「愛があったから作ってこれた」――『独りんぼエンヴィー』ボカロP koyoriらが初音ミク10周年の軌跡をたどる
『初音ミク生誕10周年記念ワークショップ【ニコニコワークショップ】』では、ボーカロイドを愛する動画投稿者のみなさんと初音ミクの開発者とともに、初音ミク生誕10周年をお祝いしました。
MCはニコニコ超パーティーでおなじみの百花繚乱さんがつとめ、講師として初音ミク開発に携わっていたクリプトン・フューチャー・メディア株式会社の目黒さん、熊谷さんが登場。ゲストには数多くのボカロ踊ってみた動画を投稿されている足太ぺんたさん、ボカロPとしてこれまで数多くの名曲を制作されたkoyoriさん、dorikoさんに加え、人気の歌ってみた動画を数多く投稿されている伊東歌詞太郎さんも出演しました。
2007年に音声合成技術のボーカロイド企画の第2弾として登場し、デスクトップミュージック(DTM)を牽引しつつニコニコ動画とも融合しムーブメントを起こしてきた初音ミク。その10周年の歩みを振り返ります。
「作曲活動をなぜ始めたか」ボカロPの様々なきっかけ
百花繚乱:
作曲家・ボカロPのdorikoさん、koyoriさんにお聞きしたいと思います。ボーカロイドを使用した作曲活動をなぜ始めたんですか?
doriko:
真面目に話すと……暇だったからです(笑)。
一同:
(笑)
百花繚乱:
真面目にくるパターンかと思ったらビックリしましたよ(笑)!
doriko:
もう10年経つんでぶっちゃけちゃうんですけど、当時大学3年生の時に卒業単位を全部取っていて、何もやることなくて、その時に「みくみくにしてあげる」を見たんですよ。それで「あれ、俺これ出来るんじゃね?」と思って……。
百花繚乱:
暇は最強の武器みたいな(笑)。koyoriさんもそういうタイプみたいでうなずいてますね(笑)。
doriko:
初めはこだわりはなくて。僕が最初に投稿した曲が「みっくりすます de きりたんぽ♪」っていうクソなめた曲だったので(笑)。そのあと就職活動しなければいけなくなって「歌に形はないけれど」っていう曲を投稿して終わりにするつもりだったんです。
百花繚乱:
現実との戦いだ(笑)。
doriko:
これでやめようと思って「歌に形はないけれど」を投稿したんですけど、思ったより多くの人が聴いてくれたので続けようと(笑)。
目黒:
「歌に形はないけれど」は中国でライブをやった時にすごく盛り上がりました。中国の方に訳していただいて採用した中国語の歌詞になるのですけど、ファンの方が歌ってくれるんですよね。
doriko:
最近たまに中国の方からメッセージをいただくのですけど、そういったおかげなのかと思っています。
百花繚乱:
koyoriさんも、お時間があったんですか?
koyori:
僕も大学生で時間はありました(笑)。「友人と一緒にボーカロイドで曲作ろう」ってなったんですけど、それは自然消滅してしまって(笑)。
そうこうしてるうちにDECO*27(デコ・ニーナ)さんと40mP(よんじゅうメートルピー)さんが出てきてバンドサウンドが確立してきて。僕もバンドをやっていたのですが、ボーカルがいなかったんです。そんな時に「初音ミクがあるじゃないか!」となって、DTMで初めて曲を作って投稿したのがきっかけでした。
百花繚乱:
ボカロの話と制作者の人生の話も聞かせていただきました。ボカロPさんのこういう話が聞けると楽しいですね。
伊東歌詞太郎:
ボーカロイドがないとやっぱり歌い手は存在できないですからね。僕は初期の頃の話を知らないのですごく興味がありますね。
百花繚乱:
まさか「みっくりすます de きりたんぽ♪」が出てくるとはね(笑)。
伊東歌詞太郎:
そうですよ(笑)。制作を始めたのが暇だったからっていうのは衝撃ですよ。
百花繚乱:
ぺんちゃんも昔からボーカロイドを聴いているけど、いろんな人生があって形になってるって聞くと、曲に対する思い入れも変わってくるんじゃない?
足太ぺんた:
そうですね。踊ってみたも東方Projectさんが有名だった中でボーカロイドが出てきて、それがドーンと大きく広がったので、ミクちゃんがあってこそ今の踊ってみたがあるんだなっていうのは強く思います。
百花繚乱:
今、投稿コメントでもいいのがあって「なんで人間じゃなくてミクちゃんに歌わせるの?」っていうコメントに対し、誰かが「そこにミクがいるからだよ」って書いていて。10周年でみなさんいいこと言いますね(笑)!