葉遊びによって、自分の優しさのせいでどんどん小さくなっていく主人公の様子が鮮やかに浮かび上がる。焦燥感や劣等感を表す言葉が地団駄を踏むことで、感情が激しく波立ち、パニック状態に陥っている様子も伝わってくる。

 サビでミクが主人公に語りかける言葉は、〈窓の外 補い合うオレンジと青が美しいと ほんの少しだけでも 感情が波を立てたなら まだ何かを好きになれるのに〉。優しい歌声に乗せて紡ぎ出されるこの言葉とエネルギッシュなバンドサウンドによって感動的な光景が描かれていく。2番で続く自問自答。ますます自分の存在価値がわからなくなっていくのが、揺らぎのあるメロディーラインで表現される。サビで〈優しさが枷となり呪いとなり不幸にもなる〉と優しさを悪として認め続ける主人公。そこで突然歌われる〈もっと我儘でいいよ〉は、重い肩の荷を一瞬で軽くしてくれるかのよう。

 けたたましく響くギターが、クライマックスへと導く流れは、この曲を感情的に盛り上げるポイントの一つ。そして、最も涙を誘うのは、〈誰かの小さくて無責任な優しさが憎くて〉から〈愛おしい〉へと温かなライトが灯る瞬間だ。主人公は、ずっと憎んでいたはずの優しさが、見方を変えれば自分にとって救いでもあることに気づく。初投稿動画を公開したときのことが頭の中に浮かび、独善に陥った苦しみの日々の中で忘れていた大切な感情を思い出すのだ。曲の最初と最後をリボン結びしたような構成が、「パメニネ」を特別な1曲にしている。


「The VOCALOID Collection」 公式サイト

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