今、最も注目のボカロジャンルであるオルタナティブロック曲!知声・田中傘の声・楽曲のちょうど良い長さが絶妙『片方のアラベスク』
今回紹介するのは、よしぶる「片方のアラベスク」。
文/村上麗奈
知声のスモーキーな歌声で張り上げるように歌われるメロディは、オルタナティブロックを彷彿とさせる。生音のニュアンスに寄せた音作りのリズム隊、上物楽器の目まぐるしいフレーズも、ライブハウスを連想させるロックサウンドだ。
2分46秒という聴きやすい長さの中に余すことなく詰められたメロディやリフは、一曲を通して勢いを演出する。それでも詰め込みすぎてせわしないという印象は一切なく、むしろ最小限のセクションには淡白さすらおぼえる。
そんなシンプルな楽曲の差し色のような存在になっているのが、田中傘の声だ。
田中傘は、テキスト読み上げソフト・VoiSona Talkのひとり。1サビを終えたあと、間奏を挟みそのまま2Aセクションに差し掛かるのかと思いきや、ジャジーな即興演奏を思わせるピアノのフレーズとともに田中傘がポエトリーリーディングを披露する。
疾走感を失わない、むしろ加速していくようなリズム隊の音色と流麗なピアノの中、静かな声でポエトリーリーディングを行う田中傘。バンドの音色からほとばしる熱さと田中傘の声から感じる冷静さ、音声合成ソフトらしい硬質さが対比を生み出している。
スタイリッシュかつどこか泥臭いオルタナティブロックに、ボカロPならではの創意工夫が詰め込まれた1曲だ。
「The VOCALOID Collection」 公式サイト
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